問題は期末ですよ期末。
「龍太郎。さてはかーなーり勉強やってたな?」
士郎たちのありふれた高校でも中間考査が終わり、成績が開示された。
士郎も中学時代は出来る方、で通っていたが、流石は進学校というべきか。クラスの上位10人の中に士郎の名は無く、辛うじて龍太郎に次いで上位15名に入るという微妙な順位で終わった。
龍太郎は体格から誤解されがちだが、普段からちゃんと復習はやっていたようだ。森の賢人とでもいうべき風格を醸し出している…ように見えた。
「一緒に勉強したから、だぜ。うちの部はあんま勉強に力入れてるやついねぇし、またよろしくな。」
「おう。」
そして大方の予想通り、光輝の周囲には人だかりができていた。いつものことである。
「取りあえずおめでとう光輝、香織。あとの二人は出来なかったところを中心にと頑張りなさい。」
「ありがとう雫。香織も心配していたけれど、いい成績で良かった。」
「そうだね。でも、期末はみんな本気を出してくるだろうし、手を抜かずに頑張ろう。」
なお、当然のように光輝と香織はワンツーフィニッシュを決めた。雫は上位五名に入っている。
「おーい衛宮ぁ。何だおめぇ全然出来てねぇじゃねぇか。がり勉って面しといてその程度か?」
そして意外なことに、雫より成績が上の第四位はあろうことか檜山だった。これには色んなやつがビックリである。
「む、檜山か。お前こそその振舞いでトップ10ってキャラか?」
檜山グループの長である檜山はいるが、取り巻きの中野たちは居ない。一体どうしたのだろうか。
「お前とは頭の出来が違ーんだよ。悔しいか?悔しいだろ?」
「いいか、期末は喰らいついて見せるからな。」
「はっやってみろバーカ。」
「二人とも仲が良いねぇ。」
「香織は檜山に興味が無さ過ぎるでしょ……」
士郎と檜山のどこを見たらそう見えるのか、と雫が呟く。
ありふれた日常はつつがなく進んでいた。
「……そう言えば香織、この間の用事はどうだった?楽しかった?」
雫の問いかけに、香織は笑顔でこう答えた。
「えっ!?うん、凄く楽しかったよ!」
「そっか、良かった。でも珍しいよね、テスト前に香織が居なくなるなんて。」
雫がそう問うたのは、特に含むところのないただの雑談だ。この時の雫は、香織の挙動が少しおかしいことに気が付かなかった。
「うん、流石にテスト前は駄目だったよね。でも、テストが終わったしこれからはもっと頑張れる!」
「そっか、良かった。実は最近、衛宮くんのお姉さんに出会ってね。今度会う約束をしてるから、次の休日は一緒に遊べないんだけど……」
「全然いいよ!楽しんできてね、雫ちゃん!」
「ありがと。また今度ね。」
誰も気付かない爆弾が、弾けようとしていた。
煽り煽られる成績の内はまだいい。
本当に悲惨な成績はネタにもならない。