桜花ユウトside
頬を冷やし、何とか手の後が消えたので放課後に彼女がトレーニングで走っていると噂の練習場へと向かう。
廊下には担当を見つけたトレーナーと共に歩むウマ娘の姿が多く見られる。やはりか昨日の模擬レースの時点でスカウトしたトレーナーが覆いようだ。
……………それにしても
ふと立ち止まり振り返ると、誰かが自販機の影に急いで隠れるのが見えた。チラリとウマ耳が見えたから恐らくはウマ娘なのだろうけど、だとしたら何故ついてきてるんだろ?
僕に用事?それとも偶然一緒の方向に向かうだけなのだろうか?でもそうなら隠れるのは可笑しい。
首をかしげながら再び練習場への通路を歩くとまた少し後ろから足音が聞こえた。
うーん、これって話しかけた方が良いのかな?
そう思いながら勢い良く振り返ると、そこには外のウマ娘達と比べると少し小柄で右耳に黄色い耳飾りを着けた鹿毛ウマ娘が立っており、不思議そうに首を傾げて此方を見ていた。
「なに?」
「いや、僕のセリフなんだけど……」
あまりにも当たり前といった様子で立っている彼女の言葉に思わずそう答える。
「ッ………たまたま、同じ道なだけだから!」
「あぁ、うん」
表情を変えずにそう言って僕の横を通り過ぎようとした時だった。
「おいそこのトレピッピィ!」
後ろから聞こえてきた振り向くとそこには以前、沖野トレーナーを拉致していった芦毛のウマ娘、頭にヘッドギアを着けているのが特徴的なゴールドシップさんだった。
「アタ神サマからのプレゼントだぜ?ありがたく受け取っときな!」
が小さな風呂敷から何かを取り出すと僕へと差し出してくる。
ゴールドシップが持っている物を見る、それは黒と黄色の装飾がされたベルトのバックルのような何か。
パッと見は特撮のおもちゃのようだけど。
「なお受け取り後の返品・返却は一切受け付けませんのでご了承くださーい!」
そう言ってゴールドシップから向けられたバックル?を取り敢えず受け取ろうと手を伸ばした、その時だった。
「ッ!」
先ほどの鹿毛のウマ娘が突如として回し蹴りで受け取ろうとしていたバックル?を蹴り飛ばす。通路の窓が空いていた為に、バックル?は空の彼方まで吹き飛ばされていった。
「あぁッ!待てよアタシのお宝!!」
そう言ってゴールドシップさんは廊下を走って玄関の方へと向かっていった。
廊下、走ったらいけないんだけど……
そう思いながらウマ娘の日常って結構アクティブと言うか、ハードなんだと感じた。
取り敢えずメジロマックイーンさんの所にいかないと。
なぁ、トレピッピ。
アタシはあんたのその優しい笑顔は好きだけどよ?アタシには分かっちまうんだ。
トレピッピがその笑顔の仮面の内側でいつも涙を流して泣いてるって。
お前さ、何度も何度も倒れて。
更には死にかけて、挙げ句の果てに担当のウマ娘に忘れ去られても、ウマ娘のために戦って、それを隠してずっといつもみたいに笑ってるよな。
全く、そこまでしても戦うってそうとう変わり者と言うか、バカと言うか……。
3女神の像は何でトレピッピを選んだんだか、覚えてっか?アタシが普通に話しかけただけで急にアンタが泣いたあの日の事。
チームトレーナーだった筈のアンタの部屋には誰も居なくて、変だなぁって感じてた。
アタシは混乱して、何も言えなかったし分からなかったけど……担当になった今なら、これだけは言える。
絶対にアンタの人生を面白くして、ずっとあの笑顔を浮かべられるようにしてやるって──だけど。
ある日、まだ思い出していなかったアタシの目の前にアンタが現れた。
『ゴル……ゴールドシップさん』
突然話しかけられたアタシは凄く驚いたし、アンタの事も本当にトレーナーなのか疑ってたっけ?
『んお?アンタは、トレーナーか?うーん、今まで見たことない顔だなぁ、もしかして潜入したスパイか!?回りの目は誤魔化せてもゴルシちゃんの目は誤魔化せないぞー!』
『アハハ、やっぱりゴルシはいつも僕を笑わせてくれるね』
その時のアンタの笑顔は、まだ思い出していなかったアタシにとって何故か胸が締め付けられるような感じがしたんだ。
『な、なんだよ?私を知ってるのか?しかもその呼び方は』
何でだろうか?初めてあったはずなのに、何故かこいつを離すな、ずっと一緒にいろと言う考えが常に頭に浮かぶ。
いつものアタシらしくない話し方に、自分でも困惑する。普通ならここで茶化したりをするのに、何故かアタシは出来なかった。
『ごめん、これを受け取ってくれないかな?』
そう言って身に付けていた大きなバックルのついたベルトを外して渡してきた。
『なんだよこれ、大きな……なんだ?おもちゃか?』
知らない昔の特撮の変身おもちゃだろうか?だとしたらアタシが知らないはずない。
そう思ったのもつかの間だった。
『ゴルシ、本当に……ありがとう』
そう言った彼の体に異変が起こった、彼の体がゆっくりと透けていっているのだ。
まるではじめからその場にいなかった事を表す様に、確かに次々と足元から消えていく。
思わず貰ったベルトを手から溢れ落ち、金属が落ちた時のようなガチャンと言う音がした瞬間、私は急にある光景が頭に浮かび上がった。
それは、あるトレーナーと共に駆け抜けたアタシの記憶。沢山の人やウマ娘から親しまれ、愛されていた筈なのに、誰からも忘れ去られてしまったトレーナーとの大切な
『………ユウト』
何で急にアタシを置いて消えちまったんだよ?
なぁ、ユウト………
そう思いながらアタシは足元に落ちているベルトを拾い上げて、強く握りしめた。
Episode:ZERO
ゴールドシップ『始まりはいつも突然』
過去の記憶持ちウマ娘で、時系列や順番が可笑しいと思う人がいたと思います。
第1話ではシンボリルドルフが最後のトレーナーの記憶保持者として描かれていたのに、何故か第3話ではマヤノトップガンが最後のトレーナーの記憶保持者として描かれています。なので、今回はその解説として、現在書いたウマ娘の記憶の忘れた順番を解説していきます。
ハルウララ《過去世界①
→最初にユウトの存在を忘れたウマ娘。忘れたがすぐにチームメンバーがウララの変かに気付き記憶喪失ではないか?と病院へと運ばれたが、原因は不明のままだった。ナリタタイシンの世界線へと続く。
ナリタタイシン《過去世界①
→新しくスカウトし活躍しユウトと絆を深めた後に記憶が消えた。過去に泣いていた自分を鼓舞し元気付けてくれた若いトレーナーが実は過去世界にイマジンを追いかけてやって来たユウトだった。
アドマイヤベガ《過去世界①
→まだ思い出せていない、ゼロノスとしての姿を見たことはあるがトレーナーとしての顔が思い出せない。自身が犯した罪も思い出せないが断片的に記憶を悪夢として見続けている。
マチカネタンホイザ《過去世界①
→アドマイヤベガの次に忘れたウマ娘、分けるのならウララがシニア級で有馬を制し、クラシック級ではタンホイザが有馬を勝利した。両親にもこの不思議な記憶を話しており、擬似的に主人公へ一番最初に親を紹介したウマ娘となる。ルドルフの世界線へと続く。
シンボリルドルフ《過去世界①
→自分の理想に『実現したいね』という言葉と真剣な顔で背中を押してくれた彼を逆スカウトした。自分が最後にトレーナーと会っていたと思っているがキングヘイローの世界線へと繋がる。
キングヘイロー《過去世界①
→最後の主人公の担当となり、ゼロノスとしての主人公を差さえ続けたウマ娘。だが、最後は主人公がこれ以上、キングヘイローを関わらせるのは申し訳ないと思い、会い行くのを止めた………ここからゴールドシップの世界線へと繋がる。
ゴールドシップ《過去世界①
→主人公が最終戦でカードの全てを使いきり、消える瞬間を見た時に何故か共に過ごした記憶を思い出した。
何故かゼロノスベルトは消えず、彼女の元にある。
マンハッタンカフェ《並行世界の過去①
→ユウトがウマ娘を1人だけ担当したURAファイナルズの世界線。彼女のコーヒー好きは主人公の淹れたオリジナルブレンドのコーヒーが美味しかった事から。インスタントから自分で豆を焙煎するまでのコーヒー好きになった。
マヤノトップガン《並行世界の過去②
→並行世界にてシンボリルドルフ、ナリタタイシン、マヤノトップガンでチームとして活動をしていた記憶を持っている。
以上です
あと通常のタイシンと新衣装ファルコン引いてライトハローと振り袖フクキタルを入手しました。
これで報告を終わります
ご愛読ありがとうございます
感想、お気に入り登録、高評価
お待ちしています。
Re.Memoriarise Ver2.5
-
Lost Blaze
-
思い出アップデート
-
王様のSMILE
-
掴んだ勝利と栄光と失くした記憶
-
二人で創った未来
-
宝塚記念:アポカリプス
-
最後の希望
-
怪物への道
-
理想
-
消えた人、残された物語