半年以上の投稿となります。今回は本編をお送りします。
それでは、どうぞ。
春奈がレコードを買いに行くと宣言した数日後……
「では、これより『レコードショップ』を目指して出発します。みなさん、覚悟は出来ていますか?」
「いえーい! お買い物だーっ‼︎」
「お友達だけでお出かけなんて、はじめてなの。楽しみー♪」
この日京介や美夢達は駅前に集合していた。しかも学校でないため、全員制服ではなく私服に身を包んでいるが、身なりがいいためか周りの一般人からしたら少し浮いていた。
そんな彼らだが……春奈主導の元、胡桃とみいこが無邪気にはしゃいでいるのであった。
「むむっ。いけませんよ、そんなに浮かれていては……!街には恐ろしい危険が
胡桃とみいこの反応を見た春奈は2人を咎めると同時に街には危険があると講釈を垂れていた。胡桃とみいこは熱心に聞くのとは裏腹に退屈そうにしていた。それに対して、遠目で見ていた桜雪達は呆れながら見ていた。
しかし、『世間知らずのお嬢様』の筆頭枠である美夢は何処か不安な表情で落ち着きがなかった。
「……? 美夢ちゃん、元気ないね。おなか痛いの?」
「違うの。実は…」
それを心配そうに見ていたみいこは声を掛けるも、美夢は何故そうなったか口を開いた。此処にいる全員は『内緒でレコードを買いに行くから、親に嘘をついた事に罪悪感を抱いている』と思っていたのであった。
「『京介くんとデートに行ってきます』なんて、お父様たちに嘘をついてしまったのが申し訳なくて……それにお小遣いもたくさんもらっちゃったから後に退けなくなっちゃったの……」
美夢のその一言でその場にいたほぼ全員がコケそうになった。彼女達からしたら呆れて物も言えない案件であるが、本人からしたら真面目に悩んでいるのでなんとも言えなかった。
「でもそれ気にしすぎじゃない?わたしはよく、嘘をつくよ?『学院の果樹園にライオンがいました〜!』とか…」
「『屋上にUFOが不時着した〜!』とかでしょ?そんな嘘はすぐバレるし、少しは罪悪感を抱きなさい」
未だ気まずくなっている美夢に対し胡桃はフォローになってないフォローをするも、咲恋は呆れながら胡桃に対して罪悪感を抱くよう咎めた。
「美夢ちゃん。やっちゃったことはしょーがないの。反省はあと。今は楽しまないと損なの♪」
「そ、そうかな? いいのかな……?」
みいこは反省するのを後回しにして今を楽しむように諭してきた。しかしそんなそんなみいこの言葉は一種の激励と捉えられるが、美夢はまだ戸惑いを露わにしていた。
「よくはない気はしますが……父も、『人生、ときには冒険も必要だ』とよく言っています。私たちにとっては、今がそのときではないでしょうか?」
春奈も話に加わってきて、今度は説得力のある言葉で美夢を激励してきた。
「冒険……かぁ。すごく、いい言葉だね。 ……行こう!みんな!」
春奈とみいこの言葉で勇気がついたのか、美夢はだんだんと元気を取り戻した。その言葉に胡桃とみいこは「おお〜〜!!」といって応えた。
「ふふっ。では、わたくしについて来てください。街での作法は、きちんと予習してきましたから」
その光景を微笑ましく見ていた春奈は、勿体ない気もするがと感じるも、今日の本来の目的もあるためこの話を打ち切って、自分に着いて来るよう促した。その後は、春奈と胡桃とみいこは(京介の助言もあるも)切符売り場で切符を購入するまで済ませた。
「よろしいですか?改札を通り抜けるときは、この機械にチケットをかざしてからスマートに……」
春奈は胡桃とみいこに改札の通り方をドヤ顔でレクチャーしていた。そして改札口に切符をかざして改札を通ろうとしたが……
通り抜けようとした直前で、改札のバーが閉じてしまったのだった。
「あらっ⁉︎な、なぜです?私の、なにがいけないとおっしゃるの⁉︎」
「いいんちょ……紙の切符はタッチじゃだめだと思うよ……」
慌てふためく春奈であったが、胡桃に真顔で切符をタッチするだけではダメだと指摘されたので、恥ずかしさのあまり顔を赤く染めて俯いてしまった。
その後は晴也と咲恋の助言で切符は『改札にかざす』ではなく『改札口に入れて』なんとか駅構内に入って無事電車までに乗る事まで漕ぎ着けた。
しかし……
「ちょっ、止め……い、今の駅、降ります! 運転手の方? 運転手の方どちらですか?」
「大丈夫だから。もし降り忘れても、次の駅で降りてホームの向かい側の電車に乗ればいいから」
春奈が途中で降りる駅を通り過ぎて慌てふためいた所を晴也に助言を言われたり……
「お、おかしい……同じところをグルグルと回っています。やはり、ガイドを雇うべきだったのでは?」
「そこまでしなくていいからね。この道は迷いやすいから……こっちを逆の方に行かないと永遠とループするわよ?」
道案内をしたのに何故か同じ場所に何度も到着した事を受けて、咲恋に道案内されたり……
「このお紅茶……容器に口をつけて飲めというんですか? そんなはしたないこと、できませんっ!」
途中休憩で飲み物を飲もうとした時に、ペットボトルの飲み口に口を付けて飲むのを躊躇ったり……
……っと、想定外や今まで馴染みの無い物に苦戦を強いられている春奈であった。その光景を胡桃とみいこはニヤニヤしながら見ていた。
こうして集合場所の駅前を出発して1時間後、有栖川一行は漸く目的地であるレコードショップに到着したのであった。
「ぜぇ……ぜぇ……着きました。ここが……レコードショップです……」
春奈は息汗を掻きながらを切らしていた。まさか自分が想定している以上にレコードショップまでの道は険しかった様子であった。ちなみに余談だが、後日京介達は『スムーズに行けば30分もかからない』と言っていたのは別の話である。
「いいんちょってば、めちゃくちゃグダグダじゃん。最初の自身はなんだったわけ〜?」
「だ、誰が……いいんちょ、ですかっ……!」
胡桃は息を切らしている春奈をニヤニヤしながら揶揄った。その際、春奈は息を切らしながらいつもの返しをするのであった。
「でも美夢ちゃん、結構慣れてるのー。もしかして家族で電車に乗って何処か出掛けてたの?」
その一方、みいこは美夢の手際の良さを無邪気に指摘した。美夢は『箱入り娘』に分類されるのだが、自分達と違って切符ではなくICカードを使って電車に乗っていたのだから捉えたようだ。
「いや……休日に京介くんと電車に乗ってデートに行ってたから自然と乗り方とか覚えちゃったの」
美夢のその言葉を聞いた全員は納得するように相槌をついた。しかし、ただ1人…桜雪だけは美夢のその言葉を聞いて眼光が鋭くなっていた。
「キョウ兄様?私に黙って美夢さんとデートに行ってたとはどういう事でしょうか?」
桜雪は京介の肩を掴んで微笑みながら彼に問いただした。しかも桜雪は本心では笑ってないので、その笑みは何処かドス黒く感じた。
「いやー……あれは美夢が『外出したい』って言い出して……」
逃げられないと悟ったは京介は目を泳がせながら言い訳をするしかなかったのだった。
「でもあの2人、デートまでして付き合ってないのが不思議でたまらないのー……」
「みいこさん。この状態だと火に油を注いじゃうから、それは口に出さないでね」
「晴也さんの言う通りです。それ以上の詮索はしないで下さい」
その一方で、みいこと晴也と春奈は耳打ちをするも、みいこの漏らした呟きはこの現状を更に酷くなる事に繋がりなりかねないので黙っておくよう晴也達は諭した。
「みんな、そろそろレコードショップに入らないかしら?これ以上お店の前にいるのは迷惑だし、時間も限られているからこれ以上無駄にするわけにはいかないわ!」
そんな様子を見兼ねた咲恋は一度咳払いをして当初の目的を思い出すよう促した。咲恋の指摘はもっともなので、全員は早速店内に入っていった。
「でもレコードはどこにも売ってないの」
レコードショップに入るや否や、みいこはあたりを見渡しながらそんな事を呟いた。周りを見るとCDならあるが、レコードの類はどこにも置いてないのであった。
「晴也くん。こっちの、ちっちゃくてキラキラしたやつは?」
「それはCDだよ。でもあのレコードプレーヤーでは聴く事はできないよ」
みいこは棚に陳列してあったCDを1枚手に取って晴也に見せながら尋ねた。晴也はみいこから渡されたCDを手に取るとそれを元あった場所に返しながらそう言った。
「……確かに、レコードはどこにも見当たりませんね。表には、レコードショップと書いてあったのに……」
春奈も店内を見渡しながらレコードが置いて無い事に不安を抱いていた。
「レコードって、古いものなんでしょ?今はもう、全部CDに入れ替わっちゃったんじゃない?」
胡桃はレコードが何故取り扱ってないか自分なりに指摘した。しかし今のこのご時世、スマホ一つで音楽も聴けるため、カセットでCDを聴く事はあまり無いがらポータブルプレーヤーにダビングして音楽を聴く方法もあるため、CDは今でも需要はあるのだ。
「なんですって! こ、ここまでの苦難の道のりが、無駄だったなんて……そんな……そんな……!」
「春奈ちゃん! 大丈夫……?」
胡桃の指摘を受けた春奈はショックが大きいのか、その場から崩れ落ちて跪いてしまった。それを見た美夢は春奈のそばまで駆け寄って慰めた。
「でもそうとは限らないぞ?レコードは一部のマニアからは結構重宝されているって話はよく聞く。だからその専門店を探せばレコードはあるかもしれない」
しかし、そんな春奈を見かねてか京介は彼女にフォローを入れるように助言をした。
「でもこの近くにあるのかしら?レコード専門のお店なんてそうそう聞かないわよ」
「なら今此処で調べるまでだ」
そう言って京介はスマホを調べてこの付近にレコードを取り扱っている店を調べようとした。
「いやいや、京介くん。スマホで調べるより誰かから聞いた方が早いよ?」
「どうせなら店員さんにこの近くにあるか聞いてみるの…あっ、いいところに。店員さーん!みいこ、レコードがほしいんです!」
そこに胡桃が待ったをかけてネットで調べるより聞き込みで聞いた方が早いと主張すると同時にみいこがちょうど店内で作業をしていた店員に話かけた。
「はい?レ……レコード、ですか?当店ではあいにく取り扱っておりませんが…」
「はい、知ってます。だから、どこに行けばレコードが買えるのか、教えてください」
店員に取り扱いは無いと言われても、みいこは続け様に何処に行けばいいか店員に尋ねた。
「あら。それなら、近くに中古レコードのお店があるわよ。狭くて汚いところだけど、たまに掘り出し物があるの」
ちょうどそこに栗色のロングヘアの女性客が通りかかって、この付近にレコードを取り扱っている所を教えてくれた。
「それならその場所、教えてくれますか?」
「ふふっ、いいわよ。このお店を出て、まっすぐと左に行くと下り坂があって……」
咲恋はその女性客にレコードの取り扱っている店の場所を聞き出した。京介もメモ帳とボールペンを取り出して女性客の話をよく聞いて場所のメモを取り始めた。
「なるほど……分かりました、貴重なお時間を取らせていただきありがとうございました」
「大丈夫よ。お返しはいらないけど、今度私が働いているお店に来てもらえると助かるわ」
女性客にお礼を伝えると、彼女は名刺サイズの紙を一枚取り出して京介に差し出した。
「名刺?どれどれ…
「愛莉でいいわよ。今時レコードに興味を持ってる学生さんを偶然目にしたから少しばかしお手伝いしただけだから」
お礼を言う京介に対して、女性客…愛莉はウインクしながらそう返した。
「分かりました。今度お店の方にお伺いしますね」
「店員さん、愛莉さん、ありがとうございます!」
今度は咲恋とみいこが愛莉にお礼を伝えて全員の所に戻った。その際、みいこは店員にもお礼を伝えたが。
「すっ……凄いね、京介くん、咲恋ちゃん、みいこちゃん。あんなに話せるなんて……」
その一連の流れを見ていた美夢は真っ先にその事を口に出した。
「必要最低限のマナーを身につけていただけだ。いずれ君も必要になる時が来るから早めに身につけて損はないぞ?」
京介からしたらそんな事は気にしていないようでメモの内容を確認しながら美夢に助言をするのであった。
「ようやくレコードに嗅ぎつけることができたし、それじゃあ次はそのチューコのお店っての、行ってみよう!」
胡桃のその一言を言い残すと、みいこと共にレコードショップを出た。それに呆れる一同であるも、時間も有限なため2人の後を追いかけるように着いてい行くのであった。
その後一行は中古のレコードの店に無事に到着した後は目的のレコードを買うだけになったのだが、全員でお金を出し合ったのと美夢が事前に貰ったお小遣いを合わせた合計の金額分を購入した結果、台車がレコードで埋め尽くす程の量あるのであった。
DJで使用する分には困らないのだが、流石に量が多すぎるため京介、桜雪、晴也、春奈、咲恋で分割してレコードを管理する事で話は収まった。
しかし時間も夕方になるところに差し掛かっていたので、今日はこの場で流れ解散する事のなった。その際、胡桃や春奈達は桜雪達が送って行くことになったのだが、京介が美夢を送るとなった時は桜雪が断固として拒否するも春奈に無理矢理引っ張られてその場をあとにするのであった。
そして京介と美夢は、電車に乗って目的地である美夢の家に向かうのであった。
「しかし今日は色々な事が起きたね……」
「まあ普段からこんな事は起きないからな、おそらく君の中では新鮮な気持ちになっただろ?」
紙袋一杯に入ったレコードを見ながら美夢と京介は今日の出来事を中心とした談笑をした。正直京介は疲れたと感じるも、何処か満更でもない表情であった。
そして美夢の自宅の最寄駅に着くと、2人は電車を降りて駅を出た。その次にタクシーに乗って帰ろうとするも、タイミング悪く帰宅ラッシュの時間帯に当たったため何処もタクシー乗り場は長蛇の列が出来ていたため、タクシーに乗るのは容易ではなかった。
仕方なく美夢は家に連絡して迎えを呼んだ。そして来るまで暫く待つよう言い渡された。
待つまでの間は暇になるので、駅前のカフェなどでコーヒーでも飲みながら迎えが来るのを待つ事となった。その際、ちょうど手頃のカフェを見かけたので、そこでお茶をしようとカフェに向かった。
「おっと、すみません」
「此方こそごめんなさいね」
しかしその最中、京介は誰かと肩がぶつかった。京介は一度詫びを入れようと肩にぶつかった人物に声をかけようと顔を上げた。そこには桃色の髪をロングヘアにした女性がいた。身長も、京介より少し低いくらいだけで大差がほぼ変わらない程背が高い。
声に出そうとしたその時、京介はその女性を目を凝らしながら数分ほど見つめた。
『私は来年中学生だから、京介くんは私に甘える事はできないよ?でも遊ぶ時間が減るのはイヤだけど』
『おれはもう一人前だから心配ぜ?大丈夫、もしさびしかったら遊び相手になるから迷わず声をかけてくれよ』
すると京介の脳裏には小学生の頃の記憶が蘇った。その記憶は自身が通ってた小学校の上級生との会話の一端のようだ。京介はその人の事は自分の姉のように慕っていると同時に頭が上がらなかった。その人もまた、一人っ子だったのか京介を自分の弟のように可愛がっていたのだ。
そしてそこから導き出された答えは……
「もしかしてアンタは
「そういう君は京介くん……?」
昔出会った顔馴染みとの偶然の再会であった。しかも2人同時に声を掛け合って互いに確認するのであった。
「まさか京介くんに再会するとは思いもしなかったわ♪」
「俺も、アンタと会うのは久しぶりだよ」
その後京介は美夢と一緒に女性…
「でも緋彩さんはどうして此処に?自宅からは遠いだろ?」
「もう一人暮らしをしてるわ。それに、今知り合いと待ち合わせている最中なのよ♪」
緋彩のその言葉に京介は納得していた。確かに緋彩の年齢的に考えると大学生か社会人のどちらかであるのは容易に想像できる。
「それにしても、京介くんにこんな可愛い彼女さんが出来てたなんて知らなかったわ〜。お姉さんは嬉しいわ…小さい頃は『ひいろさん!ひいろさん!』って言って後ろに付いてきてたのに」
「それは小学生の頃の話だろ?もう俺は大人だ、それに美夢とはまだ付き合ってないよ」
「『まだ』ってことはいずれ付き合うって事であってるかしら?」
緋彩と話をするも、手玉に取られそうになりながら上手く躱すも、また手玉に取られると言った感じで彼女の質問攻めにたじろぐ京介であった。美夢は京介との関係を聞かれた際に頬を赤く染めるも、微笑ましく2人を会話を見つめながら紅茶を飲んでいた。
その際、カフェの出入り口から来客を告げる鐘の音がすると3人の女性客が入って来た。1人は中性的な外見の背の高い女性で背も京介や緋彩とほぼ同じくらい高い。一方、もう2人は背は美夢と同じくらいであるが、1人は黒のロングヘアをハーフアップにした革ジャンを羽織った女性で、もう1人は金髪ショートカットの女性…というより少女であった。
その女性達を見た緋彩は席に座りながら「こっちよ〜」と言いながら手を振っていた。その後背の高い女性は近くにいた店員に「待たせている人がいますので」と一言入れて緋彩や京介のいる席に向かうのであった。
「お待たせ、緋彩」
「わりぃ、待たせちまったか?」
「いや、待ってないから大丈夫よ。昔馴染みとお茶してたから問題無いわよ?」
「昔馴染み?」
黒髪ロングの女性がそう言うと美夢と目が合った。すると2人は数分間見つめ合った。
「やあ京介、元気かい?」
「よお
しかしその一方で、中性的な外見の女性は京介を見るなり声を掛けてきた。京介も即座にそれに応じるのであった。
「もしかして
「そういう貴女は美夢⁉︎」
そして美夢達はお互いが誰かを思い出したのか、手をポンと置いて『思い出した』と言わんばかりの仕草をした。
「あらあら?」
「なぁ、これはどういう状況なんだ……?」
その光景に緋彩は微笑ましく見ながら紅茶を飲むも、金髪少女は頭に疑問符を浮かべながら顔を引き攣らせていた。
「なるほどね〜。緋彩の弟にして葵依のボーイフレンドってわけかー!」
「その言い方は色々誤解を生むぞ?」
色々と事情を知らない金髪少女に説明をすると、京介の肩をバンバンと叩きながらゲラゲラと笑っていた。
ちなみに余談だが、京介達と彼女達は自己紹介を済ませており、この金髪少女は
これは京介と美夢は今知った事であるが、彼女達は最近DJユニット…【
だがこれをチャンスと捉えたのか、京介はDJの話を聞こうとしたのだが、渚に絡まれているのであった。京介としては時間もあまりないため早くしてほしいところだが、此処である一つの疑念を抱いた。
「(待て?確か美夢が親に連絡を入れたのは約数十分くらいのはず……なら迎えがもう来てもいい筈だが?)」
駅前が混んでいるのは分かりきっている。そうだからと言ってこんなに遅くはならないのは誰でも分かる事だ。それも美夢の自宅は此処からだと車で数十分程なので、遅れるにしても精々数分程度くらいなのだから。
その時、美夢のスマホから着信音が鳴った。おそらく美夢の両親であるため、美夢は電話に出た。
「はい…はい…分かりました。 ……あのー、迎えが来る事が困難になりました」
『えっ?』
なんと美夢の口から出たのは衝撃的な一言であった。曰く「道路工事とその付近で玉突き事故が発生したのと、電車に遅延が発生したのが相まって道路は渋滞になったので迎えが困難になったから一日何処かで宿泊するよう言われた」との事である。
「マジか……」
「確かに美夢さんの言う通り、遅延と事故が発生しているようだね。幸いなのは私達が乗る路線は無事な事くらいだけど」
葵依はすぐさま自分のスマホでネットニュースを確認していた。だが問題なのはこれから美夢はどうするかであった。
「あっ。お父様から京介くんに伝言があるんだけど…」
「俺に?」
「『美夢の事は君に任せる』って」
その一言で京介は表情が固まった。友達とはいえ異性に任せるのはどうなんだろうかと。しかし今現在他に頼るのは自分以外いないため渋々受け入れる事となった。
「……しゃあない。こうなったら俺んちに行く「あっ、雨が降ってるぞ?」えっ⁉︎」
自分に連れて行くと提案するも、途中渚が店の窓で外を見ながらそんな事を言い出した。京介もすぐさま外を確認すると雨が降っているのが確認できた。おそらく店に入ってお茶をしている間に降り始めた事が窺えた。
「……マジかぁ。今日降水確率0%って天気予報で確認してたから傘とか持ってきてないんだよなぁ」
「仕方ないよ。天気予報だって外れる事はあるから」
「ホントに。肝心な時に役に立たないよ」
雨が降っている事に京介は嘆くも葵依にフォローされるのであった。しかし問題はこの後である。生憎駅前であるため雨が降っていようが駅までは数分で着くためそんなに濡れないが、電車の遅延もあるのだ。京介は何処の路線が運転見合わせなのかスマホで確認した。その結果、京介が乗る電車の路線も見合わせの対象内に入っていたのであった。
「最悪だ…」
「まぁそんな嘆くなって!『人生山あり谷あり』だろ?」
最悪の事態に見舞われた京介は嘆くしかなかった。その様子を見兼ねた渚は冷や汗を掻きながらもフォローするのであった。
しかしそんな矢先、黙って様子を見ていた緋彩が何か閃いたのであった。
「ねぇ、京介くん?」
「なんだ?」
「今日、ウチに泊まっていかない?」
『……ハイ?』
緋彩のその提案に、葵依以外は頭に疑問符を浮かべながら困惑するしかなかった。
まずは読んでくださった方、お気に入り登録をしてくれた方、こんな拙作を応援いただきありがとうございます!こんな拙作読んでくれるだけでもありがたいです。
今回は原作に沿うとともに【
次回の投稿は未定ですが、今回の続きで緋彩さんと美夢のお泊まり回となります。その後で12月14日に美夢生誕記念回をお送りします。
それでは、また次回。