殿下とやまがたラーメン紀行 作:さくらん坊主T
今回は南陽のラーメンを語る上で触れておきたかったアレが登場します。
ニンニクのきいたラーメンを食べた後、シャカールの希望でコンビニに立ち寄っていた俺達。
買い物を終えて店を出ると、地元民とおぼしきおっちゃんから声をかけられた。
「急にごめんなぁ。この辺じゃあんま見ない組み合わせなもんでよ。どっから来たのや?」
「東京からです。自分は山形の生まれですが」
「今日は主に
「ほぉ~そりゃあ珍しい。市役所に『ラーメン課』ってのがあんのは知ってるが?」
「えっ、そうなんですか!?」
「んだ。ざっくりいうとラーメンで街づくり
そう言うと、おっちゃんは「なんようしのラーメンマップ」と書かれた冊子を手渡した。
「いいんですか?頂いても」
「
「ありがとうございます!」
「邪魔して悪りがったなぁ。気ぃ付けで行ぐんだぞ~」
手を振りながら去っていくおっちゃんに手を振る。
早速、ラーメンマップを開いてみた。
「マジかよ……せいぜい10店舗くらいかと思ったら紹介されてるだけで36店舗もあるじゃねェか」
「これだけあったら見るだけでもなかなか楽しいよね♪」
などと話しつつ、宿に向かう。着いた時に初めて判ったことだが、この地域でも特に歴史の長い温泉旅館らしい。
このお嬢様はホントにさぁ……
あと、この手の旅館で夕食なしってアリなの?
部屋でのんびりとラーメンマップを見る。
温泉街があるからか、意外と夜までやっている店も多い。
「うーん……すごく悩むけど、この"せのお食堂"が美味しそう」
「チャーシュー麺か……悪くねェな」
シャカール的に2食連続でラーメンはロジカルなのかって?多分、半分ヤケになってるだけだと思う。
夕食にするにはまだ少し早いので、ひとっ風呂浴びることにした。
野郎の入浴シーンなんて需要も薄いだろうし、割愛。
ローカル番組を見るなどしてダラダラ過ごし、気づけば18時。
「そろそろ行くか」
「うん!楽しみ~」
車を走らせ、せのお食堂へ。
創業から60年経つらしいが、改装したのか内装は新しい印象を受ける。
テーブル席に通され、メニューを見る。
「"ラーメン(中太平打ち麺)"に"支那そば(コシの強い細ちぢれ麺)"……メニューによって麺を使い分けてるんだね」
「そういえばあのマップにもそんなことが書いてたっけな」
「……ちょっと訛りが戻ってンな?」
「うぇ!?マジで?……それはそうと、注文は決まったか?」
「チャーシュー麺にしようかな。シャカールは?」
「……ラーメンで頼むわ」
「了解。んじゃ俺は支那そばにするか。すみませーん」
店員を呼び、それぞれ注文する。
「お待ちどうさま」
10分後、頼んでいたものが運ばれてきた。
特に目を引くのはチャーシュー麺。丼からはみ出すほど大きいチャーシューが4枚乗っている。
「おお~……すごいボリューム……」
「この量は流石に計算外だな……ありえねェ」
ファインはすかさずスマホを取り出し、チャーシュー麺をパシャリ。
「ファインって料理の写真とか撮るタイプだったか?」
「うん、結構インパクトあったからウマッターに上げようと思って」
そういうのもあるのか……あるよなぁ。
……っと、伸びる前に食べないと。
まずは支那そば。細麺とはあったが、想像以上に細い。簡単にちぎれてしまいそうなほど細い。
しかし一口すすってみると、なかなかにコシが強い。少し箸で引っ張ったくらいではちぎれない。そして小麦の香りが鼻に抜けてくる。
スープがちぢれ麺に絡んでくる。そんなスープに鶏ガラを使っているのは分かったが……他にも味があるような……何だろう?
一方、ラーメンとチャーシュー麺に使われているのは平打ち麺。
多加水麺だからか、持ち上げるとプルプルとしている。
ファインとシャカールが同時に麺をすする。
「すごいコシ……!もちもちしてて食べ応えがある!」
「しっかりと食べやすい範疇に収まってやがる……流石だな。そしてスープには昆布をきかせてるときた」
「昆布!?ラーメンではあんまり聞かない出汁だね」
「あと……鶏ガラか?旨味が濃いな」
「こっちのチャーシューも生姜がいい感じにきいてて美味しい♪」
「この店、侮れねェな……」
食事を終え、会計を済ませる。
外に出ればすっかり暗くなっていた。
「ふぅ~、ごちそうさまでした!とても満足だよ!」
「それは良かった」
そそくさと宿に戻り、またひとっ風呂。
露天風呂に浸かり、景色をボーっと眺める。
風呂には日頃から入っているが、温泉には久しく行っていない。
それもあってか、日々の疲れが流れるように抜けていく。
「あ~……生き返る~」
「ンな表現どこで覚えたんだよ……」
……なんで男湯まで聞こえてくるの?壁薄すぎない?
風呂から上がり、自販機で買ったコーヒー牛乳を飲んでいるとファインとシャカールも出てきた。
「お、上がったのか」
「うん!良いお湯だったよ♪」
「まァ……悪くはなかったな」
「あれ、トレーナー何飲んでるの?」
「コーヒー牛乳だけど……2人も飲むか?それともフルーツ牛乳の方がいいか?」
「じゃあ、フルーツ牛乳にしようかな!」
「オレはコーヒー牛乳で」
3人で並んで腰掛け、瓶に入った牛乳を飲み干す。
部屋に戻ってからも、これ以上ないほどにゆるゆるとした夜を過ごすのだった。
温泉上がりにコーヒー牛乳とか売ってるとつい買っちゃう人は手を挙げてください。
はい。
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