ダンジョンで雷神に拾われたのは間違いだったのだろうか?   作:やたからす

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第9話

「ソル。お前はどう考える?」

「と、言うと……【モリガン・ファミリア】の事か?」

「そうだ。ソルだって、そろそろ鬱陶しくなってるんじゃないか?」

「そりゃね。何年も同じ名前ばかり聞かされたら飽き飽きもする」

「あの女神は執念深いからなー」

 

 店から出てホームへと帰還するすがら、頭の後ろで手を組みながら歩くトールが トールも嘆息しながから呟く。

 

「まだ残党がいるのは知ってたが、俺らとやり合う力は無いだろ」

 

 当時の【モリガン・ファミリア】に所属していた上級冒険者のほとんどはソル達によって討ち取られている。

 壊滅せず、未だファミリアとして残っているのはトールの慈悲でもあった。

 それらを踏まえて、どれだけ凄惨な被害を与えたのかをよく知るソルは敵にならないの考える。

 

「考えが甘いぞ。闇派閥(イヴィルス)は【モリガン・ファミリア】以外にもいる。そいつらが結託して、勢力を吹き返している可能性もゼロじゃない」

「………」

 

 ソルはトールの考えにも一理あると、手を口元に当てて考え込む。

 

「それに、最近は大人しかったのに私たちに察知される事を理解しながら活動を始めたのも、本物の破滅主義者でないなら、自信があるからだろ」

「自信?」

ソル達(トール・ファミリア)と戦って勝てると思ってる、ってとことだ」

 

 ソルから放たれる圧が増す。それは静かに燃え上がら炎のように。トールはそんなソルを見て悪戯っ子のように微笑む。

 

「舐められてるのか?」

「もしくは戦力を知った上でだろう。そうだったら、どうする?」

「二度と家族(ファミリア)に手を出せないように、徹底的に潰す」

「くくっ、いいな。私の眷属らしい、暴力的な考えだ」

 

 ソルは聖人君子で無ければ、敵対者を許すほどのお人好しでもない。そこに関しては主神譲りの性格だと言えるだろう。

 

「ちょうど今は好機だしな」

 

 好機、と言うのは大派閥がいないという点。【ロキ・ファミリア】は遠征中。【フレイヤ・ファミリア】も主神が都市外へ出てしまったがために上位陣が不在ときている。

 つまり、今の都市で何をしようと武力で【トール・ファミリア】を止められるものはいない。

 

「向かってくるなら、相手になる。俺たちにだって策の一つ二つはあるし、新世代も確実に育ってる」

「ヒースやライガのことか?」

「それ以外にも全員だ」

 

 ソルはファミリアの面々を頭に浮かべて屈託のない笑顔を浮かべる。

 他派閥(ファミリア)からは「戦闘狂」「血を好む鬼人」など思われているが、実際は家族(ファミリア)の事を誰よりも大切に思っている心優しい青年であるとトールは知っている。

 

「おーおー、身内贔屓だねー」

「まあな」

「ロキのとこにも【剣姫】や【千の妖精(サウザンドエルフ)】なんてのが育ってるのに、負ける気は無いってか」

「それは当然だし、圧勝してやるつもりでいる」

 

「あっはっはっ!!やっぱりソル、お前は面白い!!お前を眷属に出来たことが、下界へやって来た一番の戦果だな!!」

「俺もその評価に劣らない実力を付けるとするよ」

 

 ソルは強い。しかし、上には上がいるのも事実だ。いつの日かそれらを乗り越えて、トールのファミリアを最強にする事を改めて心に誓う。

 

「団長!トール!!やっと見つけた」

 

 突然声をかけられる。息を切らせながらやってきたのは【トール・ファミリア】に所属する団員の青年。Lv.3の第二級冒険者ルビンだ。

 

「どうしたルビン?そんなに焦って、なにかあったのか?」

 

 トールが首を傾げながら尋ねる。

 

「そ、そうなんです!シャルヴィさん達が呼んで来いって……」

「「???」」

「と、とりあえず来てください!」

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