【Web版】敵のおっぱいなら幾らでも揉めることに気づいた件について(なお、転生後の世界は若干シリアスな模様)   作:とがの丸夫

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白髪な大剣担ぐ美女は、触られたい編4

 パイモンの布を取り払うため、姿勢を低くした俺は身体強化を行う。

 

「っふ!」

 

 

 軽く息を吐くようにして低い姿勢から、一足でパイモンの眼前まで高速で移動する。

 

 

 

 武術を極めた達人同士での戦いは、相手の呼吸を読むところから始まる。

 そして、次に観察するのは相手の足の動き。

 

 人間を含めた動物が行動を開始するとき、起点となる身体部位の大半が足になる。

 動くには必ず踏み込む事前動作を要するためだ。

 

 

 昔の武士が着用する袴、あんなダボダボな服を着て戦う人が一時とは言え、何故存在していたのか。

 諸説あるが、その中の一つに足の動作を含め、行動の起点を相手に悟らせないためというのが存在している。

 

 では、俺がパイモンに攻撃を仕掛けるため、体の予備動作を相手に悟らせないようにしたのかと聞かれれば、俺はNOと答える。

 長々と当たってるかも分からない前文を用意してまで、なぜ俺が説明したことと真逆のことをしたのか。

 

 

「なっ!?」

 

 対応されるなんてこれっぽっちも考えてないからだ。

 

 表情は伺えないが、驚愕しているのは声で分かった。

 

 

「目の前にいるのはヒーローだぞ、気を抜いてくれるな」

「ぐっ!」

 

 まずはパイモンにダメージを与えて行動を鈍らせることを考えた俺は、パイモンの頭部を標的に蹴り上げる。

 だが、流石に予備動作から、声を掛けるなんて余裕を見せた事で、辛うじてだがパイモンの両腕によるガードが間に合う。

 

 まぁ、力の差があるからガードしたところで、その上から叩き潰せばいいだけ。

 そう思い、辛うじて拮抗している足に更に力を込めようとする。

 

 

「私を無視しないでくれないかしら!」

 

 力を込めようとした瞬間を狙って、シルヴィアが未だに顔を少し赤くしたまま、俺めがけて大剣を振るう。

 

 

 インファイトを仕掛けていた時のように、不安定な体勢からの攻撃ではなく、しっかりと踏み込んだ大剣の一撃は、流石の俺でも無防備に食らえば、先ほど以上のダメージを負ってしまう。

 

 判断は一瞬に、俺はパイモンに防がれている足を、蹴り上げる動作から押し付ける様にして。

 まるで磁石の反発動作のようにして、シルヴィアの攻撃を回避する。

 

 

「あ、危なかったぁ……まったく、ヒーローなんだから正々堂々と戦ってよね。不意打ちなんて男らしくないよ」

「戦闘に正道も王道もねえよ、勝つか負けるかだ。だから大人しく膝を付けよ、敵」

「アハハ! 傍から見ても君はヒーローに見えないよ! 確かジョーカーと呼ばれていたね、もしかして君は特務かい?」

「よくわかったな。分かったらさっさと降伏しろ、そして顔を見せろ。どうせ可愛いんだろ?」

 

 PE能力者、その中でもPE量が高い人間になるほど、美形になるのは統計的に明らかになっている。

 そして、俺の甘々ではあったが先の蹴りは、大抵の敵は反応できない。

 特務が出張るような敵なら、その限りではないが。並みの敵ならあれで顎を蹴られて、そのまま一発KOだ。

 

 ソニックさんを一時的とは言え、戦闘地域外に吹き飛ばす能力。

 先の俺の攻撃に対する対応から見て、パイモンはシルヴィアよりもPE能力者として一つか二つは上と見ていいだろう。

 

 シルヴィアが接近戦向けのPE能力者なら、パイモンはエネルギー弾等の攻撃を考慮すれば、遠距離戦を得意とするPE能力者と見える。

 

 

 何が言いたいのかって?

 パイモンは十中八九、美少女ということだ。

 

 因みに、パイモンの身長はシルヴィアよりも小さい。

 声もシルヴィアと比べても幾らか高い声色をしている。そして僕っ子という、前世でも漫画でのみ存在が確認されている、レアキャラとなる。

 

 

 

 ……是非とも、そのご尊顔を見たいと思うだろう?

 

「か、かわっ……!?」

「え、何その反応。もしかして初心なの?ねえ、ちょっとお兄さんとお話しようよ。大丈夫、お兄さん優しいからほら、飴ちゃんあげ――」

「だから……私を無視しないでよ!!」

 

 

 パイモンは俺に可愛いと言われたことに驚き、何故か慌てて口と思える場所を、無意味に手で覆う仕草を見せる。

 

 

 おいおい、僕っ子で褒められるのに慣れてないとか。どんだけキャラを付けるんだ、可愛いじゃないか。

 お兄さんの良い所見せちゃうぞ?

 

 しかし、そんな俺に芽生えかけたお兄ちゃん魂を消し去るように、無視されていたシルヴィアが叫びながら、PEを纏わせた大剣で斬撃を飛ばしてくる。

 

 流石に無視し過ぎたか。

 まあ、戦闘中にパイタッチをされまくったのに、パイモンが来てからは一切相手にされなかったのだ。

 無視されるのは誰だって辛いからな、俺も前世で何回か悪戯でそんなことされたことあるが、あれは例え友人間でもきついものがある。

 

 

 そして、ナチュラルに斬撃が飛ぶとか前世では考えられない現象が起きているが、PE溢れるこの世界ではデフォルトだ。慣れてくれ。

 

 

「すまん、別に無視するつもりはなかったんだ。ただパイモンの可愛い素顔が見たくてな」

「ま、また! 僕をか、可愛いって……!?」

「貴方もさっきまでの余裕崩さないでよ!」

 

 かなりの力が込められていたと思われる斬撃を、俺もナチュラルにPEを纏わせた手で弾く。

 こう……パチンベチンって感じに。

 

 文字通り適当な対応と、パイモンのポンコツ具合に苛立ちを隠せないシルヴィアは、怒りが収まらない様子で、何かを取り出す。

 

 

 それはカプセル状の、見た目はどこにでも売っていそうな薬のようなものだった。

 

 

「ま、まて! シルヴィア!」

 

 さっきまでのポンコツがウソのように、真剣な声色で焦ったように叫ぶパイモン。

 しかし、当の本人であるシルヴィアはパイモンの言葉を無視する。

 

 

「私だって、覚悟してここに来たの。貴方がやらないなら私がやるだけよ!」

「違う! これ以上は体を壊すだけだと言っているんだ!」

「こんな世界を壊すためなら、私が壊れるぐらいどうだっていいのよ!」

 

 必死に止めようとするパイモンだったが、シルヴィアは聞く耳を持たず、取り出したカプセルを自身の口に入れ込もうとする。

 

 

「ま、目の前でそれを許すのは漫画の世界だけだわな」

「んぐ!?」

 

 だが、高速でシルヴィアの背後に回った俺が、シルヴィアの開いた口を手で押さえる。

 口を押さえると同時に、シルヴィアの手にしていたカプセルを取り上げる。

 

 

 盛り上がるのはいいけどさ、ヒーローの目の前でそんなことして、止められるとは思わなかったのか?

 

 

 シルヴィアから取り上げたカプセルを観察したいが、それは後でもできる。

 回収したカプセルを、戦闘服に幾つか備え付けられているケースに入れる。

 

 

「んぐう!」

「何を言っているか分からないが、何かしらの証拠を提供してくれてありがとう」

 

 未だに口を押さえられているシルヴィアは、驚いた表情が怒りへとどんどん変わっていき。

 何やら抗議の声を上げるが、口に生暖かい吐息と、少しの湿った感触が俺に伝わるだけで、後はくぐもった声が漏れ出るだけだった。

 

 

 おうふ、手に伝わるこの感触。

 相手が美女だと余計にやばいな、パイタッチに劣らぬ背徳感だ。

 

 いいぞ、もっと騒げ。俺がしっかり押さえてやるからな。

 

 

「騒ぐのはいい、もっとやれ。だが暴れるな」

 

 ま、ここまで感情が高ぶっているんだ。

 口以外も激しく動く。

 

 暴れる両手を、空いている手で無理やり押さえるが、自由に暴れる両手を一本で押さえるのが難しく。

 仕方なく口を塞いでいた手を離して、両手でシルヴィアを拘束する。

 

 

「おっと動くなよ、お前が遠距離向けのPE能力者だってことは当たりが付いている。お前が攻撃すれば俺はともかく、シルヴィアが痛い思いするだけだぞ」

「クッ!」

 

 俺に拘束されたシルヴィアを助けるためか、パイモンが能力を行使しようとするのを言葉でけん制する。

 苦虫を嚙み潰したような表情になるが、パイモンは能力の行使を中断する。

 なるほど、敵にも仲間意識はあるんだな。

 

 パイモンが動かないことを確認した俺は、改めて至近距離からシルヴィアを観察する。

 

 戦闘中は少々魅力的な部位に目が行ってしまい、顔を至近距離でしっかりと見たことは無かったのだ。

 

 

 うん、やはり美人だ。

 顔立ちは整っているし、手入れもしっかりしているのか、荒れているなんてこともない。

 

 バトルドレスなんて普通の女性が着ればアンバランスの一言だが、シルヴィアの場合はむしろバトルドレスが着られているほどだ。

 やはりPE能力者の美形度の高さが窺える。

 

 そして何より目立つのがその白髪だ。

 この世界、PEなんて摩訶不思議な法則が存在するのだが、それでも髪色がピンクだったり緑だったりなんてことはない。

 俺もソニックも、そして他のPE能力者の殆どが、黒髪だ。

 

 たまにブロンドだったりもいるが、白髪というのは今の所見たことがない。

 

 

 両手の拘束を左手に任せて、余裕のできた右手でシルヴィアの髪を無遠慮に撫でる。

 普通なら御法度もいい所だが、相手は敵だ。この髪にシルヴィアがこの数日で、驚異的なまでの力を手に入れた秘密があるかもしれないだろ?

 

 

「白髪か、それにしてもサラサラだな」

 

 自然と口からそんな言葉が漏れ出ていた。

 

 触ってみてわかったが、この白髪は恐らく地毛なのだろう。

 そう確信をモテるほど、シルヴィアの白髪は自然的で……美しかった。

 

 

「……の……るな」

「ん?」

 

 だが、俺が髪を触った瞬間、シルヴィアの様子が変わる。

 さっきまでは逃げ出そうと必死に抵抗していたのに、まるで噓のように静かになる。

 

 シルヴィアが何かを小さく呟いたが、これほどまで近くにいる俺にも聞き取れないほど小さかった。

 

 

「……私の髪にぃ……触るなあ!!」

 

 今度は世界に響かせるようにシルヴィアが叫ぶ。

 そして、叫ぶと同時にシルヴィアを中心としてPEが荒れ狂うように暴れだす。

 

 俺はその現象がどういうものか一瞬で理解した。

 

 

 PE能力の暴走。

 

 

 

 それは一定以上のPE値を持つ能力者が、感情の暴走と共に起こしてしまう最悪の現象だ。




主人公のちょっとアレな言葉遣いは、戦闘コスチュームのマスクの御かげです(唐突の暴露)

小説の描写について、今後の方針アンケートになります。

  • 今のままでええんやで
  • もう少し簡単にしてスピード感が欲しい
  • 描写をもっと分かりやすく具体的にして
  • 駄文が多いぞコラ
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