コピーしたKOS-MOSに憑依して戦う魔神の戦闘記録   作:真っ黒鉛筆

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 アーマードコア世界に来て1週間経った。

 

 その間のんびりしてたわけじゃなくて色々調べたりしてたよ。

 この世界はインターネットが発達してるから調べ物をするのは簡単でいいね。

 

 調べた結果、私のいる地域は紛争が起こっている模様。

 ドンパチしてるのはナービス社とミラージュ社っていう2つの企業だよ。

 どっちも新資源っていう謎の地下埋蔵品欲しさに争ってるらしい。

 

 表向きに争ってるのはナービス社とミラージュ社だけ。

 でもクレスト社とキサラギ社っていう企業も隙あらば新資源の市場に参入したがってるみたい。

 

 で、そんな企業が戦うために欲しがってる戦力を提供してるのがレイヴン達の派遣・斡旋を生業とするレイヴンズアークって組織。

 

 あと企業のいざこざを調停してる組織もあるんだっけ?

 全然企業の調停とか出来てないみたいだし形骸化した組織なんじゃない?

 組織の名前は忘れちゃったけど気にしなくてもいいよね。

 

 それでこの世界について調べてて思い出したんだけど、この世界の原作ってアーマードコア ネクサスってゲームじゃん。

 

 私、このゲームはプレイしたことないから断片的な知識しか持ってない。

 そもそもアーマードコアっていうゲーム自体をそんなに知らない。

 

 あ、でも前に見た重武装なACのレイヴンはジャック・Oだっていうのは分かる。

 弱王とか呼ばれてネタにされてるのは知ってるんだよね。

 知ってるからなんだって話なんだけど。

 

 ……まあ、私の薄っぺらい原作知識は横に置いておこう。

 それよりも今後の身の振り方について考えるか。

 

 私の少ない原作知識によれば主人公はレイヴンズアークに所属してた。

 何故なら主人公はレイヴンだったから。

 

 だからってわけじゃないけど私はレイヴンになろうと思うの。

 というかこの世界じゃそれ以外の選択肢が無いとも言える。

 

 レイヴンの必須アイテムであるACは持ってないけど私は生身でも強いし平気だよたぶん。

 ACを持ってない奴がレイヴンと呼ばれるのかは疑問だけど。

 

 まあ、いざという時は私のコピー能力で誰かのACをコピーすればいいし。

 何の問題もありませんね。

 

 

 

◇   ◇   ◇   ◇   ◇

 

 

 

 レイヴンになるための条件は意外にも簡単だった。

 

 書類に自分のプロフィールを書いて、簡単な面接をして、最後に実技テスト。

 これだけでレイヴンになれちゃうのだ。

 

 でも、簡単そうに見えるレイヴンへの道だけど、実際は厳しめだよ。

 というのも実技テストで命を落とすレイヴンの卵がたくさんいるらしい。

 

 レイヴンの数は少ないのはこの実技テストのせいだという人もいる。

 でもレイヴンになるためにレイヴンズアークの扉を叩く人は多いそうな。

 死にたがりが多い世界だなって思う。

 

 まあ、自分は大丈夫。

 伊達や酔狂でKOS-MOSの身体に憑依してるのではないのだよ。

 

 というわけで書類審査や面接をクリアしてレッツ実技テスト。

 

 実技テストは先輩レイヴンとの模擬戦をするんだって。

 まあ、模擬戦と言いつつ、実弾使うんですけどね。

 実弾で模擬戦とかやってたらそりゃレイヴンの卵も大勢死にますわ。

 レイヴンズアークも何を考えてこんなテストをしてるんだろうか?

 もしかして現実の厳しさをレイヴンの卵に教えるためなの?

 そうだとしたら逆に現実の厳しさを教えてあげよう。

 私はやられる側よりやる側の方がいいです。

 

 対戦相手はアモーというレイヴン。

 腕部と肩部にロケット兵器を装備したバースボムっていうACに乗ってる。

 

 対する私はAC無し。

 なんとACが無くてもレイヴンになる資格はあるらしい。

 面接で「ACは無いがレイヴンになりにきた」と私が担当者に言ったら可哀想な者を見る目をされたのは悪い思い出。

 

 対戦する場所は遮蔽物の一切無い平地。

 壁を使って防御が出来ないし、機動力で相手を翻弄する必要があるだろう。

 

『まさか生身で戦いを挑む馬鹿がいるとはな。なめられたものだ』

 

 アモーから熱い言葉を頂いた。

 これはお返しに弾丸をくれてやられば。

 ACの有無が戦力の決定的な差ではないことを教えてやる。

 

『ready……go!!』

 

 テスト開始の合図と共に私は左回りに走りながら異空間からG・SHOTを両手に転送した。

 

『なっ……その武器、どこに隠していた!?』

 

 アモーは私がG・SHOTを異空間から転送したことに驚いている。

 そういえばこの世界って空間転送技術の類は無いんだっけ?

 それなら私がやったことに驚くのも無理ないね。

 

『どんな手品を使ったのか分からんが、そんなことで勝てると思うな!』

 

 アモーのバースボムが先制攻撃のロケット弾を放つ。

 しかし、ロケット弾は明後日の方角に飛ぶ。

 どうやらアモーの操縦技術はそこまで高くない模様。

 もしかして動揺してたりするの?

 

 まあ何にせよ、アモーは二流レイヴンっていう認識でいいか。

 

 慌てずにG・SHOTのトリガーを引き、バースボムに銃弾を叩き込む。

 バースボムはブーストを使うこともなく走り回っているだけ。

 そんな動きで私の銃撃を躱せるわけないだろいい加減にしろ。

 

 バースボムは腕のロケット兵器で応戦するが全く当たる感じがしない。

 KOS-MOSは当然ACよりも小さいし、常に高速で動き回っているしね。

 そりゃ当てるのはさぞかし難しかろう。

 

 このままでは不味いと思ったのかバースボムが急接近してきた。

 左腕にはレーザーブレードが装備されているけど、あれで斬るつもりなの?

 

 そのまさかであった。

 バースボムはレーザーブレードを振りかぶり私に向けて振り下ろした。

 

 ……まあ、当たるわけないんですけどね。

 あんな単純な攻撃に当たってやるわけにはいかない。

 

 私は素早くバックステップを行い距離を取る。

 そして再びG・SHOTでバースボムに攻撃を始めた。

 

 そんな感じで一方的に私が殴っているとバースボムが黒煙を上げて停止した。

 テスト開始から僅か1分弱の出来事でした。

 

『貴様……覚えておくぞ』

 

 アモーから負け犬の遠吠えを聞いたところでテストは終了。

 

 私はレイヴンになったのだった。

 

 

 

◇   ◇   ◇   ◇   ◇

 

 

 

 私のレイヴンとしての初仕事はOAEからの依頼だった。

 

 OAEってなんだよって思っちゃったけど企業間の調停をやってる組織のことだって私の専属オペレーターが言ってたよ。

 

 そんな私にとって影の薄いOAEの依頼内容は支援物資の破壊。

 ミラージュ社に送るはずの支援物資をわざわざ破壊してほしいんだってさ。

 

 ……うん、企業の足を引っ張る依頼だよねこれ。

 OAEって少し前にミラージュ社に恫喝されて渋々支援物資をあげることになったらしいけど、命令受けた途端にこれですか。

 

 自ら支援物資を破壊して嫌がらせとは、なかなかいい根性していらっしゃる。

 事の顛末を架空の第三者に押し付ける辺り、タチが悪いわ。

 

 ……まあ、ちゃんとした依頼なんだし文句を言っても仕方ないか。

 報酬は破壊したコンテナの数に応じて増額するって話だし頑張るぞ。

 

『依頼内容は倉庫内のコンテナを全て破壊することです。迅速な行動をお願いします』

 

 オペレーターの言葉と共に搬入用のエレベーターの扉が開く。

 

 倉庫内は支援物資がぎっしり詰まっていた。

 警備にはガードメカが数機いるだけ。

 こんなの襲ってくださいと言ってるようなもんだよね。

 

 今回の依頼は制限時間が設けられているので迅速に破壊する必要がある。

 なので手早くX・BUSTERの拡散モードでコンテナを破壊することにしよう。

 

「X・BUSTER発射」

 

 私の腹部から撃ち出されたビームは放射状に放たれコンテナを次々と破壊していく。

 

 1発撃っただけでコンテナの半分は破壊出来た。

 これは楽勝な依頼ですわ。

 

 もう一発X・BUSTERを発射してほとんどのコンテナを壊した。

 後はちょっとだけ残ったコンテナをR・CANNONで処分しておしまい。

 

『まさかこれほどとは……いえ、失礼しました。素晴らしい成果です』

 

 オペレーターが何やら驚いているみたい。

 内心はAC無しで何が出来るんだって思ってたに違いない。

 初めて顔合わせした時、私のこと嘲る様な目で見てたもん。

 オぺレーターはいつか見返してやるからな覚悟しろ。

 人間のくせに私を見下すなんて1000年早い。

 

「任務完了。これより帰投します」

 

 オペレーターを見返すことを決意して私は倉庫から出た。

 そして帰りのヘリに乗って帰還したのだった。

 

 

 

◇   ◇   ◇   ◇   ◇

 

 

 

 今日の依頼は何時ぞやのミラージュ社の基地の防衛。

 

 あそこは恩を仇で返してきた連中のいる嫌な場所だね。

 あの基地は壊滅してもいいんじゃないって思う。

 

 でも今回は依頼で行くわけで、ここが組織の歯車の面倒なところだよね。

 

 あー、あの基地を襲撃する依頼があれば合法的にあの基地を襲えるんだけどなぁ……って言ってもしょうがないか。

 

 ……ふう、仕方ない。

 今回は依頼通り防衛しますか。

 私は公私混同しない神だからね。

 

 すでに戦闘は始まっているみたいで、爆撃機が爆弾を投下してる。

 でも防衛戦力の対空砲火によって狙った場所に爆弾を落とせない模様。

 そんなわけでまだ基地に致命的なダメージは無い。

 

 でも爆撃機と一緒に来てるヘリによって基地の防衛戦力は数を減らしてる。

 このままじゃ遠からず爆撃は成功してしまうだろう。

 そうなる前に私が爆撃機を撃墜しよう。

 KOS-MOSの武装の前にはどんな航空機も無意味なのだ。

 

「G・SHOT」

 

 異空間からG・SHOTを呼び寄せて空へ向けて構える。

 目標は爆撃機優先でヘリは後回しでいいかな。

 

 狙いを定めてG・SHOTのトリガーを引く。

 

 私の放つ弾丸が爆撃機を食い破る。

 爆撃機は爆弾を腹に抱えたまま基地の手前で爆散した。

 

『くそ! 前の部隊を全滅させたレイヴンがまたいるのか!』

 

『ヘリはACを撃破しろ! このままでは爆撃機がやられてしまう!』

 

『ミラージュの基地にACらしき機体は確認出来ない!』

 

『そんなはずない! もっとよく探せ!』

 

 敵の通信を傍受した。

 ふむ、どうやら前回と今回の襲撃者は同じ組織みたい。

 

 戦力を増強してもう一度基地を襲いに来たんだろうけど残念だったね。

 この基地を守っているのはACじゃなくてKOS-MOSなんだ。

 戦力を見誤ったことを後悔しながら死ぬがよい。

 

『もう駄目だ! 撤退する!』

 

 私の苛烈な対空砲火によって敵の航空機は撤退を余儀なくされた。

 撤退出来たのはたったの数機だけだったね。

 逃げる判断をするのが遅すぎると思うよ。

 敵の指揮官は今回の件で首が飛ぶかもしれませんな。

 

『敵の航空機は撤退したようだ。レイヴン、協力に感謝する』

 

 基地の人から形式的なお礼を言われた。

 まあ、形だけでもお礼を言われたら嬉しいかな。

 

 よし、これで依頼は達成だ。

 早く帰ろうっと。

 

『レイヴン。ナービス社から緊急の依頼です。至急、ベイロードシティに向かってください』

 

 帰る支度をしてるとオペレーターが新しい依頼があることをお知らせしてくれた。

 

 依頼を続けてやれだなんてレイヴンズアークもなかなかブラックな組織だよね。

 まあ、私は疲れ知らずのKOS-MOSだから別にいいけどさ。

 

「了解しました。これよりベイロードシティへ向かいます」

 

 私はオペレーターにそう言うとヘリに乗り込んだ。

 

 ヘリで移動中にベイロードシティについてオペレーターから説明があった。

 

 ベイロードシティっていうのはナービス社の本社がある都市で、分厚い外壁に覆われているらしい。

 

 ナービス社がこの地域を開拓する際に建設して、ナービス社の社員はここに住んでるんだって。

 

 そんなベイロードシティで緊急の依頼かぁ。

 ちょっと本拠地の警備甘いんじゃないかなって私思うの。

 

「レイヴン、ベイロードシティに到着した」

 

 ヘリのパイロットが目的地に着いたことを教えてくれた。

 よし、じゃあもう少しだけ働きますか。

 

 ヘリから飛び降りてベイロードシティ内部に入る。

 

 都市内部は真っ暗だった。

 まあ、外はもう夜だし都市内部の照明も暗くしてるんだろうな。

 

『現在、都市内部に所属不明のMTが侵入しています。MTの排除を優先してください』

 

 オペレーターから指示を聞きつつ、破壊音のする方向へ走る。

 

『なんだお前は? 我々はレイヴンの派遣を依頼したはずだが』

 

 走ってる最中に通信が聞こえた。

 通信の相手はナービス社の社員みたい。

 その声には私に対して懐疑的なものがかなり含まれてたよ。

 まあ、緊急の依頼をしてやってきたのがACに乗ってない女の子だったらそうなるよね。

 

「私が派遣されたレイヴンです。これより戦闘行動を開始します」

 

『……ふざけているのか?』

 

 明らかにナービス社の社員は不機嫌そうだ。

 怒りたい気持ちも分かるけどここは冷静になってほしいんですけど。

 

『やはり彼も雇って正解だったか』

 

 ナービス社の社員からそんな呟きが聞こえたのと同時にMTを発見した。

 

 敵MTは都市の破壊活動を行ってる真っ最中だった。

 MTの外見は頭部の無い人型って感じ。

 

 私は都市への被害を考慮してR・CANNONを選択。

 MTに狙いを定めて……定めにくい?

 

『敵MTはECMを使用しています。注意してください』

 

 オペレーターに言われてなるほどと思った。

 なんか都市内部に入ってからセンサーの感度が悪いなって感じてたのよね。

 敵のECMが原因だったのか。

 

 それなら接近して倒してしまおう。

 

「R・BLADE」

 

 KOS-MOSの右腕を電磁ブレードであるR・BLADEに換装してMTの1機に駆け寄る。

 

 MTは手に持ったライフルで攻撃してくる。

 狙いは正確でKOS-MOSのサイズにちゃんと対応しているな。

 

 でもKOS-MOSの運動性能を加味していない以上、当たるわけがない。

 

 あっという間にMTに接近。

 MTは後ろに下がろうとするが反応が遅い。

 この辺はMTの反応速度が鈍いのが原因だろう。

 KOS-MOSみたいな機敏さを求めるのは高望みが過ぎるかな。

 

 R・BLADEでMTの脚を斬り、MTを転倒させる。

 倒れたMTはそのまま放置して他のMTも無力化しよう。

 

 どうやら他のMTは仲間がやられたのを見て接近されるのは不味いと判断したようだ。

 所謂、引き撃ちをしながら私を近付けないようにしている。

 

 正直、複数のMTから集中攻撃をされると困る。

 全ての攻撃を回避することは今の私には難しいから止めてよね。

 まだKOS-MOSのレベルは2だもん。

 ステータスも低いし安全第一でいこう。

 

 ……しかし、この状況は少し不味い。

 このままじゃ近付くことが出来ないし、接近戦は諦めて別の武装を使おうかな……おや?

 

 ビルの陰に隠れてどうするかと悩んでいると突然MTの1機が爆発した。

 

 ECMのせいでセンサーの感度は悪いがビルの上にACがいるのを確認。

 あのACがMTを撃破したみたい。

 たぶんナービス社が私以外にもレイヴンを雇ったんだろうね。

 それだけナービス社の人達は焦ってるのかもしれない。

 

 ACはビルから飛び降りるとそのままブースターを噴かしてMTに近付きレーザーブレードを一閃。

 

 そして振り向きながら右手のライフルでMTを撃ち抜いた。

 

 流れるような動作に強者特有の力を感じた。

 あのレイヴンは強い、かな。

 

 残りのMTも現れたACが全部倒してしまった。

 獲物を横取りされたみたいで少し嫌な気分だけど、とりあえず依頼は達成。

 

 ACは敵を全滅させるとどこかへと姿を消した。

 去り際にこっちを見てたような気がしたけど私の思い違いかな?

 

 ……まあ、見てたかどうかなんて気にしなくていいか。

 

 でも帰ったらあのACについて少し調べてみようっと。

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