昔々、三女神達はウマ娘達の住むこの世界を見守り続けていました。
日々、走るため鍛練を積みトレーナーと共に切磋琢磨するウマ娘達を見ては感嘆の声を上げました。
だが、ある日。
平穏なこの世界に異なる次元から侵略者が現れました。侵略者達は、この世界に降り立ち様々な人、ウマ娘達にこう声をかけました。
『お前の望みを言え、どんな望みも叶えてやろう。』
異形の怪物は体を地面から生やし、空中から足を下ろしており真っ白な姿をしていました。
彼らの甘い誘惑に、次々と人々は願いを口にしました。
『レースで勝てるようになりたい』
『レースに勝ちたい』『アイツに勝ちたい』
『自分のせいで走れなかったウマ娘を救って欲しい』
『スズカさんがまた走れるように』
『ミホノブルボンに三冠を取らせてくれ』
そんな彼らの願いを異形の怪物は叶えた………いや、叶えてしまいました。
それも最悪な形で。
一人が勝ちたいと願えば、願った者以外のウマ娘は皆原因不明の怪我で出走できず中止となってしまいました。
一人を対象に願ったらそのウマ娘はレースに二度と現れなくなりました。
そんな最悪な形で叶えられた願い、願いを叶えさせられた彼、彼女達に対し異形の怪物はこう話しました。
『お前が払う代償はたった一つ。それは……記憶だ』
その異形の怪物はイマジンと呼ばれ、願ったものは契約者と呼ばれていました。
契約者の願いを聞き入れ実体化したイマジンは、その願いを自分なりに解釈し叶える事で契約を完了させ、その人間の記憶の中にある、
そんな怪物達からこの世界を守るべく、三女神は今年新人として学園へと現れたトレーナーである青年に、この世界の抑止力となる事を望んだのです。
青年はその願いを聞き入れ、自身を犠牲に異なる次元からの侵略者と戦う事を選びました。
イマジンに対抗すべく、三女神から与えられ神器。
それは周囲の自分に対する記憶を生け贄にすることで、力を発揮出来る物でした。
異なる世界で、過去と今を犠牲に未来を守った忘却の戦士が纏っていていた鎧。
そんな力を手にした彼は、ウマ娘のトレーナーとして指導し、三女神に選ばれた戦士として戦い続けた。
そして、青年は最後の力で鎧を纏いイマジンとの決着を付け消滅してしまいました。
そんな彼に対し三女神達は今度は戦いとは無縁の平穏な日々を過ごして貰おうと、この世界に似た別の世界に新たな命として甦らせた。
朝、スーツに着替えた彼は鏡の前に立っていた。
「特に、変な所は無いよな?スーツも汚れたりしてないし問題ない、よね……」
そう不安そうに確認する彼のスーツにはトレーナーバッチが付けられていた。
彼の名は
今年より日本ウマ娘トレーニングセンター学園にて、新人トレーナーとして勤務する事となった青年である。
温厚で優しく、ウマ娘に対し真剣に指導すると言う言葉に感動した理事長が密かに期待しているが彼は、不安そうに自身の服装を確認していた。
「初日からヘマしたり、変な服装だったら不味いからしっかりチェックしないと」
そう言って荷物まで確認した彼は、ようやく家の玄関を開き外に出た。彼はトレーナー寮ではなく、先に他界した両親と共に住んでいた家で一人暮らしをしている。彼の家から日本ウマ娘トレーニングセンター学園、通称トレセン学園は少し遠い為に自転車を使い通勤することを決めていた。
そんな彼は自転車に鍵を入れたポケットへ手をいれると、何故か自転車の鍵とは違う硬い何かがある事に気付いた。取り出してみると、それは黒と緑の配色のカードのような何かだった。
「何だろう、これ?」
思わず首を傾げ、手に取ってみる。
「紙、じゃあ無さそうだしプラスチックかな?」
カードを裏返すと表?とは違い黒と赤と言う配色であった。
「変なカード……不味い!?時間!」
彼は腕に巻いた腕時計で時間を確認すると、謎のカードをポケットへと突っ込むと全力で自転車を漕ぎトレセン学園へと向かった。
日本ウマ娘トレーニングセンター学園。
沢山のウマ娘が過ごす広大な校舎の一室、生徒会室と札のかかった部屋。そこには一人のウマ娘、生徒会長シンボリルドルフが椅子に座り、何処か懐かしそうに目を細めていた。
「やっと、君に会える日が来たね。」
カレンダーが差すのは彼が初めてこの学園へと来た日。
脳裏に浮かぶのはあの時の光景、優しく何処か儚さを感じる青年の笑顔。誰よりもウマ娘に寄り添い、そしてウマ娘の為に今と過去をも犠牲にして消えていった青年。
新人ながらも最初から沢山のウマ娘を担当に持つことが出来るほど理事長からの信頼と期待を持つ彼、かつて担当していた彼女達も私と同じように記憶を持っているのだろうか?
脳裏に浮かび上がるのは、彼との最後の会話。
考えてみれば、あの時から私の周りで可笑しな事は起こっていた。
彼に期待していたはずの理事長は彼を覚えておらず、交流のあった樫本トレーナーや沖野トレーナー、桐生院トレーナーも彼に対してまるで、初めて会ったかのような反応を見せた。
チームだったはずのウマ娘達は、何故か彼の事を忘れチームから脱退していき私だけが残ったトレーナー室。
いつものように入室して見たのはあちこちボロボロで怪我をしているように見える君の姿だった。
『トレーナー君!?一体どうしたんだ、その怪我は!』
そんな肉体も、精神も限界に見える君の事が心配になり、駆け寄って怪我について聞こうとしたが、弱々しくも、しっかりとした声と目で彼は口を開いた。
『そんな事より……ルドルフ、もう一度キミの夢を教えてくれないかな』
その問いに疑問を覚えながらも、私は今世でも掲げていた夢を口にした。
『全てのウマ娘が幸せに暮らせる世を創る事だが、急にどうしたんだいトレーナーくん?』
『それを聞けて安心したよ、これでもう大丈夫だって分かったから』
そう言った君の顔からは安心するような様子を見せ、次の瞬間には覚悟決めたような表情を浮かべていた。
『一体、どうし──』
次の瞬間、学園の外から爆発音が響き渡った。
トレーナー室を駆け出していくトレーナー君を追いかけて私も外に出た。そこには、異形の姿をした化け物が暴れ回り学園を破壊する光景があった。
現実味のない、まるで夢のような光景。
そんな暴れまわっている怪物への視線を変えぬまま、トレーナー君は腰にバックルのついたベルトらしきものを巻いた。
『これが、本当の最後だ』
そう言って君がポケットから取り出したのは、透けている緑と黒のカード。彼がベルトを操作すると、まるで笛の演奏のような音楽がその場に鳴り響く。
そして彼が透けているカードをバックルにカードを差し込んだ瞬間。
目の前には、私の知らない何者かが立っていた。錆びた赤い体の異形、彼は……誰だ?
目の前に立っているのは、暴れている化け物と変わらぬ異形の化け物。恐怖に体が震える中そいつは私へと振り向いた。
『ルナ、未来を頼むよ』
赤い異形の声は優しく、何故か私の幼名を話すと、もう片方の暴れまわる異形へと立ち向かっていく。
何故か彼の声を聞いたとたん、胸が締め付けられるような悲しさを感じた。その後、彼について思い出すことはなかった。
そして今、彼がまだ学園に居ない頃。
何故か
何故、君の事を忘れていたのか分からない。
でも、今度こそ私は君の愛バで居続けよう。
何故なら君は私と同じ理想を持ち、文字通り命を賭けてウマ娘の未来を守った。
そんな君以外に、私に相応しいトレーナーは存在しないのだから。
思い付いたから書いた、後悔はしていない
ご愛読ありがとうございます
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最初に言っておく、トレーナーはどうする?
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【アプリ版】桐生院や樫本トレーナーのみ
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【アニメ版】沖野トレーナー達もいる
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それより更新あくしろよ