ダンジョンで雷神に拾われたのは間違いだったのだろうか? 作:やたからす
「あっ!団長達が戻ってきましたよ!!」
地下から帰還したソルとレスクヴァを先に地上へと帰還していた面々が迎える。
「ソル、コイツら全くなにも喋らないよ」
シャルヴィがロープで括られ、拘束された男たちの頭を掴み上げて見せる。どうやら二人がやってくるまでの時間、色々と尋問をおこなっていたらしい。
「ふ、ふふっ、貴様らのような者どもに、話すことなどありはしない!!」
「ほらっ、こんなのばっかり」
呆れたものだとシャルヴィはため息を吐きながら乱暴に地面に投げ捨てる。
「こらこら、そんな乱暴に」
「あ、ごめんなさい。ついイラッとして」
「「「怖っ」」」
ガンッと甲高い音がなるくらいには勢いよく叩きつけられていたために声をかけたのだが、特に悪いとも思ってないシャルヴィが一番タチが悪いとソルは思う。
「なー、私たちも手荒な真似したくないし。ちょっとでもいいからあの門について教えてくれたりしないか?」
次に尋ねたのがトール。人は神に嘘をつけない。そのルールがあるために、この場で一番尋問に適していると言える。
「戦にしか興味のない愚神めに、語ることなど———ぎぃあぁ?!」
突然ソルが男の頭を踏みつける。
「言葉には気をつけようなー。でないと、うっかり頭蓋を踏み潰すかもしれない」
「がぁっ?!いやっ、やめっ……ギヤァァア!?!?」
トールを「愚神」などと侮辱したことはソルにとって許し難い大罪だ。過去にはトールを馬鹿にした相手をその場で半殺しにしたことすらある。
それを知っているエイル達は、今回はまだ我慢してるなとズレた感想を抱いていた。
「ソル、私は気にしてないし、そのままじゃ本当に死ぬぞ?」
「…………ちっ。殺し損ねた」
ソルは渋々ながらも足をどけて、後ろへと下がる。近くにいれば、また手を出しかねないと自分で分かっているからだ。
「あんな痛い思いは嫌だろ?素直に話したら解放してやるからさ」
トールは優しく語りかける。しかしそれは表面上のみ。元々短気な性格のトールは「早く喋れや」と苛々している。
「新種のモンスター、門について、お前らの正体。聞くことは山ほどあるからさっさとしてくれる?」
同調するようにしてエイルも尋問に加わる。ここにいる全員が冒険者。差はあれども、気が短いことに変わりはない。
「わ、私たちはっ———」
——ドスッ!!
「なっ——」
「「「「?!?!」」」」
突然飛来した投げナイフによって、何事かを喋ろうとした男が貫かれた。
「あっ、がっ?!」
そしてその一瞬でもう一人の命も奪われてしまう。ほんの刹那の油断。狙われたのが自分達やこの場にいる仲間であるのならば対処もできたかもしれない。
だが、自らの仲間を切り捨てる行動を、ソルたちは読めなかった。
「
ナイフを投擲したであろう人物の声。見上げると、屋根の上にいたのは真っ暗なローブで身体を覆い、仮面で顔を隠した人物。
そして、ソル達が行動を起こすよりも先にもう一度ナイフが投擲される
「っ?!全員、逃げろ——」
ソルが言うよりも早く、ナイフに括り付けられた火薬が爆発し、どこに隠し持っていたのか捕らえた男性達が所有していた爆薬へと引火し大爆発を起こす。
煙が晴れたころ、すでに黒衣の人物は姿を消していた
「ちっ、全員無事か!」
咄嗟にトールを庇ったソルが叫び、全員の安否を確認する
「けほっ、けほっ、もう!煙たい!!」
「大した威力じゃなかったな」
シャルヴィとレスクヴァは無事。二人に庇われた団員達も無傷だ。
「服が、汚れた……」
「元気出しなよー、エイル」
「また買えばいいだろ?」
エイル達も無事。なんなら別の要因で落ち込んでしまっているので心配するだけ無駄だ。
「いやはや、見事に証拠を隠滅されたな」
「まったく、してやられたよ」
相手が誰であれ、まともな神経の持ち主でない事は確定した。【トール・ファミリア】の敵であると断定はできないが、黒寄りであることに違いはない。
トールの嫌な予感が当たりそうだと、ソルは内心で溜め息を吐く。