【Web版】敵のおっぱいなら幾らでも揉めることに気づいた件について(なお、転生後の世界は若干シリアスな模様)   作:とがの丸夫

15 / 31
合法ロリはバカにされたくない3

 引かないといった矢先に言いやがった!

 俺は我慢できずに声を荒げて、言わないように気を付けていた、彼女の身体的な特徴を大声で叫んでしまった。

 

 本当なら我慢するべきだったし、これがなければもっと円滑に事は運べたと思うが、後の祭りだった。

 

 

「っ!? あー言ったわね! 言っちゃいけない事を、今、ハッキリと言ったわね!」

「あー言いましたとも! 何度だって言ってやるわ、この幼児体型! 俺が反応するのはボンキュッボンだからな! そのペチャパイ膨らませてから文句言いやがれ!」

「あったまきた! ヒーローがそんなこと言っちゃっていいんだ!? 前言撤回よ! この変態痴漢野郎!」

 

 

 まるでお互い火に油を注ぐがごとく、俺達はそのあとも言い合いを続けた。

 

 売り言葉に買い言葉、叩けば叩かれてを繰り返した俺達は、次第にその勢いを弱めていき、最終的には肩で息をしながらにらみ合う冷戦状態に突入した。

 

 お互いに肩で息をしつつも、憎悪を向ける相手に向ける目の鋭さは消えず、このままでは埒が明かないと思った俺は、この状態の面倒さも相まってさっさと謝罪することにした。

 

 

「いや、もうよそう。これ以上は不毛すぎる。済まなかった、別に君のことを悪く言うつもりはなかったんだ……ただ、ちょっと、口が滑ってしまったんだ」

 

 何事も素直に謝ることが、こじれた関係の修復には一番手っ取り早い。俺自身、護衛対象である彼女との関係を良好に保ちたい気持ちもある。

 

 

「……いえ、私も悪かったわ。ごめんなさい、PE能力者の欲望ってその人が選べるわけじゃないのにね。多分、貴方も苦労してるんでしょ?」

「そう思ってもらえると嬉しいよ。まあその欲望自体、自覚したのは最近のことだし、実際は女敵にセクハラして発散してるけどな!」

「うわ、マジで女の敵じゃん。今だけこの幼児体型には感謝するわ」

 

 朱美はさっきと同じように、引いた表情で冷たく言い放つ。

 だが、今度はその表情が続くことは無く、すぐにいつもの表情。いや、それよりも少し不思議そうな表所で朱美は、まるで俺を観察するようにまじまじと見つめる。

 

 

「でも、意外だった」

「意外って?」

「だって、さっきまで話してた時の貴方、まるで追い詰められてるようだったわ。だから私、てっきりあなたの欲望って――」

 

 何故だろう、それから先の言葉を俺は聞くべきじゃないと思ってしまった。

 そう思ったときには既に体が動いていて、それ以上言葉を続けさせないように、朱美の口を塞いでいた。

 

 突然、俺に口を塞がれた朱美は驚いた表情と共に、口元の拘束から全身を使うようにして脱出する。

 

 

「いきなり何するの!?」

「す、済まない。体が勝手に動いたんだ、自分でも驚いてるんだ……」

「まさか貴方やっぱり女ならだれでもいいとか、そう、いう……ジョーカー、貴方大丈夫? 少し震えてるわよ」

 

 そういった朱美の視線は俺の手に注がれていて、自分でも自身の両手を確認すると、確かに俺の両手は小刻みに震えていた。

 

 多分、彼女の口を塞いだタイミングからだろう、さっきの嫌な感覚のせいで両手まで震えてしまったのか。

 

 

「大丈夫だ、気にしないでくれ。それより、もうこの話はいいだろう?」

 

 これ以上この話を続けるのは良くない。それだけは何となくわかった俺は、話をどうにか終わらせようとする。

 

 

「えー……まあいいわ、PE能力者になったばっかりだからよくわかんないけど、欲望が大きくなると貴方が大変なことになるんでしょ?」

「まあ、別に他の能力者と違って暴走とかはしないだろうけど、何だろうな、超欲求不満状態になるって言ったらいいのか?」

「それ、本当に止めてくれない?」

「あ、はい。すんません」

 

 ちょっと冗談めかして言っただけなのに……

 女性の怒ってるときのあの目、まるで道端のゴミを見るかのような目には、流石の俺も耐えられずに再度深々と頭を下げてしまった。

 

 

 

 ☆

 

 

 琴乃朱美の護衛を開始してから数日、別にこれといった出来事はなく、居たって平穏な日が続いている。

 

 最初は敵やPE能力の話もあり、自然と周囲に警戒した様子を見せていた朱美だったが、人間警戒し続けることにかなりの体力を消費してしまう。そのため、日が経つにつれて朱美本人の警戒は徐々に薄くなっていった。

 

 そして、今日の朱美は一切の警戒をしないまでになっていた。

 

 

 護衛対象とは言え、俺が完全体制で彼女を守るというわけではない。

 というよりも、俺一人が派遣されている現状からも、目的は俺が護衛をするということにありそうだ。

 

 一種の番犬代わり、わざと敵にも見えるように動くことで、そもそもの手出しを躊躇させるのが俺の役目だと思っている。

 ヒーローがいるのにも関わらず、誘拐といった行為を強行する場合、むしろ餌にサメが食いついてきたようなものだろう。

 

 

 だが、護衛をされている彼女からすればそんな事情知らんこっちゃないことだ。

 

 

「もー、私外行きたいのー」

「ダメだ、せめて昼間に行けばいいだろ? どうしてわざわざ夜に外に出ようとしてるんだ」

 

 本人の危機意識の低下に伴い、元々特務から提示されていた夜中の外出禁止に、当初納得していた様子だった朱美が、突如として夜中の外出を申し出てきた。

 

 

「はあ、何が『私引きこもりだし―、夜中なんか外でないから別にOK!』 とか言ってただろうが、何手のひら返してんだ」

「だってあの時はそう思わなかったんだよー、ねえいいだろー? 私だってこれでも成人してるんだぞ! 夜遊びさせろってんだ!」

 

 どうして夜中に外に出たいのかも教えてもらえず、俺はどう対処したらいいのか分からなかった。

 護衛といっても、俺の本職は敵と戦う人間だ。人や街を敵から守る事には慣れていても、一人の女性を護衛するなんてことは専門外。

 

 言ってしまえば”なんちゃって護衛”だ、普通に考えればこの任務の粗はすぐに見つかるはず。

 特務長め、俺が分身でも出来ると思ってるのだろうか。

 

 

 未だに騒ぐ朱美に視線を向ける。

 

「理由は分からないが、ダメなものはダメだ。これは君の命にも関わる問題だ。何度も言わせないでくれ」

「ぶーぶー」

「本当に成人してる奴の返しとはとても見えないな。強硬手段とか諦めろ? 君の部屋から外に出れる場所は、その全てにセンサーが付けられてる。誰かが外から入ろうが、中から抜け出そうがすぐに分かるからな」

「ええ!? うそお!」

 

 

 本当だ、現に俺が護衛期間中に借りている直ぐ近くのアパートには、彼女の家周辺のセンサー情報が随時更新されるようになっている。

 別に俺が仕掛けたわけではなく、俺が来るよりも前から特務の別動隊を使って最低限の準備を整えていたらしい。

 

 彼女に接触したその日、指定されたポイントに向かったら全てが整っていたのを見た時は、流石に苦笑いが出てしまった。

 

 

「別に中を監視してるとかじゃない、動きを検知して動作するタイプのものだし、護衛初日に渡したチップを持っているかどうかを見ているだけだ」

「はぁ、良かった。というかこれGPSと危険時の救難信号の事しか教えてくれなかったよね?」

 

 そう言って朱美が見せてきたのは、携帯に付けられるタイプの小さなストラップを見せてくる。

 見た目は小さな棒状の物になっていて、左右を握って捻ることで信号を発信できるものだ。

 

 彼女が特務に正式に所属すれば、この手の装置を多数作ってもらうことになるだろう。

 

 

「朱美は電子系のPE能力者だから、この手のには得意だと思ってたんだが、意外と違うのか?」

「違わないけどさ、なんていったらいいのかな。こういうのに興味ないんだよね、それにこれを分解とか怒られそうだったし」

「まあ、特務に入れば夜中だろうが関係なく、自由に過ごせるはずだから、それまで我慢してくれ」

「ぶー」

 

 その幼い見た目で頬を膨らませる朱美は、知らない人が見れば彼女のことを中学生、下手をすれば小学生に見間違うだろう。

 

 口に出した瞬間蹴りが飛んできそうだったので、何も言わずに膨らんでいる頬を指で突いてみる。

 

 プシュー

 という空気が抜ける音とともに、突然頬を触られたことに朱美は驚いてしまう。

 

 

「お、女の子の頬に気やすく触らないの! 私じゃあなかったら通報されても可笑しくないんだからね!」

「何顔赤くしてるんだよ。別にいいだろ頬ぐらい、朱美のほっぺ柔らかいから触りたくなるだけなんだよ」

「なっ、ちょっ!?」

 

 朱美は素直に褒められるのに弱い。

 これはこの数日間で発見した、朱美の弱点だ。

 

 彼女自身、異性はおろか同姓の友人もほとんど居ないようで、こういったからかいの耐性が全くと言ってない。

 だから平穏なこの数日は度々彼女をからかって遊ぶのが、俺の楽しみになっていた。

 

 恥ずかしさから顔を赤くした彼女は、言葉として消化しきれない声を上げる。

 愛いやつめ、ほれ、もう一方のほっぺを膨らませてみせい?

 

 

「もういい! 出てって!」

 

 からかい過ぎたのか、彼女はそう言って俺を部屋の外に押し出してしまい、扉を勢いよく閉めてしまう。

 

 

 この時、俺は幾つかの失敗を犯していた。

 

 一つは彼女、琴乃朱美がどうして夜中に外に出たがっていたのか、その把握を怠ったこと。

 もう一つは、彼女が発現したてとは言え、電子系のPE能力者という認識を甘く見て、センサーの話をしてしまった事。

 最後に、彼女を狙う敵の気配に、俺自身が気付けなかったことだ。

 

 

 ――ドオン!!!

 

 数日後、大きな破壊音が夜中の街中に響いた日、いつもは部屋にいるはずの彼女は、どうやったのか俺にバレることなく夜中の外に、抜け出していた。

 センサーは何故か反応を示さなかった。




一応最後までの流れを軽く考えたんですけど、思いのほか綺麗に終わりそうで、逆に登場キャラが少なくなる問題が発生しました……


最悪、この作品の完結しない版(思いついたキャラを随時登場させる)を書くことになりそうですね。。。
その場合は、この作品をそのままリメイクして、登場キャラも変えずにシリアス要素を全排除したバージョンにして、書きたい属性キャラをどんどん出す感じですかね。
(シリアスにすると、必然的に解決方向に向かうシナリオになり、結果完結するしかなくね?な流れになってしまいすし。今作がそうなりますね、見切り発車よくないって、それ良く……)

排除するとなると何だろう……それも追々考えていこうと思います。
ま、それよりも今は今作を完成させることに注力していきます。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。