殿下とやまがたラーメン紀行 作:さくらん坊主T
おかげさまでお気に入り100件突破しました!地元ネタバリバリの本作をお読みいただき、本当にありがとうございます!!
花笠まつり……か。忘れてたけど、毎年5日からだったな。
ファインは完全に乗り気だけど、沿道がかなり混むんだよな……
警護的にどうなんだ、と考えながら顔を上げると、遠くでサムズアップするSP隊長がいた。嘘でしょ。
正直、俺も楽しみではあったのだ。行くことに異を唱える者がいないのなら話は早いというものだ。
そして時刻は17:30を過ぎ、俺ら家族とファイン、そしてSP隊長はとある店を訪れていた。
祭りの会場である中心市街地から少し横道に入ったところにある蕎麦屋、「
古民家のような店内には、様々な芸能人のサインが飾られている。
じいちゃんが話し始める。
「今日もそうだった
目を輝かせながら相づちを打つファイン。そこへ、父さんが続ける。
「そして、その冷やしラーメンの元祖がここ、堺屋本店です。もったいぶるわけではございませんが……召し上がれば分かるかと存じます」
うん、今朝から思ってたけど父さん、固い。ファインに目線を向けると、ファインは困ったように言う。
「そんなに畏まらないでください、とは言ったんだけどね。完全に緊張されてるみたいで」
正直、父さんの気持ちはよくわかる。ファインの性格を考えても、母さんやじいちゃんが少々フランクすぎるだけで。
そうこうしているうちに、冷やしラーメンが運ばれてきた。
透明感のあるスープに浸かったチャーシュー、きゅうり、もやしの横に氷が浮いている。見た目だけでも涼しげな一品だ。
スープは甘みがあり、あっさりとしている。果汁が入っているのだろうか?
「これだけ冷たいと油が固まっちゃいそうだけど、それが全然ない!しっかり処理してあるのかな?」
ファインは興味津々といった様子で、レンゲで麺を掬う。中太ストレートといったところか。
そして、ずるりと口に入れた瞬間、彼女の目が見開かれる。
「おいしい!!なにこれ!?こんな食べ物があったなんて!」
続けて2回3回と口に運ぶファイン。
「冷たくて、プリプリしていて、味も濃いんだけど、しつこくない……いくらでも食べられそう!」
「でしょ?私も初めて食べた時は感動したもの」
母さんが嬉しそうに微笑む。じいちゃんも笑顔でうなずく。
ファインは続いて、ポリポリ、シャキシャキと心地よい音を立てながら、野菜を口に運ぶ。
本当に美味しそうに食べるものだ。実際美味いのだが。
「ふぅ……ご馳走さまでした。冷たいラーメンなんて初めて食べたけど、しっかりできてるんだね。満足満足♪」
あっという間に食べ終え、満足げに手を合わせるファイン。
「
ファインは「安部……?」と頭上に"?"が浮いてそうな表情を見せる。じいちゃん、県外……というか海外の相手だからもう少し気を遣ってくれ。
「『早く行こう』って意味だな。あっという間に混むから」
「は~い」
急いで会計を終え、店を出る。この後、店内に「Fine Motion」と書かれた色紙が1枚増えたのは別の話だ。
18時過ぎ、メインストリートに出る。既に音頭が流れているが、まだパレードの先頭集団は到着しておらず、始まったばかりのようだ。
しかし、すでに多くの人で賑わっている。
「おぉ~、すごい人!お祭りって感じだねぇ!」
「これからもっと増えるぞ。はぐれないように気をつけろよ」
「大丈夫だよ、トレーナー♪」
そう言って、腕を組んでくるファイン。まあ、SP隊長もいるし問題ないだろうが。
などとやっているうちに、先頭集団が来た。1文字ずつ「山形花笠まつり」と書かれた提灯が目につく。
色とりどりの装いに身を包んだ人々が、鈴のついた花笠をシャンシャンと鳴らしながら練り歩く様はある種圧巻だ。
「……なんかちょいちょいファインちゃんに視線向いてない?」
「トリプルティアラに王手かけてたらそりゃ注目されるって」
「えへへ……ちょっと恥ずかしいなぁ」
山車に乗った市長までもがぎょっとした目でこちらを見てきたのは流石に想定外だった。気持ちは分からないでもないが。
屋台でかき氷などを買って食べながら、パレードを眺める。
ファインも途中からノリノリで「ヤッショ、マカショ」とかけ声を上げ始めた。
今までになく生き生きしているようだ。
熱気も冷めやらぬまま、祭りの夜はあっという間に過ぎていくのだった。
オチのつけ方がムズい!!
8月上旬は東北の盛りじゃぁ…
次回ですが、多分2週間ほど空きます。