(旧)インフィニット・ストラトス パイレーツ・オブ・ディメイション 作:ナイトメア・ゼロ
美術館は、警察官達によって完全に封鎖されていた。マスコミやTV局のニュースキャスターが爆破された美術館に押し寄せている中。
「少しだけ!少しだけでいいですから!!」
昨日ポップコーンを売っていた少女が警官に入れほしいと頼み込んでいた。
「ダメだ!ここは危ないから早くお家に帰りなさい!」
「ちょっ、ちょっと!!」
少女は頬を膨らませ怒ってるアピールをしながらその場を離れようとした時だった。
「わっ!」
誰かにぶつかった。しかし相手が少女の手を掴むとそのまま引っ張ってくれた。
「悪い。大丈夫か?」
「いえ、ってあなたは!」
少女の目の前にいたのは昨日この橋で戦闘をしていたフードを被った男だった。顔を見られないようにしているのかフードを深く被り顔を見せないようにしているが薄らと右頬に何かの刺青は見えていた。
「昨日は悪かった。商売道具を壊しちまって。これは昨日のポップコーン代とその弁償だ。受け取ってくれ」
男はそう言って少女に封筒を渡した。少女は封筒を開けて中身を見ると。
「!?こ、こんなに!?」
封筒の中身は札束が入っていた。少女は目を見開いて驚いていると。
「じゃーな」
男はそう言ってこの場を離れようとした。
「ま、待ってください!」
「?まだなんかあるのか?」
男はそう言って少女の方を見ると。
「・・・・・」
「な、何だよ?」
少女はジーッと男を見つめた。男は後退りをすると。
「あなた泥棒でしょ!?」
と、言ってきた。
「いきなりなんだ!?俺は泥棒じゃない」
「じゃー強盗?」
「間違ってはないが強盗でもない!」
「昨日、ISの操縦者とここで戦ってたでしょ?普通生身の人間があんな風に戦うなんてあり得ないよ」
少女はそう言ってクスクスと笑うが男は興味ないようだった。男はその場から離れようとした時だった。
「あ、待ってください先生!」
「ハァ?先生?」
突然のことに男は少女の方を見た。
「お願いします先生!私を弟子にしてください!」
「・・・・・・何言ってんだお前?」
「私、泥棒になりたいんです!」
「・・・・・・」
少女がそう言うと男は頭を押さえながら。
「俺は泥棒じゃない」
と言った。
「それにもし俺が泥棒だとしても今の俺はまだ弟子を取れるほどの人間じゃない。他を当たりな」
男はそう言ってその場を離れるように歩き始めた。
「・・・・・・」
「・・・・・・」
だが、少女はついて来た。
「めんどくさ」
男はそう言うと。
「あっ!」
突然男は走り出し橋から飛び降りた。少女は飛び降りた男を見ると男はワイヤーのような物でターザンのようにぶら下がり橋の下に消えて行った。
IS学園は現在夏休み。そんな中、生徒会長である楯無は鬼の形相で何かの資料を読んでいた。
「あ、あのーお嬢様?」
「たっちゃんが怖いよー」
目の前の光景に3年生であり更織家の従者である布仏 虚とその妹である布仏 本音は引いていた。本来なら生徒会長の仕事をしてほしいのだがこんな楯無を2人は見たことがなかったため仕事をしてほしいなんて言えなかった。
「いったい何なのよ人魚の鱗って?あのフードの男は何者なの?ISのガトリングを簡単に弾いていたしあんな芸当ができるのは全盛期の織斑先生ぐらいよ?それにあれだけ価値のある美術品があったのに奪ったのは人魚の鱗だけ。あんなの人を殺してまで奪う価値があるのかしら?・・・・」
楯無はブツブツと呟きながら次の資料を読み始めた。すると。
「人魚の鱗ですか?」
と、虚がきいた。
「?知ってるの虚ちゃん」
「名前だけならどこかの資料で見たことがあります。確か・・・・・・八百比丘尼(やおびくに)伝説の歴史書だったかと」
虚がそう言うと楯無はすぐにその歴史書を探し始めた。
「おじょーさますっごくやる気になってるー」
本音は呑気に机の上でダラダラしながらそう呟いた。
一方、アジトにしているホテルで酒をラッパ飲みしているフードの男は古文書が写っている写真を見ていた。
「・・・・・藤堂って言うあの婆さんからなんとか盗み出したのはいいけど必要な人魚の鱗とやらはたぶん出品者である氷室とか言う女が本物を持っている可能性が高い。それよりも藤堂の婆さんが殺された方が気になるな。確か、藤堂組の女組長で現在日本マフィアのトップだから敵も多いのは分かってたけど・・・・・それだけなのか?」
フードの男はそう言うが。
「・・・・・・とりあえず人魚の鱗の方は後回しだ。今は、簡単な『龍隣石』を狙うか。人魚の鱗と龍隣石。この2つがないと八百比丘尼の財宝は手に入らないらしいし」
男はそう言って龍隣石のある宝石店を地図にバツ印を付けていた。そしてフードを被るとそのままホテルの部屋から出て行った。
楯無は八百比丘尼伝説の歴史書を読んでいた。
「確かに人魚の鱗の事が書かれているわ。でもこの龍隣石って何?人魚を喰らいし者って何?財宝?こんなの御伽話じゃないの?でも人魚の鱗は確かに出品されていたし・・・・」
「あの・・・・・お嬢様?」
「どうしたの、虚ちゃん?今、忙しいの。生徒会の仕事なら待ってくれないかしら?」
「いえ、あのーそのーネットで気になるニュースがやっているのですが」
「気になるニュース?」
「たぶんテレビでも放送されていると思うのですが」
楯無はそう言ってテレビをつけると。
「現場はどうなっていますか!?」
例のニュースが始まっていた。
「はいこちら銀座のゲンジ宝石店です。本日、突如この宝石店に強盗が入ったようです。現場は車が宝石店に突っ込んでいて宝石店の周りには宝石が散らばっているのが見えます。現場にいた客や店長の話によりますと突然車が宝石店に突っ込んできて中からはフードを深く被り背中にドクロが描かれた男・・・・いや少年が出てきて旧世紀の海賊が使うような剣を抜いて襲ってきたようです。犯人は1つの宝石だけを奪って逃走しました。幸い怪我人や死亡者確認されなかったようです。警察も全力をあげて行方を追っています。盗まれた宝石は『龍隣石』と呼ばれる宝石で・・・・」
「龍隣石!?フードの男!?」
楯無は机を叩いて立ち上がった。
「人魚の鱗・・・・龍隣石・・・・・八百比丘尼伝説。繋がってる?」
楯無はそう言うと。
「ごめん虚ちゃん!後のことお願い!ちょっと氷室の会社に行ってくる!」
「えっ?ちょ、ちょっとお嬢様!?」
楯無は走って生徒会室を出て行った。
一方、警察に追われているフードの男は路地裏である薄汚い男と会っていた。
「これでどうだ?」
フードの男は10万の札束を見せると男はそれ受け取った。
「気をつけろよ。このご時世女の情報を盗むのは苦労するんだ。絶対にバレないようにしてくれよ」
「当たり前だ」
「氷室 弓(ひむろ ゆみ)。表向きは医療機器メーカー5代目女社長だ。女尊男卑の時代に紛れて大企業の女社長になった彼女は裏では国際的な武器商人。医療機器の名目で世界中に武器を売り捌いているし日本女性権利団体に多額の寄付金を払っている大の女尊男卑主義者だ。噂じゃ適当な男を攫って非道な人体実験を行っていて日本女性権利団体は警察に圧力をかけて彼女の犯行を見て見ぬ振りをさせているらしい」
「恐ろしい女だな」
「女性権利団体が関与しているところにはあまり近づかない方がいいぞ?」
「・・・・考えておくよ」
フードの男はそう言ってその場を離れようとした時だった。
「!」
男はピストルを抜くと勢いよく気配のある場所に体を晒し銃口を向けた。
「ひっ!」
「!?お前は」
そこにいたのは弟子入りを志願したポップコーン売りの少女だった。
『人魚の鱗』 氷室が持つ八尾比丘尼伝説の鍵を握る宝石。
『龍隣石』 フードの男が盗み出した八尾比丘尼伝説の鍵を握る宝石。
『八尾比丘尼伝説』かつて人魚の肉を喰らい不老不死になったという伝説が残る八百比丘尼の財宝の伝説。
『藤堂』 日本マフィアのトップに立つ藤堂組の女組長。何故か人魚の鱗を狙っており金で手に入れようとしたがフードの男に盗まれ氷室の手によって殺されたお婆さん。