春夏秋冬廻の事件簿(仮)   作:てんぷら25

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次があったらもっと上手くやろう

 

 

「私たちは君をスカウトするつもりだ」

 

椿の話した内容がよくわからず聞き返した。

 

「スカウト?スリのことを聞きにきたのではなく?」

 

その疑問に対して椿が説明を始めた。

少し長かったので要約すると「科学的に証明できない事件を捜査するための人手が足りない。能力者は数が少ないから牢屋に入れておくより捜査を手伝わせたい」と言うことだ。

 

数が少ないと言うのは理解できる。

実際今日まで見たことがなかったし。

しかし「科学的に証明できない事件」って何をさせられるのかいまいち不透明だ。

 

でも、この状況でのスカウトって断ることできないよね。

どうなるか分からないし。

 

私が考え込んでいると椿が選択肢を提示してきた。

 

「君には二つの選択肢がある」

「一つは我々に協力すること。これはおすすめだ。今まで君が犯してきた罪をチャラにしよう。まずは窃盗、これは被害届の分を合計して10万円だが余罪も多そうだ」

「あとは現金輸送車内部のトランクから100万円がなくなった事件もあった、これも君だろ。この事件の少し後に君が散財してるのを確認している。ああ、後アレもあったな。君が以前勤めていた会社の人間が駅や道路などの人の多い場所で急に全裸になった事件、これも君じゃないのか?まぁ、問題の多い会社だったらしいからこれがきっかけで会社が潰れていたな」

「これらの罪を全て無かったことにしよう。元々証明のしようがない事件だ。我々に協力するのであれば悪いようにはしない」

 

「そしてもう一つは死んで罪を償うこと。残念ながら能力者を封じる方法は現状確認されていない。証拠をでっち上げて牢屋に入れることも出来るが、君の能力を鑑みるに牢屋に入れておくのも危険性が高そうだ。そもそも君という証拠を残しておくのも不都合が多い。もう殺すしかないね。監視するのもタダじゃない。殺してしまうのが一番楽だ」

 

「さぁ、どっちがいいかな?」

 

 

 

 

 

現金輸送車のヤツも前の会社の奴ら辱めたのもバレてるじゃん。

あ〜〜、馬鹿なことした。

もっと上手くやれただろ私!

ガチャの限定SSRが出なくて焦ってたからって現金輸送車はやりすぎだって!

勢いで100万円奪ったけどあんなにいらなかったね、絶対。

確か余ったお金で寿司食べにいったわ!

あとは服剥ぎ取ったやつ。

後悔はしてないけど流石に目立ち過ぎたねあれは。

もっと人目考えてやるべきだったね。

 

よし反省終わり。過ぎたことは仕方ない。切り替えよう。

次があったらもっと上手くやろう。

 

頭の中で手短に反省会をしたところで返事を考えよう。

まぁ、考えてところで実質選択肢は一つしかないわけだけど。

 

ため息をはいて答えた。

 

「まぁ捜査の協力についてはわかりました」

「でも、ちょっと人と違う事ができるだけですよ?」

 

多少の謙遜を入れながら様子を見ることにする。

すると椿が自信ありげに答えた。

 

「そんなことはないよ。私が見たところかなり適性がある。心配する必要はないとも」

 

……椿が何を考えているのかまるで分からない。

どこを見て判断したんだ?

確かに私は顔も良ければ頭の回転も早いし運動もできるまさに完璧と言っても過言ではない超人ではあるけども。

 

椿と話していると両國が口を開いた。

 

「椿さん、彼女に務まるとは思えません」

「能力があっても訓練を受けたことのない素人です。足手纏いにしかならないかと。何より彼女にはこの仕事に最も重要な正義感がありません」

「考え直しましょう」

 

正義感って(笑)

そんな不確かなもの考えたところでどうしようもないだろうに……

こいつ頭おかしいんじゃないの?

そもそも私の生きる道筋が協力者になることしかないのだから口を挟まないでほしい。

いや、どうにかすればここから逃げ出すことも出来るだろうけど、おそらく今後一生まともな社会生活を送れなくなることを考えるとそれはないかな。

 

「いや、彼女を協力者にするのは決定事項だ。異論は認めない」

「初めての仕事にふさわしそうなのがいくつかある。ラヴと春夏秋冬君が二人でやってみるといい」

 

「それは、いえ……了解しました」

 

不服そうだが上司の命令には従うらしい。

ふぅ、椿が方向転換をしなくて助かった。

ここで椿が「やっぱさっきの話無しで。殺すわ」とか言い出したらなりふり構っていられなかった。

 

両國と話していた椿がこちらを向き直した。

 

「こちらの話も纏まった。それじゃあ、仕事と能力の話をするためにもひとまず外に出よう。我々の拠点に移動する」

 

「警察ならここが拠点じゃないんですか?」

 

「私たちは少し立場が特殊でね。詳しくは後だ。さぁ行こう」

 

拘束を解かれて部屋から出ることになった。

おっと、その前に渡しておかないといけない物があった。

返しておきます、と言って椿に先ほど奪った銃弾を渡した。

 

「あぁ、盗まれたままだったな。その能力もあとで詳しく聞こう」

 

そのまま椿が先導し両國の視線を背中に受けながら移動することになった。

 

 

 

 

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