ウマ娘ゼロノスダービー   作:クレナイハルハ

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トップガン

桜花 ユウトside

 

 

学園に入りながら自転車から降りて、自転車を手で押しながら校舎の駐輪場に自転車を止めて鍵を閉めてから、校舎へ向かう。

 

ふと、三女神の像の配備された広場が目にはいった。

 

「懐かしい…………あれ?」

 

おかしいな、今日初めて来て初めて見た筈なんだけど寝不足かな………緊張してあまり眠れなかったし。

 

そうじゃないと、初めて見た三女神の像を懐かしいと思う筈がないしね。

 

「ようこそ、トレセン学園へ。桜花トレーナーさん」

 

「あ、たづなさん」

 

聞き覚えのある声に振り替えると、そこには学園での面接で面接官の一人であった緑色の服を来ていることが特徴的な女性。駿川たづなさんがいつも通り微笑みながら立っていた。

 

「なんかまだ慣れないですね、トレーナーって呼ばれるの。それに新人ですからまだトレーナーじゃなくてサブトレーナーとかじゃないんですか?」

 

「ふふ、確かにそうかもしれません。ですがそれは理事長が決める事ですから、まだわかりませんよ?」

 

「あはは、新人がいきなり担当を持つとかありえませんって。」

 

そんな談笑をしながら学園内の通路を歩き、校舎へと向かう。学園は広く校舎の外にカフェテリアやレース場、トレーナー用の寮とウマ娘用の寮が二つがあるらしい、まぁ寮は家から通う僕には関係ない話だけど。

 

「そういえば、桜花トレーナーは自宅からの通勤ですよね?寮に入ろうとは考えなかったんですか?」

 

「せっかく両親の残してくれた家ですから、それに学園に自転車なら早くこれますし、運動になります!」

 

「そうですか、桜花トレーナーはこの後理事長室に?」

 

「はい、初日ですから理事長室に挨拶に向かおうと思って──」

 

「歓迎ッ!!」

 

そんな事を話していると、そんな聞き覚えのある大声が聞こえて振り替えると、帽子の上に猫を乗せた幼い容姿の少女。この学園の理事長、秋川やよいさんが歓迎と描かれた扇子を広げて僕たちの方を見ていた。

 

「我がトレセン学園に良く来てくれた、桜花トレーナー!」

 

「ど、どうも。秋川理事長、本日よりよろしくお願いします」

 

そう言って軽く頭を下げる、パッと見幼い少女に頭を下げる成人男性と言う少し犯罪的な絵面だけど、この人が上司なのだから仕方ない。

 

「うむ!こちらこそ、学園のウマ娘達をよろしく頼む。どうか担当の夢を叶えてやってくれたまえ!」

 

「秋川理事長、あの自分は新人ですからいきなり担当を持つのは………その、サブトレーナーとして働いてからが普通じゃないですか?」

 

「?」

 

いや、何を言ってるんだこの人?みたいな顔されても、え?最初はサブトレーナーからじゃないのかな。

 

「………信頼ッ!君ならきっと素晴らしいウマ娘を育てられると信じている、安心してトレーナーとして活動して欲しい!」

 

「え、えぇ!?た、たづなさんはどう思います?やっぱり新人がいきなり担当だなんて──」

 

「今年は貴方以外にも同期である桐生院さんも担当を持つそうですし、大丈夫じゃないでしょうか?」

 

そう信頼しているといった視線で見つめてくるたづなさん。

 

いや、桐生院さんはあれだよ。もうそういう専門の家系なんだから出来るのであって新人の僕には無理だ、働き始め最初から担当を持ってウマ娘の指導とか。

 

担当のトレーナーになると言うことは、ウマ娘の三年間をサポートし、より早く走れるよう促すだけではなく、彼女たちの人生を背負うということも意味する。

 

そんなの、僕に出来るのだろうか。そんな不安を抱えつつ僕は口を開いた。

 

「取り敢えず分かりました、頑張ってみます」

 

取り敢えず、明日の選抜レースを見に行ってみようかな。

 

そう思いながら部屋を出てから首から下げているチェーンの先に着いた懐中時計の蓋をボタンを押してあける。

 

すると、懐中時計からはカチッカチッと秒針が進む音が微かに聞こえる。この音が好きなんだよな、何でか自分ても分からないんだけど。

 

「取り敢えず、誰か担当を持ってるトレーナーさんに少し話を聞いてみようかな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

???side

 

私は、咎人。

 

大きな罪を犯した。

 

その罪は私以外は知らない、いやこれから起こる筈であったこと。

 

心に刻め、それは忘れてはならぬ罪。

 

忘れるな、忘れるな。

 

妹と■■の■■を消そうと契約した私を許すな。

 

鼓笛が聞こえた、まるで歌のような鼓笛

 

走ってくる黒い電車。

 

あぁ、貴方は……こんな私を助けてくれる。

 

手を差しのべてくれる、傷のある大きくて優しいその手を掴むために私は手を伸ばした。

 

貴方は笑ながらその手を掴まなかった。

 

いや、掴めなかった

 

『ごめん』

 

そう、手を伸ばすが届かない。

 

その手を掴めない。

 

伸ばした先にあったのは、身体中から砂を溢し人ではない姿へと崩れていく貴方の姿。

 

まって、まって

 

どれだけ手を伸ばしても、どれだけ早く走ってもたどり着く瞬間に貴方は消えてしまった。

 

「ッ!?」

 

少女は目を覚ました、余程夢見が悪かったのかガバッと体を起こし深呼吸する。

 

隣のベットに眠る同室のウマ娘である彼女はまだ夢、すやすやと心地良さそうに寝息を立てている。

 

見慣れた部屋を見回した彼女はゆっくりと瞳を閉じてからベットへと身を預ける。

 

彼女が見たのはあるウマ娘とトレーナーの三年間、そしてそんな三年間の間で知ることとなったトレーナーの秘密と悪魔との契約。

 

「一体、誰なの………」

 

振り返りながら自分へと手を差しのべてきたあの人は一体誰?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

???side

 

 

思い出すのは、トレーナーちゃんの秘密を知ったあの日。

 

向かっていたトレーナー室から慌てた様子で外へと飛び出していくトレーナーちゃんが気になって後を追いかけた事が始まりだった。

 

トレーナーちゃんが腰にまるで子供の変身玩具のような物を巻いていた。そして何かカードのような物をベルトへいれると、トレーナーちゃんはまるでヒーローのような格好に変身した。

 

その時のマヤは、凄くドキドキしてたんだ。

 

マヤのトレーナーちゃんは、トレーナーで陰ながら街を守るヒーロー!そんな子供みたいな事を考えたの。

 

でもある時から不思議な事が起こり始めた。

 

同じチームのナリタタイシンちゃんがある日から練習に来なくなった。最初は体調が悪いのかな?って心配だったけど違ったんだ。

 

タイシンちゃん、トレーナーちゃんのチームのウマ娘だった事を()()()()()()()()()。今でも思い出せる、タイシンちゃんがトレーナーちゃんとまるで他人のように接するようになった事を。

 

その時はみんなで心配した、タイシンちゃんが頭を打ったんじゃないか?記憶喪失にあったんじゃないか?それともアグネスタキオンさんの変な薬を飲んじゃった?

 

そう考える中で、トレーナーちゃんはまるで悟ったような顔で笑ってたんだ。苦しそうで悲しそうな目をしながらゆっくりと思い出して行けば良いと言ってた。

 

その時はみんなもタイシンちゃんも納得したんだけど、次の日は生徒会長のシンボリルドルフさんがトレーナーちゃんの事を忘れてた。

 

まるで他人のように話してて、タイシンちゃんと同じようにトレーナーちゃんの事だけ忘れてた。

 

この時、マヤは思い出したの。

 

ビコーペガサスちゃんも見てるヒーロー物も、スイープちゃんの見てる魔法少女物も、全部が共通している事がある。

 

デメリット、何かを得るには何かを失わないといけない。

 

それはアニメに関わらず、現実でも言えること。

 

例えるなら、マヤがご飯を食べるとするならご飯を作る人の時間と食材が消費されて無くなっちゃう。

 

なら、トレーナーちゃんのあの姿に変身する事も何らかの物を消費するなら。

 

普通のヒーローなら体力、魔法少女なら魔力。

 

トレーナーちゃんのあの姿になるときのデメリット。

 

最近の不思議な出来事、チームの事は覚えているのに()()()()()()()()()()()()()()()()()()ルドルフさんとタイシンちゃん。

 

それに、最近は理事長さんや他の付き合いのあったトレーナーさん……桐生院さんや樫本さんもトレーナーちゃんに対して()()()()()()()()()()を感じない。

 

カフェテリアの料理を作ってくれる人や、テイオーちゃんも友達だったのに今は()()()()()()

 

『………マヤ、分かっちゃった』

 

きっと…トレーナーちゃんがあの姿になる時に消費している()()

 

それは、()()

 

それもトレーナーちゃん()()の記憶じゃなくて、トレーナーちゃんの()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

『トレーナーちゃん……』

 

マヤわかんないよ、どうしてそこまで出来るの?

 

みんなから忘れ去られちゃうのは寂しくて、苦しいはずなのに。

 

そう思った時私はハッと気付いた。それは、チームに入ってすぐの事。

 

『ねぇ、トレーナーちゃん』

 

『なんだい?』

 

トレーナーちゃんは優しくて、いつも私たちウマ娘の夢を目指す手助けをしてくれる。例え、自分の()()()()()()()()()でも。

 

『なんでトレーナーちゃんは、そこまで優しいの?』

 

『優しいって、何で?』

 

テイオーちゃんの足の問題だって、気付いたのはトレーナーちゃんだ。他の子は走るフォームの改善や走るウマ娘に適した作戦を考えて、怪我の前兆を発見して教えていた。他の担当のウマ娘や担当がいなくてもそのように接していたトレーナーちゃんは、言ってた。

 

『僕は優しいんじゃないよ、今出来ることを精一杯やってるだけなんだ。』

 

そういいながらトレーナーちゃんは、マヤの頭を撫でながら口を開いた。

 

『叶えたい夢や約束のレース、目指した目標や今の自分じゃ走れない距離のレース。例えどんなにあり得ない夢や目標でも、手を伸ばして必死に走るそんなウマ娘の手助けをして、ほんの少し背中を押してあげる、それが僕たちトレーナーなんだ。』

 

『もう、トレーナーちゃん!マヤを子供扱いしないで!』

 

『あはは、ごめんごめん』

 

 

その時、マヤはこの人がトレーナーになってくれて本当に良かったとそう思ったんだ。

 

だとしたら、私もきっとトレーナーちゃんの事を………。

 

そう考えた瞬間、まるで走馬灯のようにマヤとトレーナーちゃんとの記憶が浮かび上がった。

 

「いや、嫌!そうだ、手紙なら!」

 

今までの事を手紙に書いて残せば良いんだ、トレーナーちゃんの事を忘れても、きっと私なら分かってくれる筈だ。

 

ペンを手に取り、私はノートのページを切り取って手紙を書こうとして

 

『────あれ、マヤ誰にお手紙書いてたんだっけ?』

 

 

 

 

 

 

 

──────────⏰──────────

 

 

 

 

 

 

マヤは、忘れちゃった。

 

大切な人(トレーナーちゃん)との思い出を、全部………

 

でも気が付いたらデビュー前に戻ってた。

 

チームも当然ないから、すっごく驚いた。時間が戻った?いや違う、マヤは思い出したんだ。こことは違う世界、並行世界の記憶を持ってることを。

 

もしかしたら、またトレーナーちゃんと会えるのかな?そんな思いは即座に叶えられた。窓から見えたトレーナーちゃんが自転車を漕いで此方へと向かう姿を見て、嬉しくなった。

 

明日は選抜レース、沢山のトレーナーがスカウトするウマ娘を求めてレース場に押し寄せる。

 

でも、マヤのトレーナーはもう決まってる。

 

待っててね、すぐに会いに行くからねトレーナーちゃん。

 

マヤ、今度は絶対に忘れないしぎゅっとしたまま離さないんだからね。

 

 






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Re.Memoriarise

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