ごくありふれた正義の味方   作:taiken

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南雲くん無しだとトータス攻略はキリシュタリアと藤丸&マシュとデイビッド無しのAチームによる人理修復位の難易度になる気がする。


ありふれた本編の話 人員配置

 

 

「……結局、戦うことになっちまったな……」

 

 トータスについての座学と戦闘訓練を終え、夕食をみんなと食べた士郎たち五人は、光輝の部屋で今後の展望について話し合っていた。

 

 表情は暗い。当然だろう。畑山先生の交渉も虚しく、結局、ハジメ以外のクラスメイトは参戦が決定づけられた。

 

 それぞれに与えられた、戦闘系の”天職”によって。

 

 無力感を感じる資格すら、今の士郎たちにはない。交渉を畑山先生に任せた結果こうなったが、ハイリヒ王国の大人たちと交渉し、これ以上の条件を勝ち取るのは不可能だと察していたからだ。

 

 ハイリヒ王国側も譲歩している。これ以上を望むのは、それこそ不可能だった。

 

「完全に行動の自由を制限されるって訳じゃない。有事の際には前線に立って戦うが、ハイリヒ王国に定期的な報告をし、獲得した魔石の一部を上納さえすれば、行動の自由も認められるそうだ。」

 

 

「愛ちゃん先生には頭が上がらねぇな……」

 

 

 そんな光輝と龍太郎の会話を黙って聞いていた雫が口を開いた。

 

「私は戦わなければいけないと思うわ。衛宮くんには悪いけれど、この世界では戦争が行われているなら、もしかしたら私たちにもその渦中に巻き込まれるかもしれない。そうなったとき、自分だけ安全な場所で守られているなんて耐えられないもの。」

 

 光輝は雫の発言に驚きを隠せないでいた。

 それは、クラスでも一番の常識人だと思っていた雫からの発言だったからだ。

 

 光輝から見て、龍太郎にもクラスで二番くらいに常識はある。ただ、龍太郎は常識と友情の二択を迫られた時に友情を取る。

 

 だが雫は、常識を知りながらそれに囚われない。ある意味で、彼女は強い女性でもあるということなのだろう。

(……流石、姉弟子だな。)

と、思い出したように納得する。

 

「決意は、硬いのか、八重樫。」

 それでも、士郎は改めて説得を試みた。

「衛宮くん。これは私のための決断よ。皆のための決断でもあるの。いざという時のために自衛できるに越したことは無いし、この世界で生きていく上で、武力以外に頼れるものがあるの?」

 それはある意味では正論だった。

 

「む……でも、愛子先生は武力以外でも立ち位置を確保できてるぞ。」

 

「愛子先生は大人で、武力以上に有用な能力がある。南雲くんもね。でも、私たちにあるのはせいぜいが容姿くらいの外国人。この状況ではあまりよろしくないわ。」

 

「そう言われると、俺にも反論することはできないが。」

「……戦わなくていい、と言ってくれたことは、嬉しかったわ。でも、それでは生きていけないの。強くなければ。衛宮くんこそ、生き残るために強くならないといけないわよ。まだ、レベル1のままなんでしょう?」

 

「いや、今日やっとコツを掴んだ。レベルも上がったぞ。」

 士郎のレベルは、数日の訓練にも関わらず1のままだった。他の四人が既に3になったことを考えると、遅い成長ではあったが、今日ようやくコツを掴むことが出来たようだ。

 士郎の天職は、守護者。基礎訓練を必死にこなし、王宮の魔術師たちに相談して固有魔法の”投影”訓練の仕方を変えることで、やっときっかけをつかむことが出来た。

 

「そうなのか!心配していたが、それなら良かった。士郎、雫。これから生き残るためにも、クラスの皆を守るためにも、これから、協力してくれ。」

 

「分かったわ。」

 

「私も雫ちゃんと同じ考えかなぁ~。」

 と、そこまで心配そうに二人のやりとりを見ていた香織が挙手する。

 

「香織、本当に大丈夫なのか?俺達の戦いには危険が伴うんだぞ?今日だって、厳しい訓練だった。メルドさんに頼んで、後衛向きの魔法訓練を増やしてもらった方がいいんじゃないかと思うんだが。」

 

 運動部所属だった他の四人とは異なり、香織はスポーツの経験は浅い。そのせいか、天職も”治癒術師”という魔法職。走り込みなどの鍛錬では汗だくになりながら周回遅れとなっていた。

「それは大丈夫だよ。それに、他のクラスメイトの皆も、私がやってるならって仕方なくやってくれるかもしれないよ?」

 

「……それは否定できないが、それとこれとは話が別だ。」

 

「そうだぞ。本当に答えが出たのか、白崎?」

 

 士郎は香織にもう一度確認する。召喚されてからずっと、香織や雫との間には気まずい雰囲気が流れていた。

 

「うん。衛宮くんの言いたいことは分かるよ?私の前で誰かが死ぬかもしれないし、皆の前で、私が死ぬ可能性だって常にある。」

 香織は胸に手を当てて考えたことを言う。

 

 

 ……もし、ハジメが死んだら、それでも自分は戦えるのか?

 

 そんなことは考えたくもない。そうならないために戦いたい。もしそうなっても、戦えるとは思えない。だが、そう思っているのはきっと、香織だけではない。

 

 光輝だって龍太郎だって士郎だって雫だって、自分と誰かの為に戦っている。幸か不幸か、香織の一番大切な人は、戦場に赴く必要はない。

 

 だがそれも、今のところは、だ。

 

 戦況が悪化し、本当にどうにもならなくなれば、彼だって前線に駆り出されるかもしれない。

 

 もしそうなった時、自分に力が無かったら? 

 彼を守れずに、彼を犠牲にしてしまったら?

 そんな結末は、香織には許容できない。

 

「だからこそ、戦わなきゃいけない。戦うって決めたのは自分の意志だよ。誰かのためにっていうことを、誰かのせいにする気はない。みんなを死なせたくないから戦う。これは、光輝くんに言われても絶対に譲らない。」

 

「……」

 雫と龍太郎は、黙ってその言葉に頷く。

 ここに居る五人は、誰かの為に戦う、という一般的な感性からすれば眩いほどの善性を持っていた。だからこそ、光輝に賛同して、参戦を決意してここに居るのだ。

 

 これだけ話し合っても決意が変わらないならば、もう、皆を守れるだけ強くなるしかない。

 

「思い返せば香織は昔から、一度決めたことにはとことん頑固だったな。」

 

 光輝はふう、と溜息をはく。過去を懐かしむその言葉には、感嘆と諦観の感情が入り混じっていた。

 

「……分かった。なら、戦力として頼らせてもらう。色々と、試すようなことを上から言って悪かったな。」

 士郎は、そう言って二人に頭を下げた。

 

 

「いいわ。でも、衆人環境の中で誤解を招くような言動は止めなさい。」

 

「私は別に謝ってもらわなくていいよ。士郎くんの言い分も当然だと思うし、ちゃんと考えないといけない事でもあったから。」

 雫もそうだが、香織もあっさりと士郎の謝罪を受け入れた。誰にでも優しい香織らしい結末だった。

 

「……さて。これから俺たちは、皆を守るために強くなりながら、皆を率いていかなきゃいけない。」

 

 そして、光輝が本題に入る。今日集まったのは、クラスメイトが参戦することに対する今後の方針を、光輝以外の面々とも共有しておくためだった。

 

「ま、皆表向きは光輝に従うだろうな。モチベはゼロ以下だけど。」

 

 天職が勇者であり、真っ先に参戦を表明した光輝は、今ではクラス内でもちょっとした畏怖の対象となっていた。魔物たちの能力を弱める聖剣を唯一扱える、ということもあり、ハイリヒ王国側の扱いも龍太郎や雫へのそれより丁重になった。

 

「だから、皆とは深く接しながら戦っていかなきゃいけない。

普段からやってないこと、まして戦争に対するモチベーションは、すぐに萎えていくものだ。だから、根気のいる作業になるとは思うが、四人の力を貸してほしい。」

「勿論任せろ。」

「内容によってはね。無理な時は無理って言うわよ?」

 

「で、具体的には何をすればいい?」

 

「そうだな、龍太郎は永山や遠藤あたりの、まともな男連中とも組んでみてくれ。とにかく、彼らが暗い顔をしている状況が一番まずい。」

 永山や遠藤は、自己主張が激しいタイプではない。だが、クラスでも確かな良識の持ち主であるはずだった。

 

「任せろ。ま、あいつらなら大丈夫だと思うがな。」

「それでも、不安はあるさ。」

 

「じゃ、私と香織は女子たちのとりまとめ?」

「ああ、そうだな。何か困ったことがあったら、すぐに相談してくれ。それと、香織には南雲へのフォローも任せていいか?」

「南雲くんの?」

(言われなくても、一週間に一度は合いに行くつもりだったけど。)

 香織は首を傾げる。

 

「皆が戦っているのに、自分だけ生産職っていうのは辛いものがあるだろう。そこのところのフォローは、俺には出来ない。香織にしかできないことだと思う。頼めるか?」

「任せて。」

 

 ピースサインで香織は答える。

 

(香織のモチベーションが最高にまで高まったわね……)

 雫は香織を見て、ああいつもの香織だと安心する。転移前の雰囲気が戻ってきていた。

 

「そして、士郎。清水のフォローを頼めるか?」

「幸利の?」

 

「ああ。清水は南雲以外の奴とあまり話をしてないからな。孤立するかもしれない。」

 

 それはある意味では残酷な配慮だったが、リーダーとしては気にしておかなければならないことでもあった。

 

 今の状況で、否、人間が社会生活を送る上で最も恐れなければならないものがある。それは孤立だった。孤立している人間は、どこの世界でも思わぬ失敗をしたとき、リカバリーが利かなくなる。それが、周囲に悪い影響を与えていても、孤立しているがゆえにそれに気付けないこともある。

 例えば入学当初のハジメのように。

 

 清水幸利は、そういう意味でこの状況では一番まずい人間であると言えた。体育にしろ他の授業にしろ、彼はいつも南雲とだけつるんでいたからだ。

 他のクラスメイトにも、親友と引き離された子はいた。だが彼らは新しいコミュニティに所属出来た。

 親友とまではいかなくとも、普段からそれなりに友人関係を築いていたからだ。

 

 しかし、清水から積極的に話しかけない限り、他のクラスメイトから彼を受け入れることは今の段階では難しいだろう。

「任せろ。幸利はあれでタフなところもあるやつだから、何とかなる。」

(確かにそうね。)

 

 雫も内心で士郎の台詞に同意した。なんだかんだで友人の女友達がストーカーだったことに気付いたという功績を、彼女は忘れてはいなかった。

 

「俺は檜山たちに釘を指しておく。」

「あと、女子たちのフォローも、だろ?」

 そう士郎が茶化すので、それは仕事に入らない、と光輝が笑う。

 

「ひとまずの方針は決まったわね。」

 五人は、ひとまず頷いた。クラスメイトたちを纏めることが出来なければ、戦争への勝利など夢のまた夢だ。だが、それが可能ならば、まだ希望はあるかもしれない。

 

「ああ。何か不味いことがあったり、解決できそうにないことはすぐに相談して、都度対応していこう。それじゃ、今日はもう遅いし、解散だ。」




書き忘れたけどこちらが士郎くんのステータスプレートです

レベル1の時 ちょっと盛りすぎたかもしれない
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衛宮士郎 17歳 男 レベル:1

天職:守護者

筋力:70

体力:70

耐性:80

敏捷:70

魔力:90

魔耐:90

技能:投影・弓術・物理耐性・魔力耐性・剛力・縮地・先読・魔力回復・気配感知・魔力感知・言語理解

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