春夏秋冬廻の事件簿(仮)   作:てんぷら25

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だって私たちはパートナーなんだから

 

 

仕事の現場に向かう車の中、私は流れる景色を眺めながら思考を巡らせていた。

『ライブのチケットをどうやって手に入れよう』と。

抽選の結果、残念ながら落選していたのが先日のこと。

一瞬だけライブの当日にチケットを盗んでやろうかと思ったが流石に良心が咎めた。

好きなアーティストのライブで揉め事を起こしたくなかったのだ。

私こそファンの鏡と言っても過言ではないだろう。

 

でもどうしてもチケットを手に入れたい。

これ警察のコネとか使って手に入れられないかな。

捜査に必要とか言えばどうにか融通してもらえる可能性も……

その場合、交渉するとしたら椿さんだろう。

あの人は何考えているかまるでわからないし、初対面で拳銃ぶっ放してくるようなイカれた人ではあるけども仕事はできそうだ。

逆にこういう時にラヴちゃんが役に立つイメージがまるで湧かない。

真面目なのはわかるけど交渉とか苦手そうだ。

とりあえず後で椿さんに聞いておこう。

 

「そろそろ現場に着くぞ」

 

「はーい」

 

ラヴちゃんが声をかけてきたので返事をして運転席の方に目をやった。

 

「捜査資料に目は通したな?」

 

「一通りは」

 

出発前に受け取った資料はその場で目を通していた。

まぁ正確には目を通した訳ではなく、能力で紙面の文字を認識しただけだが大した違いはない。

重要なのは内容を理解しているということなのだ。

 

「でも、ひき逃げと怪事件って結びつかないよね」

 

 

 

 

そう、今回任せられた事件はひき逃げ事件の捜査だった。

 

資料によると発端は二ヶ月前、とある県境の峠でひき逃げ事件が起こった。

被害者はサイクリングに来ていた一人の男性。

被害者は即死で目撃者もいないが、遺体の状態からバイクでのひき逃げということだった。

 

しかし数日経っても犯人が捕まることはなかった。

それどころか同じ場所で二人目の犠牲者が発生した。

警察は捜査を進めるも犯人は見つからず、さらに三人目の犠牲者も発生。

全てバイクでのひき逃げということだった。

 

その段階で峠とそこに通じる道を全面通行止めにし捜査を進めていたが、次の犠牲者が発生してしまった。

犠牲者は捜査中だった警察官の六人。

監視カメラは設置していたが原因不明の故障により撮影は失敗。

 

その結果、一般警察の捜査は中止が決定し、怪事件捜査係へと引き継ぎが決定したというわけだ。

 

 

 

 

「どっかのお偉いさんかそのボンボンがひき逃げして警察が隠蔽したってことにしとかない?」

 

今日真夏日だし。

 

「できる訳ないだろ、馬鹿か」

 

こんな炎天下の中で捜査する方が馬鹿だと思うけど。

せめて別日にしようよ。

 

「やる気が出ないんだよね〜」

 

「だせ、これ以上被害が出るのを放ってはおけない」

 

「へー、かっこい〜」

「女の子にそういうところ見せたらイチコロじゃないの?」

 

「……軽口に付き合うつもりはない」

 

こめかみがぴくついている。

どうやら気に障ったらしい。

 

 

先日、私はラヴちゃんの秘密を暴いた。

まぁ正直隠せてなかったんじゃないかと疑っているけど。

かなりわかりやすかったし、椿さんあたりは気づいていてもおかしくなさそうだった。

でもラヴちゃんは隠せているつもりになっていたらしい。

コンビを組むにあたって上下関係は必要だと思っていたけどちょうどいいタイミングでマウントを取ることができた。

 

 

「あーそういうこと言うんだ」

「別にいいけど私の口が滑らないといいね」

 

「その時はお前を殺して私も死ぬ」

 

そこまでするんだ。

目が据わってますよあなた。

 

「まぁ冗談だって」

「ラヴちゃんがあんまり可愛いから揶揄ってるだけだよ」

 

「どこが。揶揄うな」

 

「そう?風俗に行くか悩んでるのって十分可愛いけど」

 

「だからそれを言うな!」

「ただの気の迷いだ!」

 

「何回迷ってるんですかね(笑)」

「危険な仕事だし悔いのないようにしといたほうがいいんじゃないの?」

 

「……そうだとしても、愛のない性交渉というのは倫理的に」

 

愛って……

前も正義とか言ってたし絶滅危惧種かな?

それにしても面白い。

倫理観を重要視しながらもそれとは真逆にある欲望も捨てきれないでいる。

少し背中を押してみたらどっちに転ぶのだろう。

 

「じゃあ、彼女を作るしかないわけだ」

 

「……」

 

「なら一仕事終わったらラヴちゃんの恋人探し手伝ってあげようか?」

 

面白そうだし。

 

「何が目的だ」

 

「目的なんてそんな。疑うような目で見ないでよ」

「一人で悩んでるラヴちゃんに気づいちゃった以上放っておけないってだけ」

「だって私たちはパートナーなんだから(暇つぶしになりそうなエンタメを提供してもらわないとね)」

 

爽やかな笑顔で言ってやった。

 

「怪しすぎる」

 

「信じてよ。トラストミー」

 

「そもそも当てにならない」

 

「そう言わずに。経験豊富(嘘)な春夏秋冬さんが協力してあげるから安心していいよ」

 

楽しみもできたことだしささっと終わらせて帰りたいな。

 

 

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