殿下とやまがたラーメン紀行   作:さくらん坊主T

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朝、夜営業してるラーメン屋が少ない…!
もうちょっとだけ鶴岡編が続きます。
あと今回いつもより長めです。
それでは張り切ってどうぞ!


3杯目 騒がしい男と麵をすする (み〇り食堂)

山形に限ったことではないだろうが、個人経営のラーメン屋は多くが昼のみの営業である…ような気がする。

何が言いたいかというと、ファインの希望により夜もラーメンを食べることになったのだ。

が、ディナータイムに営業している店が思いつかないという問題に直面している。

もっとも、夕食時までまだ余裕があるので、今は全力で調査中である。

…泊まるのかって?俺だって日帰りのつもりだったさ。

それがいつの間にかファインに宿を押さえられていたんだから。

この殿下、この土日で山形(というか鶴岡市)のラーメンを詰め込もうとしておられる。

 

「ここは…14時までか。これも15時……うーん」

流石のファインも少し心配そうな様子だ。いかんいかん。

かといって目ぼしい所も見つからない…こうなったらアイツを頼るしかないか。

2、3コールしてそいつは電話に出る。

『おお東海林!!お前から電話なんて珍しいな!!』

うわうるさ…声が低い分ウイニングチケットよりうるさい。

「おう…相変わらずだな本間(ほんま)…」

こいつこと本間隆吾(りゅうご)は俺の高校の同級生だ。今は鶴岡で教師をしているらしい。

こいつの授業を受ける生徒が大変そうだ。

『そういうお前は府中でトレーナーやってるんだったか!!調子はどうだ!?』

「ボチボチうまくやってるよ。ちょっと頼み事というか…」

『なんだ!?俺にできることなら何でも言ってくれ!!』

チラッとファインの方を見ると、耳をふさいでいた。スピーカーホンじゃないのにこれって相当だぞ。

「じゃあ聞くけど、鶴岡で夜もやってるラーメン屋とか知らねえ?」

『なんだ、今鶴岡にいるのか!?せっかくだから直接話さないか!?物産館で待ってるぞー!!』

「あ、ちょ…………切られた…」

「トレーナー、今のは…?」

「高校の同級生だよ。悪い奴ではないんだけど、声がデカいというか暑苦しいというか……まあいいか、とりあえず行ってみよう」

「うんっ!」

 

車を走らせること10分。物産館の駐車場に本間がいた。

「久しぶりだな!!変わりがないようで何よりだ!!」

「ああ、何とか、な。ところで……お前の声が結構漏れてたぞ。もうちょっと声量抑えろよな」

「それはすまなかった!!次からは気を付ける!!……む?もしやそこのウマ娘はお前の担当か!?」

「ああ、一応な。あとかなりいいとこのお嬢様だから、そこんとこ気をつけろよ?」

「心得た!!」

不安だ……

とりあえずファインと本間はお互いに自己紹介を済ませる。

 

「それで、本題だが……夜もやってるラーメン屋、どっか知らねえ?」

「それならば"わかば食堂"がいいな!!あそこはボリューム満点なメニューが多いからウマ娘も満足できると思うぞ!!ちなみに俺のオススメは唐揚げラーメンだ!!」

「へえ……!」

「しかし……ファイン君、君は名家のご息女と聞いた。紹介しておいてなんだが、本当にラーメン屋で大丈夫か……?」

「ふふん、問題ないです!私、ラーメン大好きなので!」

ファインは自信たっぷりに胸を張る。

「そうか!!なら明日の朝は"ラーメン千璃(せんり)"に行くといい!!さっぱりしているから朝でもズルっといけるぞ!!」

「!!ありがとうございます!!」

「どうってことはない!!俺も久々に旧友に会えて楽しかったからな!!俺はここらで失礼するが鶴岡を楽しんでいってくれ!!」

そう言うと、本間はバイクにまたがって颯爽と去っていった。

「……相変わらず嵐のような奴だ」

「でも、面白い人だね♪」

ファインが嬉しそうに微笑んだ。

「んじゃ、俺達も行くか」

「うんっ!」

 

宿のチェックインを済ませた(しっかり素泊まりだった)俺達は本間に紹介されたわかば食堂へと向かう。

「ここがわかば食堂だな」

「おお~っ!美味しそうな匂いがする~!」

食欲を刺激する香りが漂ってくる。中々に盛況のようだ。

「いらっしゃ~~い」

陽気そうなおばちゃんが出てきた。

「2人、空いてますか?」

「こちらのテーブル席にどうぞ~」

座るなりメニューを見る。

手作り感のあふれる字からも町の食堂、という雰囲気が出ている。

唐揚げにカレー、かつ丼など…ラーメン以外のメニューも豊富なのが今はありがたい。明日の朝、昼もラーメンだろうから。

「ファイン、どれにする?」

「う~ん、どれも魅力的だけど……本間先生オススメの唐揚げラーメンにしようかな!」

先生て。間違いじゃないけどさ。

「じゃあ、俺はカツカレーにしよう。すみませーん!」

「はいよ~」

 

少し経ち、注文の品が出てきた。

……いや、多いな!?ボリューム満点通り越してデカ盛りだぞこれ。

まず唐揚げラーメン。子供の拳ぐらいはある唐揚げが5個鎮座している。

そしてカツカレー。皿が洗面器ぐらいデカい。乗っているカツもデカい。

まずいな……食いきれるか?まあそれはともかく。

「いただきまーす!」

ファインが麺を一口食べる。

「おいしい!唐揚げ自体もジューシーなんだけど、ラーメンも魚介出汁がきいてる!カラッと揚がった衣もいい感じ!!」

やはり海沿いの地域だからか、魚介出汁を使う店が多いようだ。

「なるほど……!こっちのカツは……」

一切れ(といってもまあまあデカい)口に運ぶ。噛むと肉汁がジュワッとあふれ出てくる。

フルーティなルーとの相性も抜群だ。……ん?魚の旨味がある?

もしやと思い、ラーメンのスープを少しもらう。

「……!!ラーメンの出汁をカレーにも使っているのか!これはすごいな」

「え、本当に!?……こんなカレー初めて!!」

味付けにも驚きだが、この量をパクパク食べ進めている自分にも驚く。

2人で驚きながら、完食した。

「ふうっ……ごちそうさまでした」

「おいしかったね!」

 

会計を済ませ、まっすぐホテルに戻る。

夜、むやみやたらに未成年、それも王族を連れまわすわけにいかないでしょ。

それでも同じ部屋にされたけど。ちくしょう。

「ふわぁ……お腹いっぱいになったから眠くなってきちゃった……」

欠伸をしながらファインが言う。

「風呂入って寝ろよ。明日も朝からラーメンなんだろ」

「うんっ、そうする。ねえ、一緒に入る?」

「そんなスペースはないし入ったら処されるわ」

「ちぇ~」

残念そうな顔をするな。王女様でしょアナタ。

それぞれ風呂に入り、歯を磨いたらさっさと床に就く。

明日も早いからな。

「「おやすみなさい」」




殿下の解像度を高めていきたい。
作者は食レポ下手ですしおすし…
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