『あー、テステス。これを私が聞いていると言う事は、きっと私はあの人の事を忘れてしまったんだと思う。トレーナーと一緒に走り抜けたこの三年間は、私にとって凄く大切な物だったね』
『うん、声が震えちゃうな。でも仕方ないの、あの人の事を忘れちゃうんだと考えると、自分が怖くて、それで私の出来る彼を覚えておく方法、それが趣味でもあるこのボイスメモだったんだ。』
『あの人の事をなんで忘れちゃうのかの説明とかは後に回すね、聞いている私は忘れているかもしれないけど、貴方にはトレーナーがいるの。桜花、桜花ユウトさん。私のトレーナーで、私の事を覚えているのに、私が忘れてしまう大切な人。』
『だからお願い、今の貴方にとっては他人にしか思えないかも知れないけどね………どうかあの人の事を、憶えていてね』
「『あー、テステス。ただいまトレセン学園前、今から私は、忘れてしまった大切な人に会うためにここに戻ってきました。今からトレーナーの所に行こうと思います』ふぅ」
目の前に広がる校舎を眺めていると、風が吹き桜の花びらが宙を舞う。
きっと、あの人なら私の事を覚えていてくれるよね。
校舎への道を歩いていると、隣を見慣れた自転車が通りすぎた。
「あ……」
何度も見た背中、忘れない忘れるわけがない。
一度だけ失った貴方が今、目の前にいる。
「桜花トレーナーッ!」
思わず呼び止めると自転車を止めてから、彼は振り返った。
『待ってたよ、マーチャン』
そう私に話しかけてくれるはずだと信じていた、でも……
「えっと、何で僕の名前を?」
「え…あの、新人トレーナーとして学校新聞に掲載されてたので……話してみたくて」
「そ、そうなんだ。新人トレーナーだからまだ自身ないけど、少しは走りとかトレーニングに助言
出来る………あ、ヤバイ!たづなさんに呼ばれてるんだった!?えっとごめん!東の15番トレーナー室に来てくれれば僕がいるから!じゃ!」
そう言いながら、あの人は学園へと自転車を走らせていく、私は去っていく彼の背中をただ見詰めていた。
ねぇ、トレーナーさん。
なんで忘れられちゃうはずの私が覚えていて、覚えている筈の貴方が忘れちゃったの?
メジロマックイーンside
トレーナー室にてトレーナーさんが作ってくれた低カロリーのクッキーを食べる。トレーナーさんは今朝の話の続きがあると言ってたづなさんの所へと向かってしまったので不在。
それにしても、このクッキー凄く美味しいですわね。これで低カロリーだなんて、本当に素晴らしいですわ。
暫くクッキーと紅茶を楽しんでいるとトレーナー室が開き桜花トレーナーが入ってきた。
「ごめんねマックイーンさん、たづなさんに呼ばれちゃってて」
「何かありましたの?」
「いやぁ、少し前に幽霊?にビンタされた事があってさ。近くにいたウマ娘が僕にビンタしたという噂についての話だったみたい」
「ウマ娘にビンタされる!?何でそんな噂立ちましたの!?」
「いや、なんか幽霊?が見える子に話しかけられたんだけど、その時にその子の知り合いの幽霊?にビンタされちゃったんだ、きっとそれで僕がその子からビンタされたって噂が立っちゃったんだと思う」
「な、なるほど」
取り敢えずマンハッタンカフェさんが関わっていることは間違いなさそうですわね、と言うかトレーナー霊感があるんですの!?
「と言うか霊にビンタされるって、本当に貴方何したんですの?」
「それがさっぱりで………。だって彼女に会ったのだってこの学園で初めてのはずだし………取り敢えず、僕の話はここまでにして早速トレーニングを始めようか」
「望むところですわ!トレーナーさん!」
そう言って私はトレーナーと共にトレーニングをするためレース場へとむかうのだった。
──────────⏰──────────
「さ、マックイーンさん!頑張ってニンジンクッキーを追い掛けて!!」
「バカにしてますの!?」
現在私は背中のリュックに付けられた釣竿の先から私の少し前にクッキーの入った袋が吊り下げられている。
「ごめん、もしかしてにんじんの方が良かった?ならニンジン変え─」
「いや、そうじゃないですわ!?」
そう言いながら体を捻ってリュックにセットされている釣竿を引き抜く。
「ほら!取りましたわよ!早く次の
しっとりサクサク激ウマですわ!
やっぱりクッキーのお供は紅茶が欲しいですわね。
「えっと、じゃあ坂路行く?」
「いや普通ですわね!?さっきと比べてだいぶギャップがありますわね。」
そう言いながら坂路に場所を映し、走り込みを始める。トレーナーのアドバイス通り呼吸を意識しつつ、走りで体幹がぶれないよう走る。
最初こそふざけているのかと思ったけど、やっぱり桜花トレーナーは素晴らしいトレーナーですわね。
そう思いつつ、チラリと桜花トレーナーの方を見ると何やら他のウマ娘に話し掛けられていた。
トレーニング中なのに私から目を離すなんて、そう思いながらトレーナー達の元へと向かう、するとトレーナーは此方に気付いて話していたウマ娘の手を引いて此方へと歩いてきた。
「マックイーンさん!キングヘイローさんが並走を提案してくれたんだけど、よかったらどうかな?」
「おーっほっほっほっほ!マックイーンさん!このキングと並走する権利をあげるわ」
確かに、選抜レースで見事な差し足を見せ付けてたキングヘイローさんとの並走は今後の私の成長に繋がりますわね?
でもキングヘイローさんの視線、時折私ではなく桜花トレーナーへと向かっているような……気のせいですの?
そう思いながら並走する事、数分。私たちは水分を取りながら休憩していた。
「それにしても先日の選抜レースは見事な走りでしたわ。」
「それはトレー……日々のトレーニングの賜物よ!キングたる者、常に研鑽も忘れないの」
「素晴らしいお考えですわね、私も見習わなければ」
私もキングさんのように常に研鑽を忘れぬよう走り過ごさなければいけませんわね。明日のトレーニングも頑張るとしますわ!
こうしてマックイーンと桜花トレーナーの三年間が始まりの幕をあげたのだった。
ご愛読ありがとうございます
感想、お気に入り登録、高評価
お待ちしています
Re.Memoriarise Ver3.5
-
エアグルーヴ
-
ナイスネイチャ
-
サクラバクシンオー
-
メイショウドトウ
-
シンボリルドルフ
-
グラスワンダー
-
アグネスタキオン