F   作:オンドゥル大使

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あとがき

「恐らく、怒られるだろう」そう感じてこの物語を書きました。

 

 ワード換算だと30ページ前後の中篇、これは前作『黒竜落涙譚』で約束した内容であります。どうしてこの作品を書いたのか。それを紐解きながら、この作品をここまで読んでくださった方には最大の感謝を捧げると共に、私に釈明の余地を与えてくださったことと理解します。では、どうしてこの作品、『F』は生まれたのか……。

 

 短編集『黒竜落涙譚』において書いたある短編があります。「炎魔襲来」という作品にこの作品の原型が見られます。「炎魔襲来」の詳細はここでは省きますが基本的な作品世界の基礎、つまりファーストにあたるものです。

 

 バクフーンを操る暗殺者の少女、シャクエンの物語。世の理とは別の摂理で生きる、影の存在。シャクエンはそうやって生まれ、影の少女として私の中ではかなり気に入るものとなりました。このキャラクターを膨らませれば面白いのではないだろうか、彼女は今現在ではどのように生きるのか。「炎魔襲来」で初代(恐らく)シャクエンの活躍は描かれました。ならば、彼女が今に生きるのなら? 暗殺者という後ろ暗い職業はどのように成立するのか。それでいて、彼女にはただ淡々と殺しをするだけじゃない、何か人間的に欠けた部分が欲しい、それを補完する存在が欲しい――。

 

 そう考えて生まれたのがこの作品、『F』です。実はこの作品、のっけから評価は当てにしていません。第一話から万人受けは全く考えておらず、むしろ嫌われる作品のほうがいい、というスタンスで臨みました。嫌われるつもりで書く、というのもまた難しいです。が、ただ嫌われるだけじゃなく、何かを残せないか。そこで考えたのが、「怒られる作品」です。

 

 えーっ、ポケモンを愛し、二次創作を愛する方々からはお叱りがあってもいいと思いながら、この殺伐とした話を書きました。いわば確信犯です。「なぜ怒られるの?」というあとがきだけ読んで首をかしげる純粋無垢な読者様方に関しましては、このポケモン二次創作において私が学んだことを言っておきましょう。

 

 夢のある作品、あるいは原典キャラクターが大活躍する作品、明るい作品が受けます。これは二次創作の鉄則のようなもので、特にポケモンともなると、ポケモンだけの世界を構築する方もいらっしゃるので夢のような世界、というのが余計に際立ちます。『F』を最後まで読んでくださった方、あるいは私の他の作品からここにやってきた方、たまたまここに行き着いた方、「この人は何を書くのだろう」とこの段階でも思っていらっしゃる方、様々であると思いますが、私は夢のない作品を書きます。そのくせ、「未来」という言葉が作品中で頻出するのですから矛盾に満ち溢れた存在です。

 

 ただ、私はポケモンという作品が好きです。好きだから書いているのです。夢のない作風で、なおかつ嫌われる作品だからって嫌いにはなりません。

 

 だから真正面から、ほとんど猪突猛進といえる勢いで描きます。

 

 今回、『F』において私は今までの作品にしてこなかった試みを行いました。人語を喋り人間に恋するポケモンです。どうして今まで書いてこなかったのかと言うと、私は人間に興味があったからです。人間とポケモンのあり方に興味があって、ポケモンがどう考えているのかはあえて人間からは全く分からない、思考体系の違う別存在として描いてきました。平行線の彼らを交わらせるのは初の試みでしたが、どうして今までしてこなかったのか。

 

 簡潔に言いますと、私はよくテレビである動物番組が嫌いです。動物の気持ちを勝手に代弁するテロップには怖気を通り越して怒りを覚えます。

 

「彼らの何が分かるのだ。我々よりも高度な思考体系を有しているかもしれない彼らを人間の認識に落とし込むことの、なんと傲慢なことか」

 

 これが私の主張です。もちろん穴はありますし、反論も結構です。

 

 怒られるかもしれない原因はここにもあります。

 

『F』に込めたテーマは特にありません。「テーマのない作品などない」と言われそうですが、この作品にはただ悲哀しかないんです。だから救済も描けと言われそうですが、シャクエンは最後の瞬間、救われたのかもしれませんし、シャクエンは見方によれば悪女なのかもしれませんし、カムイはちゃんとシャクエンの待つ家に辿り着けたのか、などというのは無粋ではないでしょうか。

 

 喋らない結末、と言うのがこの世にはあります。語らずとも分かる結末、語ることが逆に作品の質を貶める結果になる作品。

 

『F』の最後の解釈は人それぞれです。ずるいかもしれませんが、そう言うのが一番だと感じたのです。 

これはシャクエンという暗殺者の少女とカムイという同じ境遇の少年の刹那の物語。

 

 彼らは陰に生き、陰に死ぬ。それだけは最初から決めた構想でした。だから無駄をほとんど省き、描写を削り、ただ暗殺と言う後ろ暗い世界に生きる彼らの生き方を垣間見る。もちろん、綺麗な世界に彼らが生きているはずがない。この世の闇、地獄と呼べるような場所に生きているに違いない。最悪な境遇、最悪な世界、残酷な運命――。

 

 欲を言えばこの作品はシャクエンが死んだほうがマシだと思う境遇から生きることに回帰するような作品にしたかったのですが、そこまでするのには実力が伴いませんでした。

 

『F』は続くかどうかは分かりません。これで終わりかもしれませんし、また違う炎魔の作品が生まれるかもしれません。別の作品として炎魔がひょっこり現れるかもしれませんが、この作品はここまでです。

 

 最後に。どうしてサブタイトル含め、「F」にこだわったのか。簡単なことです。Fire(炎)で始まり、Future(未来)で終わる。それが浮かんだからです。また「F」とは「Fランク」など、「最悪なもの」をあらわすことにも使われます。これは穢れた、「最悪な」物語です。

 

 

 それではこれにて。お粗末さまでした。

 

 

 

 

 2013年6月7日 オンドゥル大使より。

 

――

 

以降、ピクシブ版あとがきです。

 

どうも、色々と試行錯誤の毎日を送っています、オンドゥル大使です。

 

今回の『F』は連載作『MEMORIA』の評判があまりよくないため、「元ネタを上げれば少しばかり理解してもらえるかもしれない」という考えで上げたものです。

 

炎魔シャクエンの物語。『MEMORIA』では第二章に登場する彼女ですが、この物語が土台になっています。

 

この作品の手応えから「ポケモン×ダークヒーロー」に着手したといっても過言ではないのですが、Fは最初、本当に怒られる作品のつもりで書いていました。

 

「こんなの書いたら駄目なのではないか。いや駄目はなくとも、ろくに見向きもされないのではないか」

 

その危惧をもって書いたこの作品は意外なところで評価を受けて第六部執筆にかかわったわけです。

 

炎魔シャクエンの物語をもう一度書きたい。彼女の戦いを、生きざまを追いたいと考えての第六部でしたが、メインは波導使いになったので、この中編とは少しばかり違いますね。

 

とにもかくにも、この作品が自分にとってターニングポイントになったのは間違いありません。

 

思い出深い作品をこうして、もう一度違う場所で展開できたことに祝福して。

 

2016年5月9日 オンドゥル大使

 

 

――――

 

ハーメルン版 あとがき

 

どうも、連載したりしなかったりと不定期な状態が続いております、オンドゥル大使です。

 

表題作『F』は上に書いた通り、十年ほど前に書き上げた短編作です。

 

かなり人を選ぶ作風でありながら、これを書き上げたからこそ、今の自分があるのではないかと思っています。

 

ポケモン二次創作なのに夢も希望もないし、何ならこんなの書いたら怒られるはないにせよ、嫌われるのではないか、と言う作品が自分の転機だったというのはなかなかに皮肉で、それでいてこの作品は今でも自分の中では好きな作品なので世の中分からないものです。

 

『F』は述べた通り、HEXA第六部『MEMORIA』の試作型です。

 

これの前に実はポケモン二次創作短編集『黒龍落涙譚』という、ちょっと民俗学っぽい話がありまして、そこで炎魔シャクエンは初登場なのですが、そっちをここで投稿するのかはちょっと分かりません。

 

まぁ何故かというとあまりに拙いので、乗り気じゃないなぁ、というのがあるだけなのですが。

 

それにしたってまぁ、久しぶりに自分の昔の作品を見ると読みにくいなぁ、とか、エンタメ性がないなぁ、とか思うのですが、まぁこうして一つずつ積み上げた事で、今があるのだと思えばこういった作品もいとおしく思えるものです。

 

『F』には続編がありまして、それもハーメルンで投稿するかもしれません。

 

そっちも『MEMORIA』の土台となるお話なのですが、反応次第ですかね。

 

現状は『機動戦士ガンダムダレト』につきっきりなのですが、ポケモン二次創作がそもそも二次創作に入ったきっかけですので、現在休止中(というか色々あって停滞中)のHEXA第十部『AXYZ』も近いうちに続行できればと思っているのですが、そう思っている間にポケモン公式がレジェンドアルセウスやらスカーレット・ヴァイオレットやら始まったので、どの方向性で合わせるのかを検討している最中です。

 

もし、『AXYZ』が楽しみにしておられる方は以前までよりもちょっとばかし進歩した作風になるかと思いますので、まぁダレト終結次第ですが、気長にお待ちください。

 

一応、書いてはいますのでまとまったら、と言う感じで。

 

ではでは、ひとまずこれにて失礼します。

 

2022年 5月30日 オンドゥル大使より

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