少し時間がかかったがその日の内に引っ越しを終えることができた。
椿は用事があるとかで既に去っていたので両國と二人で荷解きする事になった。
ずっと無言なのも気まずいだろうから荷解きの片手間に話を振ってあげることにした。
「で、両國さんは相撲好きなんですか?」
「二度と名前のことをいじるな」
よし、楽しく話せなかったな。
少し怒らせてしまったようだ。
「めんご」
「チッ」
素直に謝ってあげたのにどうやらお気に召さなかったようだ。
でも舌打ちは下品だと思うんだけどそこのところどうなのよ。
「不本意かもしれませんけどコンビ組む以上仲良くしときましょうよ」
「こう言うのってお互いの歩み寄りが大切だと思いますよ」
そうすると両國はため息を吐きながら答えた。
「命令があった以上それには従うが、納得しているわけじゃない」
「今回は特例で不問にされたとは言え、春夏秋冬は罪を犯している。信用できない」
「信用できないって本人に言いますか」
まぁ構わないけど。
私も相手をどこまで信用するべきか図りかねているところがあるし。
ただ、両國に後ろから撃たれるようなことはなさそうだ。
お前呼びだったのにちゃんと名前呼びになっているあたり、かなり律儀な性格らしい。
上司に従順なところや身長も相まって大型犬みたいだ。
でもこのままだと仕事に支障をきたさないとも言えない。
だからこの心を開いていない大型犬にもう少し歩み寄ってあげよう。
「なら恋バナでもして仲を深めます?」
「……春夏秋冬と話すようなことは特にないが」
「そうですか?好みの女性のタイプでも話したらいいじゃないですか」
「両國さんって女性が好きですよね」
予想外の一言だったのか目を見開いてこちらを見ている。
「な、な、なにを言っているんだ」
吃りすぎでしょ。
「いや見てたらわかりますって」
「移動中も女性に目をやることが多かったですし」
「あ、食事の時にいたゆるふわ系の娘とか可愛かったですね。めちゃくちゃ目で追っててちょっと引きました(笑)」
からかいまじりに言ってやると強く否定してきた。
「追ってないが!?」
「そもそも女性を見ていたというのが勘違いだ!」
「あれは……そうだ、街中に指名手配犯がいないか確認していただけだ!」
無理があるでしょ。
「嘘つくにしても、もう少しまともな嘘つきましょうよ」
呆れながら言うと言い訳を繰り広げてきた。
「嘘じゃない!」
「それに、目で追っているだけで女性が好きというのは飛躍しすぎだ!」
あくまでしらを切るつもりらしいので決定的な証拠を示してあげよう。
「財布の中にレズ風俗の紹介状入ってますよ」
「……なんのことだかさっぱりだが、それはチラシを鞄にしまったときにでもたまたま財布に紛れ込んでそのままになっていただけだろう」
「いや、そもそもなんで財布の中にあることがわかる!盗んだのか!?」
「能力の範囲内ならどこに何があって何が書いてるかも大体わかるんですって」
めちゃくちゃ否定してくるな、こいつ。
そんなに恥ずかしがるようなことかな。
まあ、そこまでいうなら証明してやろうかな。
「両國さん、あなたはかなり几帳面な人だ」
「スーツはシワがないしシャツもアイロンをキッチリかけていて靴もよく磨かれている」
「髪の手入れも怠っていないし、肌の質感からスキンケアもしっかり行なっている」
「筋肉の密度からしてトレーニングも日常的に、それも決まったルーチンで行なっている」
「鞄の中の資料も付箋を貼ってまとめている」
「財布の中の紙幣は向きが揃えられているしカードも種類ごとに入れる場所が決まっている」
「そして持っているレシートは今日の日付の入ったものが二枚だけ」
「時間からすると朝にコンビニでミネラルウォーターを買った時のものと、さっき食事をした時のもの」
「水筒を持ち歩かないところを見ると毎日コンビニかどこかで飲み物を購入するでしょうに、前日までのレシートが入っていない」
「つまりほぼ毎日財布の確認をしている」
「性格的に家計簿でもつけているんですかね」
「つまり財布の中に偶然入ったものをそのままにしているというのはあなたの性格上考えられない」
「ついでに言うと紹介状の歪みと皮脂のつき方から電話番号に触れないようにしながら何度も確認しているのがわかります」
「一度電話をすれば携帯に履歴が残るので何度も見る必要はないでしょうね」
「と言うことは、興味があって何度も確認しているけど実際に利用したことはないってことですね」
「……!」
どうやら私の名推理に言葉が出ないらしい。
「初歩的なことだよ、ワトソン君」
「いや、免許証確認したけどタメだったんだ。ならタメ口でいいでしょ」
そうして黙ったままの
「これからよろしく、むっつりなラヴちゃん」