春夏秋冬廻の事件簿(仮)   作:てんぷら25

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任せておこう

 

 

突如として現れたゴーストライダーから距離を取るために、ゆっくりとラヴちゃんの後ろに下がった。

触れられないとなると私にできることはあまりない。

バイクは実体があるから簡単に壊せそうだけど、下手に刺激すると何が起こるかわからないし面倒だからここはラヴちゃんに任せておこう。

 

「バイクから降りて地面に伏せなさい」

「それ以上近づいたら敵対の意志があると判断します」

 

そういうとシャツの袖を捲って腕を炎に変え、戦闘準備を整えた。

背後にいる私の方まで熱気を感じるからさらに距離を取る。

それに対してゴーストライダーは特に気にする素振りを見せずにエンジンふかし始めた。

会話が通じるタイプなら九人も殺していないだろうからこのまま激突しそうだ。

 

「……ダメか」

 

加速して迫ってくるゴーストライダーに腕を突き出し接触。

直後、炎が膨れ上がるとゴーストライダーの姿は跡形もなく消え去っていた。

 

 

 

え?

もう終わった?

私の知覚範囲内には何も残っていないことから一瞬で燃やし尽くしたのだろう。

それにしても詐欺にあったかのようだ。

生存能力が高いって話だったはずなのに、戦闘能力も飛び抜けている。

それこそ下手したら一人で軍隊くらい殲滅できそうだ。

……おもちゃにするときはラインを超えないように気をつけよう。

 

「でもやりすぎじゃない?」

「バイクの破片くらい残しておいたら色々調べられたかもしれないのに」

 

一応、車体のナンバーは覚えているけど実物が残っていた方がいいだろう。

 

「違う。バイクを一瞬で消し去るほど火力を上げていない」

「あいつ燃やした瞬間消えたぞ!」

「注意しろ!」

 

近くにいないことはわかっているので辺りを見回す。

すると十数メートルほど離れた位置にゴーストライダーが出現していた。

しかもどう見ても私の方を狙って加速してきている。

ちょろちょろ狙いを変えるなよこいつ!

 

「春夏秋冬!」

 

それに気づいたラヴちゃんが私を呼ぶけど遅すぎる。

ラヴちゃんの側に逃げるよりも接触するのが早そうなので腹を決めて迎え撃つことにする。

ぶつかったら死にそうだから相手のコントロールを奪った上で回避するのが良さそうだ。

 

 

バイクが迫ってくる。

 

十メートル

七メートル

五メートル

 

……いま!

そのタイミングでバイクからハンドルとペダルを奪い横っ飛びに回避した。

 

バイクの制御を失ったゴーストライダーはつんのめりながらガードレールにぶつかりそのまま峠の下に消えていった。

 

まぁ、速いけど動きは単調だったしこんなものかな。

 

「案外動けるな」

 

運動神経抜群だってさっき話したばっかりだったでしょうが。

鶏かな?

 

「バイクの部品も奪ったし、下に落ちてったから何もできないでしょ」

 

「部品を置いたらもう一度自動販売機を確認して一度撤収しよう。部品を調べてもらう」

 

車に部品を置きに行こうとすると異変が起こった。

手に持っていた部品が透けてきたのだ。

どんどんと感触も薄くなり溶けて消えていった。

 

「ちょっとこれ」

 

「ああ、まだ続きそうだ」

 

見回すと離れた位置に何も変わらない様子のバイクにまたがったゴーストライダーがいる。

何回続くのよこれ。

もう元凶っぽいのをどうにかした方が早そうだ。

 

「自動販売機どうにかするからよろしく!」

 

「どうするつもりだ!」

 

ラヴちゃんの声には応えず、自動販売機からいくつかの基盤と電源コードを奪い取った。

一応電子機器なら回路と電源とったら止まるでしょ。

 

狙い通り自動販売機は動きを止めた。

しかしもう一方に変化はなかったようだ。

 

「くそ!キリがない!」

「車に戻るぞ!」

 

燃えていたゴーストライダーがすぐにまた現れるのを確認できた。

ラヴちゃんと一緒に車に近づくがそこであることに気付いてしまった。

 

「ちょっと待った車壊れてるって!」

 

「何!?」

 

車の回路がショートしているのがわかった。

支給されたスマホもゴーストライダーが登場したタイミングで壊れていたが、離れた車まで壊れているとは思ってもいなかった。

 

「これどうしたらいいのよ」

 

「わからないがいつまでも付き合ってられないな」

 

「それは同感」

 

無限湧きだとしたら流石にジリ貧になってしまう。

向こうはどうだかわからないがこっちは疲労していく。

それに今は雲がかかっているといっても今日は真夏日だ。

いつまでもここにいられない。

 

「駐車場……いや峠から一度退こう」

「経験上、特定の場所と条件にこだわる相手がどこまでも追ってくるとは考えづらい」

 

「退くってどこまで」

 

「確かここにくる途中に小さな商店があったはずだ」

「そこまで行けば距離もあるしおそらく安全だろう」

「そこで電話を貸してもらい撤収、立て直そう」

 

「それってここからどのくらいあった?」

 

途中の寂れた商店でしょ?

私の記憶だと五キロくらいあったと思うんだけど。

 

「五キロほどのはずだ」

 

「……炎天下にバイクで追われながら走る距離じゃないでしょ」

 

「ならバイクは私がどうにかする」

「春夏秋冬は走る方に集中しろ」

 

ここで言い合っていても仕方ない。

もういくしかなさそうだ。

 

……五キロか。

最近運動してなかったことを差し引いて、全力で走れば十五分くらいになるかな。

この暑さの中で走るには結構きついけど仕方なさそうだ。

 

行きがけに停止した自走販売機からスポーツドリンクを奪って走り出した。

 

 

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