ダンジョンで雷神に拾われたのは間違いだったのだろうか? 作:やたからす
幾度も咆哮が轟き、怒声が響き渡る。
その後に続くのは大地を震わせる地鳴りの音。怪物と称するに相応しい姿のモンスターが波のように押し寄せてくる。
そこかしこで何度も何度も衝突音が鳴り、ここが戦場であるという現実を否応無しに突きつけてくる。
攻め入るのは醜悪な体躯を晒すモンスターの群れ。
迎え撃つのはヒューマンと
矢が射られ、魔法が放たれ、剣や槍が交錯する陣営の中心で、風に揺られるのは一本の旗。
そこに刻まれているのは荒々しい雷と力強い大槌のエンブレム。
これこそが、神と契りを結んだ
「シャルヴィ、レスクヴァは左側を。エイル、カーラ、フリストは右側を殲滅しろ!!」
戦場を見下ろすのは十代から二十代前半ほどの青年。赤毛の混じった白金の髪、深緋色のコートを纏い薄紫色のマフラーがたなびく。白い鞘に収まった
「もうやってる!」
「注文多いな、ソル!!」
「カーラ、フリスト、やるよ!」
「おっ?エイルがやけに気合入ってるね!」
「ソルの命令だからでしょ」
殺戮が起こる戦場の反対側でもまた、三つの影が猛威を振るっている。重力など関係ないとばかりに立体的な軌道を描き右は左へと飛び交うのは
長槍で足を貫き、大斧が腕を粉砕し、大剣が首を断つ。一糸乱れぬ連携によって瞬く間にモンスターは数を減らしていった。
「両側は終わりそうだなー……」
「ボケっとしてるなソル」
不意に声をかけられ、戦場を見渡して呟くソルの頭が後ろから殴られる
「いって!!……あれ?なんでマルスがここにいんの?後ろの敵は?」
「粗方片付けてミュウスとニグに任せてきた」
黒い髪に褐色の肌。猛禽類のような鋭い眼光。ソルよりもいくばくか低い身長の彼はハーフドワーフという種族だ。
手にはモンスターの血肉によって赤く染まりきった、黒い戦斧が握られている。
ソルが後方を見れば、すでに身体を叩き潰されたモンスターの死骸が山となって積み上がっている。
その先では、風が吹き荒れる度にモンスターが吹き飛ばされ、氷片が散るたびモンスターの咆哮が減っていくのが分かる。
それを見て「問題なさそうだ」と呟き、あらためて前を向く。
「それは良かった」
「悠長なこと言ってんなよ。今回の目的は達成してるんだろ?さっさと終わらせて帰るぞ」
「すごい急かすじゃん」
「うるせぇ———やるぞ」
マルスの持つ雰囲気が友人と話すどこにでもいるような青年から、武人のものへと変貌する。
それに対してソルは剣を引き抜き、正面を見つめながらニヤリと笑う
「俺が正面を殲滅する。道をこじ開けろ、マルス」
「了解した、団長」
二人の
こうして、モンスターの群れは一匹残らずその屍を晒すこととなった。