殿下とやまがたラーメン紀行 作:さくらん坊主T
ダート要員が足りない
8月6日、昼。
俺とファインは中心市街地から少しそれた所にある"らー麺海ノ介"を訪れていた。
それまで午前中は何してたのかって?ファインが家の中とかめちゃくちゃ写真撮ってた。
曰く、「よく考えたらまさに日本って感じの家を間近で見ることなんてなかなかないな~、と思って」。
王族でなくとも外国出身ならそんな感想を抱くのもおかしくはないだろう。
……しかし、両親&じいちゃんがやけにノリノリで"昭和の家族"みたいなシチュエーションをやりだしたのもあり、よくわからない撮影会が2時間くらい続いたのである。
閑話休題。
カウンター席10席ほどの店内の奥に座り、食券を出して待つ。ちなみに注文したのは2人とも『特製海ノ介』という味噌ラーメンである。
カウンターのすぐ向こう側で調理している様子を眺めながら、配膳を待つ。
「ファイン……正直、疲れたりはしてないか?」
「え、どうしたの急に?」
「ほら……ウチの家族、結構クセが強いだろ?母さんとかじいちゃんとか……ただでさえ他人ん家に泊まるなんて経験ないだろうし、心休まってないんじゃないかって思ってさ……」
「ううん、大丈夫だよ。みんなすごく優しくしてくれるし、それに……この時を待ってたから」
「は……?」
それはどういうことだ、と続けようとしたタイミングで「お待たせしましたァ!!」と威勢のいい声が飛び込んだ。
チャーシューに細切れ肉、味玉、海苔、ネギとなんともごきげんな盛りのラーメンである。流石は"全部のせ"と銘打つだけあるか。
少し色の明るいスープを一口。程よく濃厚でコクの深い、いい口当たりだ。
「白湯を使ってるからかな?まろやかな旨味があって美味しい~」
麺を持ち上げると、スープがしっかりと絡みついてくる。このスープ、意外と粘度が高い。
「あぁ~、これはまた食べ応えのある……。鶏の出汁が効いててうまいなぁ……」
「太麺でこれだけスープが絡むのもなかなかだね。すごいコシを感じるよ」
2人して舌鼓を打つ。バランスを重視した組み合わせ、といったところか。
箸を進めていくうちに、お互い無言になる。
麺をすする音と、厨房の音だけが響き渡る。たまにはこういう静かな食事もいいものだ。
「ふぅ……さすがにちょっと暑くなってきたかも」
「まあ夏場の真っ昼間にガッツリ食べてたら、な」
おまけに若干辛みもあるので尚更である。もっとも、冷房があるだけまだいいが。
結構パンチがきいているのもあって、少しきつくなってきた。
まだ余裕そうなファインを見て、己の衰えを感じてしまう。まだ20代だけど。
そんなこんなでなんとか完食。若い人向け……これに尽きる一杯だった。
これをペロリといけてしまうウマ娘すごい。
「ごちそうさま~……ボリューム満点だったね♪」
「ああ……さすがに腹いっぱいだわ……」
腹ごなしも兼ねて、午後は実家でできる限りのトレーニングをすることとなった。
……もっとも、夜にまたこってり系のラーメンを食べることとなるのだが、それはまた次回。
~唐突に始まるウマ娘的山形弁講座~
「……ンだよこのコーナーは」
「まぁまぁシャカール。地元の方言を覚えるのも"ロジカル"じゃない?」
「だとしたら
はらだくさい(村山地方):怪しい、うさんくさい、変な
例:アグネスタキオンのトレーナーがまたはらだくさい薬ば飲ませらっだんだど。
(アグネスタキオンのトレーナーがまた変な薬を飲ませられたってさ。)
「『はらだ』が元々『嘘』とか『いい加減』って意味らしいな」
「原田さんが臭いわけじゃないんだね?」
「全国の原田さんに失礼だろ」
ストックが尽きてスランプによりしばらく間隔が空きます…