末姫   作:イブリナ

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今回は説明多め
またまた短い
独自解釈の捏造だらけだから矛盾が生じる前に出したかった部分。ただし今後も出てくるとは限らない。
だいぶ急いで書いたからわかりにくいかも……
だいたいこんな感じの生活してたって感じてもらえばOK

本編のあらすじに辿り着けない……


大鬼族の遊び方

大鬼族とは戦闘種族である。

古くから強きを崇め強者との闘いを求め、日々その技を磨く。実績のある傭兵集団であり、人族の作ったランクにてBの評価をもらう魔物である。

知能は高く、武具の製造技術を持つ。長命種故の繁殖力の乏しさから一世代の個体数は少なく、しかし歳の近いもの同士の結束力を生む。彼らは共に遊び、学び、強くなる。その団結力は集団戦にても発揮され、 団長の統率の下にて牙を向く。

「方がく4時、きょり100。」

「ニは そのばでたいき。ホはそのままおってください。ハはいちどさがって、ロをなおしてください。」

「わかった。」

「ひぃ様、3が来てる。10時方向、距離250。」

「だいじょうぶです。おうせんします。」

念話で指示を飛ばしつつ、自身も戦場を観察する。

攻防に使っていい武器は五回まで、すでに三回を使用しているが、一人だけなら好都合。相手が3なのが気になるが、大将首である自分だけは盗られるわけにはいかない。末の姫は冷静に、しかし荒ぶる心で戦況を操る。

 

これは大鬼族の遊び、詰め勝負。

それぞれチームを作って将を置き、身に付けた手巾を取り合う。首や頭、胸や腕など、自分がやられてはならない、と思うところに手巾を巻き付け、それを盗られた者はその場で脱落。将かそれ以外の全て者の手巾が盗られれば敗北だ。

詰め、という言葉が表すように、それぞれ手数が決められており、攻防はその時の相手チームの参加人数のみ、打ち合ってから30秒経過するか、相手を変えた時にカウントされる。

ちなみに脱落者の復活方法として、盗られた手巾を奪い返す方法がある。その場合は復活者の手数は脱落時の半分にされるという仕様だ。

まぁ、とりあえず互いの手巾を奪い合うゲームだと思ってくれればいい。

身体能力はもちろん、どのように、誰と、どこで戦うか、などの知略も必要とされる人気の遊びだ。

 

 

「あーー!負けた!ひぃ様が大将だなんて、ハンデでも何でもないじゃん!」

「ひぃ様をなめるようなマネをするからよ。普段も散々してやられてるくせに。」

「うるせぇー。俺たち再来年で祝福の儀だぞ?戦士団に入るっていうのに、ひぃ様に負けるだなんて親父にどやされる!」

「ちぐさの親父さんやさしいよ?」

「ちぐさの親父さんおこらないよ?」

「お前たちにはな!この呑気双子!」

「そうやって生意気だから部隊長も怒るんでしょうが。」

「そうだー!橙の姉さんの言うとおりだー!」

「千草の兄ちゃんかっこ悪ーい!」

「お ま え ら !」

「「わぁ、怒った!双子ガード!!」」

「おこるのは良くないことだよ?」

「おこるのは悪いことだよ?」

「~~~ッ!」

「別に手数は最後まで行ったんだから惜しかったのに。」

 

「ふじの兄さんとききょうの姉さんは、本当の兄弟みたいだよね。」

「あの 2人 は… たましい の 双子 。」

「今日はてき部隊だったのに、たがいの行どう読んでたしね。」

「いっそ 家ぞく にでも なれば…い い…」

「寝ないでね?」

 

「またおなじこと してるね。」

「なかよきことはうつくしきかな です!」

「なかよしだよねー。」

「わたしたちも なかよしですよ。ね、みどりの?」

「………しぬ。」

「「……みどりのーー!!」」

 

……一部体力のない者が死にかけてたりするが、ちゃんと人気の遊びである。怪我することもしばしばあるが、そこは戦闘種族、細かいことよりも強さ優先である。

 

今日も今日とて競いあっていた彼らは、暫しの休憩と反省会に入っていた。

参加数は十一。里の中でもまだ祝福を受けていない子供たちの総数である。いや、乳飲み児は参加していないため正確には違うが、動き回れる年齢の子供たちは全員揃っている。

「みどりの は もっとたいりょくを つけるべき です。」

「いいよべつに…どうせおれは ビョウジャクっこですよ。」

「そんなこと いっちゃだめだよ。」

拗ねた様にぐちぐちと落ち込む緑髪の少年を、末の姫と黄髪の少女が二人がかりで鼓舞する。さっきはあんなところが良かっただとか、ここが厄介だったとか、騒がしいながらも暗い雰囲気を出しはじめたのは、子供たちの中でも年少組と呼ばれる三人組だ。人間風に言うならば七つを数えたところであり、大鬼族にしては珍しく全員同じ歳である。

祝福とは言ってしまえば成人の儀であり、この里では二十を数える頃に行う。それ故集まるのは十代が多い。

それを踏まえて年代グループを分けるならば、十代後半の四人が年長組。十前後の四人が年中組と言ったところだ。残念ながら幼稚園ではない。

緑髪のネガティブに釣られて他の二人もじめじめしてきた頃、上から三番目の藤色の髪の少年が筆頭となってからかう様に話しかける。

「そうだぞー、緑の。男は一回は戦士団に入るんだからな!」

「女の子も入るからね。」

「戦士団は みんなの あこがれ…」

「銀の はたいしてあこがれていないでしょう。」

次々と畳み掛けるように加わる兄貴分たちに、さらに涙目になっていく緑髪。彼は大鬼族にしては劣る身体能力ゆえに、少々卑屈な面がある。それを補うが如く他二人が利発なのであるが、今日は押し負けて一緒に地面に絵を描いていた。いや、面倒臭くなっただけかもしれない。

里の民は慣習的に一度は戦士団に所属するものであり、例外は巫女候補や各地を移動しやすい商人の子ばかり、西の織物工房の子である彼の抵抗などあってないようなものである。逞しい工房の女主人によって戦士団に放り込まれることがすでに決定している。

「うぅ~ひぃさま かわって~。」

「むりですね。それにわたしも せんしだんに はいります。」

「ひぃさま~。」

この場で唯一免除権を持つ末の姫はそれを突っぱねる。この御姫様、ヤる気まんまんである。これには里長もニッコリ。奥方は頭を抱えている。

「こればかりは ゆずれません。ととさまの あとを つがれる にいさまをささえ、ねえさまをおまもりするのが わたしのゆめです!」

「まぁ、ひぃ様ならそうなるよね。緑の 諦めなって、まだ10年くらいはあるし、入っても2年居れば終わりだよ?」

「それまでに おれが しぬ!ぜったいにいじめられる!」

「いじめられるわけがないです!あってもたすけます!」

「そうだよ!ともだちだもん!」

「ひぃさま、きの……。」

がっしりと肩を組み合った年少組。緑の は非常に流されやすいことも記しておこう。

ああだ、こうだと明るく未来のことを話し始めた三人を見て、藤の は楽しそうに笑う。いや、こいつは年がら年中楽しそうな奴ではある。歳としては年長組のくせして年中組の方がしっかりしていると言える。マイペース双子と基本眠そうな銀の は除くが。あれ?刈安の しか残ってない?……他の三人も大人しい方ではある。

「ちびっ子たちは仲良いね~。」

「ふじの 兄さんに 言われ たくは ない と思う。」

「僕と桔梗のはソウルフレンズ!当然だよね。」

「呼んだ?」

「おぉ、マイフレンズ!」

「「呼んでない(よ)。」」

ほら、銀の も突っ込み役である。刈安の の胃は救われた。

 

メンバーを入れ替えてもう一戦。

 

と彼らが洒落込む間にメンバーを紹介しておく。

前提として彼らは魔物であり、名前持ちはいない。

彼らは彼らで名などなくとも意志疎通が可能である。普遍的に名を持つ種族と彼らの違いは身体構成の違いから来る情報子の受け取り方などによるものだが、ここでは割愛しよう。

しかし、今までの会話を見ればわかるとおり、彼らは色で呼び分けている。それは魔物と云えども自己が未発達な子供たちは、自称や他称を持たずに意志疎通が出来ないことがあるためだ。駄目押ししてしまえば、他種族の依頼の下で戦うことのある大鬼族は、指揮の関係上で役職名などで自身を示すものがある珍しい種族でもある。よって、彼らに名は無いが、各々を示す呼び方があるのだ。

 

上から

千草

桔梗

刈安

栗の姉

栗の妹

ひぃ姫

 

以上の十一名である。

 

 

 

 

 

 

藤と桔梗のコンビ(魂の双子)に早々に脱落させられた末の姫は、その場を動かずに遊ぶ(戦う)仲間を見ている。あのコンビに対抗できる最年長組がさりげなく刈安と緑に分断された辺りで、決着が着いてしまったようだ。少し遠くに転がっている黄は、末の姫復活をちらつかされて罠に引っ掛かってしまった。栗の双子対決は千日手となっているし、銀は緑を脱落させた後に魂の双子に突撃されて、橙と一緒に苦戦している。あと少し粘れば千草が駆けつけてくるだろうが、それまで持つだろうか。将は橙と藤。将が獲られるのを待つ勝負となりそうだ。

誰だあの魂の双子を組ませたの。本物の双子の方はもはや実験になってないか?このままだと、また負けたと橙が荒れそうだ。緑はちょっとは復活するかもしれない。いや、脱落した時点でじめじめしてた。

 

何とかして挽回できないものかと、その場で転がったまま唸る。今の末の姫は死体役なので動けず、状況把握も儘ならない。遠くからでも、倒れても仲間を支援できる方法があれば良いのにと思うが、実践向けの訓練としての側面があるからにはあり得ないことだ。そこまで考えの及ばない末の姫は、遊び方にカイゼンノヨチ有りと不貞腐れてもいた。ゴロゴロと違反にならない程度に小さく左右に転がる。

「こら、動くな。脱落中だろう。」

「―!にいさま。」

「やっぱり夏の隊長の倅は良い動きをするな。入団が楽しみだ。」

音も無く末の姫の後ろに現れたのは次期棟梁、つまりは末の姫の兄である。

忙しい身ながら末の妹の様子を見に来た彼は、子供たちの勝負を見守っていたが、不機嫌そうに転がる妹を見て、彼女の前に姿を現したのである。つまりはご機嫌取り。

「にいさま、おしごとはよろしいのですか?」

ピタリと動くのを止めた末の姫は不機嫌を吹き飛ばして、そわそわとし始めた。

それもそのはず、兄の後ろには戦士団の若手の精鋭にして次期棟梁の側近が居るのだ。歳の近い幼馴染みでもあるが、公私共にいつも一緒にいるわけではない。側近たる存在が居るのならば仕事中ではないかと、末の姫は気が気でない。

そわそわとした態度の中にある期待に苦笑しながら、同じ色の髪を撫で付ける彼は、ちらりと後ろの側近に視線を送る。それにすぐに気が付いた側近は、声に出さずにため息をついた。

「今は休憩時間なので問題ありません。」

妹想いの兄たる次期棟梁はそういった面での信頼はない。仕事があったとしても妹のきらきらとした目に負けて時間を忘れ、部下に引き戻されることが多々あった。そしてそれを目撃し続けたのが彼女である。故に側近の方から告げることで末の妹はようやく安心するのである。

「なら、ごじょげんをください!」

ぴょんと跳ねて立ち上がった末の姫は予想通り銀が落ちて、追い詰められている橙に向かって声を張り上げる。

「もうおわっていいですよーー!!」

「ひぃ様、動くなって!」

「「もらったぁ!」」

「あ、」

「こんの、単純お馬鹿!」

 

 

ルール違反と勝負を投げ出すような発言についてコンコンと説教されるお姫様が居たそうな。




上手く出せなかったけど側近さんは皆さんご存知の蒼い方です。
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