コピーしたKOS-MOSに憑依して戦う魔神の戦闘記録 作:真っ黒鉛筆
EDFの基地から脱出した私と兵士達は近くの街へ向かった。
乗り物を調達する暇がなかったので徒歩での移動である。
私はともかく兵士達は疲労してるね。
まあ、ここまで戦闘の連続だったし仕方ない部分もある。
だから私は彼らをだらしないとは思わないよ。
街に近付くとKOS-MOSのセンサーに感有り。
どうやら街も宇宙人に襲われている模様。
そのことを隊長に伝えたら街の救援に向かうって言い出した。
いや、気持ちは分かるけど大丈夫なの?
私以外は皆疲れてるし、武器の弾薬だって心許ないんじゃない?
遠回しに危ないよって忠告してあげたんだけど隊長は聞く耳持たずですね。
軍人として民間人の被害を看過することは出来ないんだろうけど、他人の命よりもまずは自分の命を優先するべきだと思うの。
うーん、でも他の兵士達も戦うぞって雰囲気になってるし、水を差すのも悪いかな。
ここは私が頑張って彼らを援護してあげよう。
『怪物を攻撃しろ! 被害の拡大を防ぐんだ!』
『畜生! 一体どこの国の兵器なんだよ!』
『撃て! 怪物から市民を守るんだ!』
街で戦ってる防衛部隊の通信が聞こえた。
通信を聞く限りじゃ切羽詰まってる感じがするね。
早く戦闘に参加した方がいいけど……1人で突っ走らないって隊長と約束してるからなぁ。
それがなきゃKOS-MOSの全力ダッシュで戦場に駆けつけるんだけど。
はあ……団体行動は大変だなぁ。
「これより防衛部隊を支援する! 民間人の被害を減らすんだ!」
ようやく街に突入した兵士達はアサルトライフルで巨大蟻に対して攻撃を開始。
私は出しっ放しのG・SHOTで攻撃して、出来るだけ巨大蟻の数を減らす。
巨大蟻は攻撃されたのを察知して、こっちに向かって走り出した。
まだ距離があるから巨大蟻は酸を飛ばしてこない。
あれに当たるとドロドロに溶けちゃう自信があるから、巨大蟻には近付かないようにしよう。
弾幕を張って巨大蟻を近付けないようにするのだ。
「隊長、あれを見てください。我々の基地に落ちてきたのと同じ塔があります」
「くっ、あれがある限り、怪物は次々に湧いて出てくるというわけか」
兵士の1人が指差す方角には確かに塔が立ってる。
そこから巨大蟻がわらわらと現れてるね。
防衛部隊は巨大蟻の相手で手一杯のようだわ。
とすると塔を破壊するのは私達がやった方がいいな。
そんなわけで、隊長に塔を破壊しようって提案してみた。
隊長もノリノリでよしやったるかって感じだったからすぐに行動を開始した。
塔が立ってるのは街の中心地。
なので道路に沿って進めばすぐに辿り着けた。
塔の周りには巨大蟻がわらわらといたのでG・SHOTで蹴散らす。
兵士達はアサルトライフルで頑張って戦ってたよ。
微笑ましいね。
「……こんな巨大な物を我々の武器で破壊出来るのか?」
兵士の誰かがそんなことを呟いた。
近くで見ると塔は凄く大きかったよ。
まあ、歩兵の武器じゃ確かに歯が立たないかもね。
でも私はKOS-MOS。
高威力な武装はいっぱい持っているんだよ。
「私の武装で塔を破壊します」
「……そんなことが出来るのか?」
隊長が「本当に出来るの?」みたいな顔をしてたので、出来ると頷く。
「そうか。それなら頼む」
「了解です。X・BUSTER発射」
腹部から収束した極太ビームが放たれる。
狙いは塔のてっぺんにあるクリスタル状の何か。
いかにも弱点ですよって感じがするんだよね。
そんな私の予想は正しかったみたいで、塔のクリスタル的な物を破壊したら塔は崩れ去った。
よし、これで巨大蟻はもう増えない。
あとは残った奴らを殲滅するだけだね。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
街に現れた巨大蟻の駆除は済んだ。
これでようやく一息つけますよ……と思っていたんだけどな。
現実は甘くないようで、もう一波乱ありそう。
『何なんだあれは……?』
『巨大な宇宙船だ!』
『まさか……エイリアンだって言うのかよ!』
通信からは驚きの声が聞こえる。
彼らが何に驚いているのかというと、空を覆い尽くすくらい大きな円盤が現れたからだ。
巨大な円盤は次々と小さな円盤(小さいと言っても自動車よりでかいサイズだけど)を射出。
あからさまに不審な物が出てきましたね。
たぶんあれは宇宙人の戦闘機かな。
小さな円盤は人間達を無差別に攻撃し始めた。
軍人とか市民とか関係なく、人間を襲うようになってる模様。
歩兵や戦車じゃあれの相手をするのはきついだろうし、ここは私の出番。
G・SHOTで小さな円盤を攻撃する。
小さな円盤の防御力はそこまで高くないようで、簡単に撃ち落とせる。
でもレーザーによる攻撃力は結構強めなもんで、ちゃんと回避しないと不味い。
これじゃ他の兵士達はかなり危険かもしれないね。
小さな円盤のレーザーが当たれば人間なんて死んじゃうだろうし。
出来るだけ早く小さな円盤を撃墜していく必要があるかな。
「X・BUSTER発射」
拡散モードのX・BUSTERで小さな円盤を撃ち落とす。
小さな円盤は相当数落ちたが、それでもまだまだたくさんいるから困る。
「KOS-MOS! 建物の陰に隠れろ! そのままじゃ狙い撃ちにされるぞ!」
隊長が心配してくれるけど、今は隠れるわけにはいかないのよね。
こうして私が矢面に立って迎撃しないと小さな円盤は数が減らないし。
『巨大な円盤に動きがあります。何かの装置が起動したようです』
『あれは……大砲じゃないのか!?』
『退避だ! 退避しろ!』
どうも巨大な円盤が攻撃体勢になったみたい。
上を見上げると確かに巨大な円盤から大砲みたいな物が出てきてる。
このままじゃやばい気がするので隊長達と一緒にその場から逃げた。
その判断は正しかったようで、私が戦っていた場所は巨大な円盤の砲撃により吹き飛んだ。
砲撃した所にはぽっかりと大穴が開いてることから、その威力が窺い知れるね。
そんなやばい攻撃をした巨大な円盤はゆっくりと上空に去っていった。
去り際に小さな円盤を追加で放出していったのは勘弁してほしかったよ。
宇宙人のくせに嫌がらせするのはやめろ。
『巨大な円盤は空軍に任せろ。地上部隊は小さな円盤を破壊するんだ』
誰かは知らないけど無茶言ってくれるな。
私以外は小さな円盤を撃ち落とすのは厳しいと思うよ。
兵士達の武器の火力が足りないんだよ火力が。
「全員KOS-MOSを中心に集まれ! 円盤に火力を集中するんだ!」
あらら、隊長はやる気満々だね。
私と一緒に小さな円盤を撃ち落とすつもりみたい。
彼らが頑張るなら私も負けてられないかな。
頑張って残りの敵を仕留めるとするか。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
街を飛んでいた小さな円盤(戦略情報部の人曰く、戦闘ドローンだって)を全て撃墜した私と兵士達は、休憩と補給を挟んでから工業地区で孤立している味方の救出に向かった。
工業地区にはさっき戦ったドローンが大量にいる。
巨大蟻もそうだけど宇宙人は数で攻めるのが好きらしいね。
ドローンはふわふわと浮いてるだけで攻撃はしていない。
人間が近くにいないと攻撃しないようになってるのかも。
まあ、攻撃されたらこっちに向かって来るだろうけど。
今回はドローンを引きつける囮役と救援を求めてる味方を助けに行く役に分かれた。
私は当然、囮の方だ。
派手に暴れるとしよう。
「KOS-MOS。今回は敵をある程度引きつければいいんだ。無理はするなよ」
「了解です。可能な限りドローンを引きつけます」
隊長と短い会話を交わしてから戦闘開始。
G・SHOTで攻撃するとドローンが一斉に襲いかかってきた。
ドローンからのレーザーは正確に私を狙ってくるので、強化人間の能力でステータスに補正のかかっている状態でも回避はぎりぎりだ。
このままじゃいつか回避に失敗しそうな気がするし、早めにドローンを撃ち落としたいね。
「X・BUSTER発射」
密集していたドローンに対してX・BUSTERを収束モードで発射したらかなりの数を撃墜出来た。
でもドローンはまだ大量にいるので、間髪入れずにG・SHOTによる射撃を再開する。
『こちら戦略情報部です。現時点をもって黒い怪物をアルファ。糸を飛ばす怪物をベータと呼称します。アルファ型は巨大な顎による噛みつきと強力な酸による攻撃を行います。ベータ型は俊敏ではありませんが、酸を含んだ糸を出す為非常に危険です。戦闘の際は充分に注意してください』
ドローンを撃ち落としていると戦略情報部から通信。
巨大蟻と出会ったことの無い巨大生物の名称が決まったらしい。
でも、アルファとかベータとか言われてもね。
正直なところ、蟻は蟻でしょ?
わざわざ言い方を変えなくてもいいじゃんって思うわ。
『孤立していた部隊の救出に成功した! これより撤退する!』
おっと、どうやら孤立してた味方と接触出来たみたい。
それじゃ、もう少しだけ暴れて味方の撤退を援護するとしよう。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
工場地区で孤立してた味方は無事に助けることが出来た。
救出した部隊はありがとうってお礼を言った後に別の戦場へ向かっていったよ。
「俺達は隣の街へ防衛のために向かうことになった。全員、トラックに乗り込め」
どうやら次の戦場が決まったようだ。
私と兵士達は用意されたトラックに乗車。
そのままトラックに揺られて隣の街を目指すことになった。
道中にはアルファ型と命名された巨大蟻の死骸や巨大な蜘蛛(たぶんあれがベータ型なんだと思う)の死骸が転がっている。
本当ならあいつらの死体は処分した方がいいんだろうけど、現状ではそれも難しいかな。
どこも人手が足りない状況だろうしね。
「なあ、俺達が戦ってるのって何だと思う?」
「やっぱりエイリアンじゃないか?」
「そんな馬鹿な話あるもんか。絶対どこかの国が攻めてきたんだよ」
「そうかな……? 俺にはとてもそんな風には思えない」
「お前ら映画に感化されすぎだ」
トラックの荷台では兵士達がひそひそ声で会話している。
まあ、KOS-MOSの集音機能なら全部聞こえるんだけどね。
どうやら兵士達は相手が何者かまだ意見が分かれているみたい。
今のところ、相手が宇宙人だって知ってるのはEDFの上層部と原作知識を持ってる私くらいだろう。
「KOS-MOSは敵の正体って何だと思う?」
むむっ、私に話が飛んできた。
相手は宇宙人ですって言いたいところだけど、ここは話をはぐらかしておこうかな。
下手に原作知識で会話するとボロが出るかもしれないし。
「現時点では敵勢力が何者か判断しかねます」
「固いなぁKOS-MOSは。もうちょっと砕けた態度でいいんだぞ……ん?」
いきなりトラックが停車した。
これは……嫌な予感がしますね。
「怪物が現れた! 駆除するぞ!」
あーやっぱり敵襲か。
心休まる暇がありませんな。
「全員、急いで下車しろ! 怪物は待ってくれないぞ!」
隊長の指示を聞いた私と兵士達は急いでトラックから降りて戦闘準備を整える。
遠くを見ればアルファ型が大群でこっちに向かって走ってきてる。
それに空を見れば円盤が大編隊で飛行してる。
これって私達がさっきまでいた街への攻撃部隊だよね?
わざわざ徒党を組んで襲うなんてご苦労なことで。
「空には大型円盤がいるが、それは空軍に任せろ。俺達は地上の怪物を倒すんだ」
どうやら今回は空軍が援護してくれるらしいね。
まあ、それなら私は虫退治をやりますか。
「G・SHOT」
異空間からG・SHOTを呼び出してアルファ型を攻撃する。
アルファ型はいつものように真っ直ぐ突っ込んでくるので、近付かれる前に始末しておく。
そうしないと酸攻撃で悲惨なことになってしまうしね。
『まもなく空軍による攻撃が始まるぞ』
延々とやってくるアルファ型をG・SHOTでミンチにしているとそんな通信が届いた。
さて、この世界の空軍の実力はどんなもんかな?
個人的には頑張ってほしいんだけどね。
『こちらスカイバット。これより攻撃を開始する』
いよいよ空軍による攻撃が始まった。
円盤にたくさんのミサイルが襲いかかり、激しい爆発が起こる。
円盤はたちまち爆炎に包まれた。
『遅い遅い!』
『そんな兵器で俺達に勝つつもりか!』
『ははっ! 面白いように当たるぞ!』
見た感じ、空軍の戦闘機が円盤を一方的に殴ってる。
実際、戦闘機が放ったミサイルは全て円盤に命中してる。
……でも、なんか違和感があるんだよなぁ。
なんていうか相手にされてないような感じがする。
……もしかして、こっちの攻撃が効いてないんじゃ?
『……無傷だと!?』
『畜生、攻撃が効かない!』
『回避しないのはその必要が無いからか!』
あ、やっぱりそうだよね。
ダメージ与えてないよね。
『攻撃を単一目標に集中しろ! そうすれば防御が固くても突破出来る!』
空軍は1つの円盤に集中攻撃することにしたようだ。
戦闘機のミサイルが1つの円盤に次々と撃ち込まれる。
でも、円盤は微動だにしていない。
どんだけ硬いんだよあの円盤。
『駄目だ我々の攻撃じゃあの円盤は落とせない!』
空軍は数分間攻撃を続けたけど円盤は1つも撃ち落とせなかったよ。
空軍は自分の無力さを噛み締めて枕を涙で濡らせ。
「くそ、空軍は何やってるんだよ! これじゃ円盤をみすみす逃がすようなもんじゃねえか!」
兵士の1人が文句を言う。
まあ、気持ちは分からなくもないよ。
期待させといて結果がこれじゃ怒りたくもなるってもんさ。
「……なあ、KOS-MOSならあの円盤をどうにか出来るんじゃないか?」
空軍に対して怒ってる兵士とは別の兵士がそんなことを言った。
たぶん冗談のつもりで言ったんだろうけど、これはやってみる価値あるんじゃないかな?
「了解です。試してみます」
「え? い、いや今のは冗談だから」
「リミッター解除。X・BUSTER発射」
最大出力のX・BUSTERを収束モードで撃ち出す。
これなら撃ち落とせるでしょ。
「……そんな。KOS-MOSでも駄目なのかよ」
兵士が驚愕してるけど、私も驚いてる。
まさかX・BUSTERが直撃しても平気だなんて円盤を舐めてたわ。
うーん……これは少し興味があるな。
あの円盤の防御力には何か秘密があるんじゃないか?
私の勘もそんなこと言ってるし。
……よし、ここは私の勘を信じてみよう。
あの円盤にコピー能力を使ってみるぞ。
円盤をじっと見てコピー能力を発動っと。
さて、何かコピー出来たかな?
KOS-MOS Ver.4(コピー魔神) Lv19
格闘156
射撃176
技量173
防御140
回避188
命中191
固有能力 【コピー能力】
一般能力 【強化人間Lv5】
【歪曲フィールドLv-】
【自己修復装甲Lv3】
よっしゃ、2つも能力をコピー出来たぞ!
コピーしたのは歪曲フィールドと自己修復装甲っていう能力。
歪曲フィールドの効果は全ての攻撃の威力を半減させるというもの。
自己修復装甲の効果は受けたダメージをある程度回復するんだってさ。
これが円盤の異常な防御力の秘密か。
相手の攻撃を歪曲フィールドで弱めて、受けたダメージは自己修復装甲で即回復してるんだな。
「KOS-MOS! 無駄なことはするな! 怪物を倒すことに集中しろ!」
隊長から怒られちゃった。
人間が私を叱るなんて1000年早い。
……でもまあ、今の私は気分が良いから許してあげる。
次からは気を付けてね。
「見ろ! 円盤が怪物を投下してるぞ!」
「くそったれ! 円盤も怪物を次々に呼び出せるってわけか!」
空を見上げれば、そこにはアルファ型を投下する円盤の姿が。
蟻のおかわりなんていらないんですけど。
「怪物を駆除する! 俺に続け!」
血気盛んな隊長に続いて兵士達がアルファ型に突撃する。
危なっかしい兵士達を見殺しには出来ないので私も仕方なしに突撃する。
この突撃が功を奏したのかは不明だけど、アルファ型は早々に駆逐出来た。
円盤はどうしようもないので渋々見送ったよ。
で、戦闘終了後に進むのか戻るのかで一悶着あった。
円盤を追いかけようって言う人達が結構いたんだよね。
この件に関しては最終的に先に進むってことに決定。
私と兵士達は当初の予定通り、隣の街へ向かったのだった。