ウマ娘ゼロノスダービー   作:クレナイハルハ

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特異点

???side

 

カフェテリアから見える程少し遠くの廊下、そこでは芦毛のウマ娘と新人トレーナーである彼が話しながら歩いている。どうやら今後の練習について話しているようだ。

 

また、私じゃ無かったな………

 

込み上げてきた寂しさに口許まで持ち上げたスプーンを皿の上に戻す。

 

分かってはいたことだが、やっぱり悲しいな。

 

「ど、どうしたんやオグリ?急に食べるのを止めるなんて……腹でも壊したんか?」

 

向かいの席に座っている友人の芦毛で幼い容姿のウマ娘、タマモクロスが心配した様子で此方を見詰めてくる。

 

「少し、寂しいなと思ったんだ」

 

「なんやそれ、ホームシックなんか?」

 

「いや、それとは違うんだ………」

 

そう言って改めてスプーンを持ちカレーを掬って口へと運ぶ。やはり、味気がなく感じるな。彼の作る料理を知ってから、学園のカフェテリアの食事じゃ、少し物足りなく感じる。

 

…………久しぶりに、あの場所へと行こう。

 

今はもう私しか知らない、あの場所に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夜、寮の皆が眠ったであろう時間。

 

私は瞼を開き、ベットから音を立てぬように降りる。横目で隣のベットを見ればスヤスヤと寝息を立てるタマの姿があった。

 

タマを起こさぬよう自分の使っているタンスを開いて、誰にも見つからないよう奥にしまっておいた片手で持てるくらいの長方形の()()()()()()()を取り出す。

 

パスケースを片手に目指すのは寮室の出口の()。枕元に置かれたデジタル時計が写し出す時刻を確認する。

 

今の時間は、夜中の1時0分50秒。

 

慣れたように自分の中で10秒を数える。

 

あの場所へと繋がる条件は、このパスを持ってゾロ目の時間に、何処でも良いから扉を開けることだ。

 

そして時間になり、私は寮の出口の扉を開く。

 

1時1分1秒。

 

目の前に広がっていた砂漠を見て私は砂漠へと一歩踏み出してから寮室の扉を閉める。

 

幻想的に見える砂漠を眺めていると、列車の警笛に似た聞きなれた音色が鳴り響いたと思うと背後で金属の擦れる音が鳴り響き、風が吹いて芦毛の髪が流れる。

 

振り替えればそこには黒と緑色の配色で牛のようなデザインの蒸気機関車に酷似した列車が停止していた。

 

列車へと近付き、自動で横にスライドし開いた入り口から中に入る。いつもの部屋に向かう、ひとつのテーブルと壁にくっついた形となっているソファのある部屋。

 

そんな部屋の壁には私の走る姿が写された有馬記念の新聞が飾られ、机には人気の怪獣映画とコラボした時に作られた私が着ぐるみを着たぱかプチが置かれている。

 

ソファに座り、大きなサイズのぱかプチ手にとって腕の中に抱えたまま体を横に倒す。

 

この前は確か、ナリタタイシンだったか?その前はマチカネフクキタル、その前は確かトウカイテイオー、そのまた前はタマだった。

 

思い出す、繰り返し見てきた三年間。

 

トレーナーが傷付き続けてきた姿と、ほかのウマ娘達と共に楽しそうに過ごす姿を()()ではない私は見続けるしか無かった。

 

いつになったら、私の番が来るのだろうか?いつになったらトレーナーとご飯を食べられる?いや、そもそもトレーナーと出会う事は正解なのだろうか?

 

トレーナーは戦い続ける中で消費するカード、他者の記憶が欠落するそれは私やほかのウマ娘が彼を記憶することで誕生する。

 

そしてトレーナーはそれを消費し私たちはトレーナーの事を忘れ、トレーナーは寂しく感じて傷付き続ける。

 

どうすれば良い?どうすれば彼と会える?

 

彼を悲しませないようにするにはどうすれば良いんだろうか?

 

誰にも相談できない、私の知るこの記憶は話せばバカにされるような夢物語だ。

 

モヤモヤとしたままぱかプチを抱き締めつつ、体を小さくしてソファに横になり続ける。

 

今思えば、トレーナーの正体を知り最後にこの場所へと来れるようにして貰ったのは、私だけのじゃないだろうか?

 

見たところ、あれからトレーナーが何度繰り返してもこの列車には私の新聞やグッズしか飾られていない。私以外のウマ娘の新聞が無いのを見るに、きっとそうなのだろう。

 

何故か、美味しいご飯を一人占め出来たような……そんな感じがして思わず首を傾げる。

 

おかしい、私はご飯は皆で共有して食べることが好きだったはずだが……

 

その時、扉がスライドしてセーターを着た幼い容姿のウマ娘が片手に枕を持ち目を擦りながら部屋に入ってきた。

 

「やっぱり……また来てたの?」

 

「すまない、物音を立ててしまっていただろうか?」

 

「ゼロライナーが止まった気がしたから起きただけ、気にしないで良いよオグリさん」

 

ゼロライナーの牛の頭のような見た目の場所には、ゼロマインドと呼ばれるスーパーコンピューターが内蔵され、自立運行が行われている。

 

「そうか、なら良かった」

 

からだを起こしながら、彼女を起こした原因ではないことに安堵する。

 

「おにい………あの人は今、どうしてるの?」

 

「どうやらメジロマックイーンを担当するようだ。昼に話しているのを見た、だがここからチームを作る可能性もある……かもしれない」

 

「そっか、まだ戦ってるんだ……」

 

「それに関してもまだわからない、まだ彼がカードやベルトを持っているのを見ていないからな」

 

そう話しながら抱き締めていたぱかプチを元の場所に戻し、立ち上がる。

 

「そろそろ戻る、明日も学校だからな。」

 

「そっか、お休みオグリさん」

 

「あぁ、お休み■■■」

 

そう言って私はゼロライナーを降りてトレセン学園の寮室へと戻り眠るのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

リンリンリンリンリンリンリ!

 

目覚まし時計のアラーム止めてベットから降りる。隣のベットに眠るタマはあくびをしながら体を起こした。

 

「ふぁ……なんやオグリ、今日はえらい早起きやな」

 

「あぁ、少し寂しく無くなったからな。調子が良いんだ」

 

「?そ、そか……ウチもはよ着替えんと」

 

こうして、また私の日常が始まる。

 

トレーナーのいない、1日が。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

桜花ユウトside

 

メジロマックイーンさんの担当となることが出来た。これで僕もトレーナーの仲間入りだ、本当に担当が見つかって良かった。

 

そう思いながら貰った寮室にてパソコンを叩く。

 

問題は彼女の体質だ、彼女はそんな体質を気にしている為にどうにか出来ないかと考え、僕が彼女の食べる料理の献立を作ることにした。

 

他にはカロリーの少ないお菓子の作り方を調べていると、ゴンゴンという荒々しく扉を叩く音に席から立ち上がり、部屋の扉を開ける。

 

「はーい、あれ?君は」

 

扉の向こうに立っていたのは、真っ黒な服装をした髪の長いウマ娘。今朝にあった娘で確か名前はマンハッタンカフェだっけ?

 

「ほらよ、お前の分のコーヒーだ!受け取りやがれ!」

 

そう言って無理やり猫の模様が描かれたマグカップを押し付けられる。

 

「あっつ!?まさかの淹れたて!?」

 

渡されたマグカップの熱に思わず声を上げて慌てて近くのテーブルに置く。

 

「えっと、ありが……え?」

 

取り敢えずコーヒーのお礼を言おうと振り替える、そこには誰にも居なかった。逃げた?いやだとしたら早すぎるよね? コーヒーがしっかりあるから夢ではないだろうし。

 

そう思いながらマグカップを持ち上げて一口口に含む。

 

「美味しい……凄い、僕の好きな味だ」

 

家で作る自分のブレイドしたコーヒー豆から作ったコーヒーとあまり変わらないコーヒーの味に驚きつつも飲み干す。

 

取り敢えず、このマグカップはどうしよう?あの子の持ち物?だったら洗った方が良いのかな?

 

そう思いながらトレーナー室に付いている洗面台の水をマグカップに入れて軽く濯ぐ。

 

取り敢えずこれで良いかな?

 

そう思いながら献立やカロリーの低いお菓子をパソコンでの調べる。ウマ娘が走るためとはいえ、食事制限で倒れさせるような事は無いようにしたい。ちゃんと栄養も取って欲しいし、お菓子だって食べたいだろう。

 

そう思いながら担当の為に献立づくりの作業を進めるのだった。

 

 






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Re.Memoriarise Ver3.5

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