12月に入り坂ノ上町も少しづつ慌ただしくなってきました
そんな中、町の中心部から少し離れた所にある教会で1人の男性だ佇んでいました
彼は照明デザイナーの卵で去年この街に引っ越してきたばかり
毎年クリスマスの日にこの教会でミサが開かれるのですが、その日のイルミネーションをたのまれたのです
彼の名前はたける
たけるは教会の前で色々なシチュエーションを考えていましたがなかなかいいアイデアが思いつきません
とりあえずたけるは町の本屋にイルミネーションの本を買いにいくことにしました
どこで読もうかなとおもいながら歩いていると、みたことのない喫茶店が
コーヒーでものみながら考えるか、、、
そう思い店に入りました
「いらっしゃいませ」
可愛いピンクの服をきたさやかが明るく出迎えました
「コーヒーと、、、そうだなサンドイッチ頼もうかな」
たけるはそう言うと買ってきた本を読み出しました
運ばれてきたサンドイッチをたべながら、あーでもないこーでもないと考えていると
いつのまにか3時間持って経っていました
「すみません、つい夢中になって」
たけるが慌てて立ち上がろうとすると
「構いませんよ。何の本を読んでらしたんですか?」
とさやかが尋ねると
「実は、、、」
と教会のイルミネーションのことをさやかに話した
「本に載ってるものじゃだめなんですか?」
さやかが本を指差して聞くと
たけるは「どれもきれいだけど何か違うんだ。もっとこう、、、う~ん上手く表現できないんだけどイメージはあるんだよ」
たけるはまた座り込んでしまった
「だったら、」
さやかは奥にいきメニュー表を持ってきてたけるに差し出した
メニュー表には
未来3時間1500円
過去3時間1500円
時間厳守でお願いします
と書いてある
「これは?」
たけるが不思議そうに尋ねると
「ここに書いてある通りです。お客様が行きたい方にいくことができます。」
さやかが優しく答えた
そんなバカなことがあるのだろうか、、
たけるはそう思いながらも騙されたつもりで頼んでみようと思い
「じゃ、過去に。できれば小学6年の頃がいいです」
と真剣な顔でさやかに言った
「かしこまりました」
その瞬間店内が暗くなり光る扉が現れた
「いっらっしゃいませ」
さやかに促されるままたけるは扉を開けて歩きだした
本当に過去なのだろうか、、
半信半疑で歩いていると子供達の声が聞こえる
行ってみるとそこは昔よく遊んだ公園だった
なつかしいな、、
そう思っていると「たけるこっちこっち」とたけるを呼ぶ声が
俺?
よく観るとそこには確かに小学6年の頃のたけるが、、
本当にきたんだ!
たけるはびっくりして暫く呆然としていたが、そのうち思い出したように歩き始めた
たけるが向かったのは近所にある大きな三角屋根の家
その家はクリスマスが近づくと綺麗なイルミネーションを施していた
あるかな、、
たけるはドキドキしながら歩きその家の前に着いた
これだ、これ懐かしいな、、、
赤や黄色のイルミネーションがあり門にはクリスマスリースが飾ってあった
毎年いいな~と思いながらその家の前を歩いていたのだ
でもたけるが作りたいイルミネーションとは違っていた
たけるは自分の家に向かった
辺りが暗くなった頃やっと家にたどり着いた
中ではたけるが家族みんなでクリスマスの支度をしていた
大きなもみの木に星やライトを飾ってたのしそうだ
「じゃ、いくよ」
父がそう言ってライトのスイッチをいれた
しかし点かない、、
そうだったこの時ライトが点かなくて大騒ぎしたんだったたけるが笑いながら見ていると
父が「待ってなさい」
そう言って外にいき何かを持ってきた
それは雪だった
父は雪をもみの木に乗せて「綺麗だろ」と自慢気に言った
それをみたたける達は大喜びしていた
そして雪が少しずつ溶け始め雫がしたたり落ちたその時
これだ、これだったんだ
たけるは自分がイルミネーションで表現したいものがやっとわかった
雪のような白い飾りから雫のように落ちていく様々な色な
光、、
たけるは過去に来て良かった
そう思いながら元の世界に帰ってきた
「お帰りなさいませ」
さやかが出迎えた
「ありがとう。おかげで良いものができそうだよ」
そう言うとたけるはサンドイッチ代と2000円を払った
「お客様お釣りです」
さやかがお釣りを渡そうとしたがたけるは
「ほんの気持ちだから」
そう言って受け取らずに店を出た
クリスマスの日まで雪が降り続いていた
たけるは手間取りながらも何とかクリスマスほんばんに間に合うように頑張って飾り付けを完成させた
そして当日
教会に人々が集まってきた
外も暗くなりいよいよ点灯しようとしたその時!!
ふっと町のあかりが消えた
降り続く雪の影響で電線が切れてしまったようだった
嘘だろ?何でこんなときに、、、
ミサに集まった人々もざわつき始め困り果てていると
急に教会の金が鳴り出した
それと同時にたけるの作った流れるようなイルミネーションが目の前に広がった
その美しい光景に誰もが息をのみ、感動の声を上げた
ほどなくして町に灯りがもどった
ミサも無事終了して町の人達が家路に着く頃たけるはまだ教会の前にいた
どうしてこれだけ点いたんだろう
すると風に飛ばされて1枚のレシートが、、
拾ってみるとそこには500円とだけ書かれていた
たけるは走りだし前に入った喫茶店をさがしたが、そこには何もありませんでした
次回は猫好きなおばあちゃんのおはなしです