殿下とやまがたラーメン紀行 作:さくらん坊主T
ですが今回ノーラーメンです。
特に庄内の皆さんごめんなさい。
夏合宿明けのある日、トレセン学園。
昼食をとるべく食堂に向かうと、何やら賑やかな様子。
何事かと思い周囲を見渡すと、「東北フェア」なる文言があった。
大学の学食かよ、とも思ったが、激辛ホールケーキ*1とかいう需要の分からないモノに比べればはるかにまともである。
メニューを見てみる。我が山形からは「芋煮」と「だし」か。
「トレーナーっ」
「うぉ、ファインか。どうした?」
何と組み合わせようか考えていると、いつの間にかファインが横にいた。
「芋煮が『醤油』『味噌』の2種類あるけど、なんで2つもあるのかな?」
「あー……まぁ色々と、な」
芋煮の味付けは醤油か味噌かという問題はきのこたけのこ戦争並みに根深いからなぁ……
とりあえず醤油仕立てをチョイス。適当にその他のおかずも選んで着席。
具はどうかというと……
「里芋に牛肉、こんにゃくと……ネギか」
「あれ、トレーナーが知ってる芋煮と違うの?」
「内陸部だと里芋と牛肉は絶対入ってるんだけど、それ以外の具は割と家庭によってまちまちらしいな。実家の芋煮はこれにごぼうとマイタケが入ってたな」
「へぇ……」
汁を少し飲む。
これは……よく覚えている……味○ジュウだ……!
しかし、まさかこんなところでここまで故郷の味を再現した芋煮を味わえるとは思わなかった。
ふと、ファインの目の前にあるお椀が目に入る。
……味噌、だと……!?……いや、何がおかしいというのか。所詮は好みの問題だ。
味噌は味噌で美味しいじゃないか。
「トレーナー、お腹の調子でも悪いの?」
「いや、なんでもない。大丈夫」
「そう?」
いらぬ心配をさせてしまったようだ。反省反省。
脳裏によぎる違和感をなんとか捨てながら、山形の味を堪能した。
その日のトレーニング終わり、トレーナー室にて。
ファインがそういえば、と思い出したように切り出した。
「今日のお昼、トレーナーちょっとだけ驚いてなかった?」
「ん?あぁ、想像以上に地元の味付けが再現されてたから……」
「それだけじゃない……多分だけど、ポイントは芋煮が2種類ある理由、だよね?」
「……っ!!」
やはりというか、バレていたか。
「……そうだよ。山形県の中でも芋煮の味付けには結構差があってね……」
手元のタブレットに県の地図を表示させながら続ける。
「海沿いのここ……庄内地域だと味噌仕立てで豚肉を使った芋煮が食べられてて、内陸部では醤油仕立ての汁に牛肉を入れてるんだ。大きく分けるとこんな感じ」
「私が食べたのは味噌味だったから庄内風で、トレーナーが食べたのは内陸風ってこと?」
「そうなるかな」
「でも、それだけじゃ驚くほどでもないような気がするけど……」
やっぱりそこを深掘りしてくるか……仕方ない。
「元々庄内は他の地域と比べても独立した文化があるみたいでさ……芋煮の味付けが違うのもそういうこと。一部じゃ『芋煮戦争』なんて言われるくらいにはデリケートなところがあるんだよ」
「そうなんだ……」
「まあ、長々と話したけどそれだけの話だよ。俺自身は特に気にしてないし」
「そっか♪なら良かった~」
納得してくれたようで何より。
まぁ、そのせいでごく短時間とはいえ余計な気苦労をさせてしまって申し訳ないという気持ちはあるのだが。
「よし、今日はこの辺にしておこうか。お疲れ様」
「うん♪また明日っ!」
………………明日の昼は豚j味噌芋煮にするか。
~唐突に始まるウマ娘的山形弁講座(3)~
「……流石にもうツッコまねェぞ」
「あれ、今回はいつもと違うね?」
「……は?ここでクイズ形式だァ?」
まぐまぐでゅー(庄内):???
例:大食い三銃士がうしきたま食うさげ、つらっで食い過ぎでまぐまぐでゅー
(大食い三銃士が沢山食べるから、つられて食べ過ぎて[ ])
「マグマがでゅーっと出るみたいに調子が悪くなった、とか?」
「なんつーオノマトペだソレ」
正解は次回に。
お察しの通り作者は内陸部出身です、ハイ……