艦隊これくしょん ~ハジマリノ物語~   作:ゆ~

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艦隊これくしょん ~ハジマリノ物語~ 第十一話

 昼間の太陽の日差しが差し込む鎮守府2階。

205号室、「伊勢様と日向の部屋」と描かれた立札が掛かっている部屋。

 

 畳の良い香りがする部屋で、

 

 何故かサングラスで、

 社長机で、

 足組しながら窓際で、

 伊勢がコーヒーを飲んでいた。

コーヒーを一飲み、ふうとため息をつく伊勢さん。

 

 伊勢「昼間の誰もいない自室でコーヒーブレイク…

    ふっ、最高ね」

 

 優雅にカップを持ち、もう一飲みしようとする。

 

 日向「仕事ほっぽり出して何をしているッ!!」

 

後ろからすっと現れた日向に後頭部を叩かれ、熱いコーヒーが顔面にかかった。

 

 伊勢「うぁちゃああああああああ!!!!」

 

 顔面を抑えて転げ回る伊勢。

日向は腕組をしながら、転げる伊勢を見下ろす。

 

 日向「…さっさと顔洗ってこい。

    今日の演習が始まってしまうぞ」

 

 伊勢「…仕事の鬼」 

 

 捨て台詞を吐いた後、顔を抑えながらしぶしぶと洗面所に行った。

洗面台で顔を洗い、タオルで拭きながら伊勢が出てきた。

 

 伊勢「そう言えば、あたし…まだ勇提督と話してないんだよね」

 

 日向「…ん、赤城や比叡たちも確かまだだったな」

 

 そのまま二人は部屋から出て、一階に降りていく。

二人が階段から廊下に差し掛かり、食堂へと足を運ぶ。

そこで厨房から雷と電の声が聞こえてきた。

 

 日向「そういえば電が昼食担当だったな…

    だが雷の声もするのは…?」

 

 伊勢「ちょっと覗いてみましょうよ」

 

 伊勢は日向が制止する前に、厨房に入ってしまう。

そして、二人に向かって元気に挨拶をした。

 

 伊勢「おっはよー!二人でどうしたの、献立の相談かー?」

 

 電「はわっ!?あ、伊勢さん、日向さん…

   おはようございます、なのです」

 

 電は驚いたが、丁寧に挨拶を返した。

 

 雷「何がおはようよ、もう昼じゃない。

   こんにちわでしょ」

 

 日向「ん。私もそう思う」

 

 対する雷と日向は突っ込んできた。

ぐぬぬという顔の伊勢。

 

 伊勢「くっ…可愛くない。

    というかさ、雷。

    貴女、今日は食事当番じゃないでしょ?何してんの?」

 

 雷「よく聞いてくれたわね。

   昨日、勇が私たちの為に夜食を作ってくれたじゃない?

   それのお返しに、私が料理を作ってあげるの!」

 

 伊勢の疑問に、ふんっ、と胸を張って答える雷。

 

 電「それでさっき、雷に厨房を貸してもらうよう

   話が来たのです」

 

 日向「なるほど」

 

 伊勢と日向は肩を並べて相槌を打つ。

すると、食堂の入り口から「フフフ…」と笑い声が聞こえてきた。

 

 ??「話は聞かせていただきマシター…!」

 

 伊勢「っ、何者だ!姿を現せ!」

 

 謎の笑い声のする方に、伊勢はビシッと指を指した。

すると、入り口からゆっくりと笑みを浮かべた金剛が入ってきた。

 

 日向「金剛…お前、何やってる?」

 

 金剛「フッ…今はそんなこと、どうでもいいデース。

    テートクの恩返しに料理を振るうその姿…健気デース!」 

 

 日向の質問を華麗にスルーした金剛は、ジョジョ立ちをしながら会話を続ける。

 

 金剛「これは提督の疲れを癒すビッグイベントデース!

    私もテートクの為にクッキングするネー!!」

 

 ビシッと雷達に指をさす金剛。

 

 金剛「誰が一番テートクを喜ばせる料理を作れるか…

    イッツ・バトルネ!!

    ナンバーワンを取った人は…

 

    テートクとのバーニング・キッスの報酬ヨ!!」

 

 艦娘たちに電流走る。

 

 電「はわわっ!?何か凄いことになってきたのです!?」

 

 雷「面白いじゃない、受けて立つわ!」

 

 ノリノリで勝負を受ける雷。

横で日向は頭を抱えている。

 

 日向「…何を馬鹿なことを…おい、伊勢。

    お前からも何か…」

 

 伊勢「おもしれぇ、相当腕に自信があるみてぇだな。

    受けて立つぜ」

 

 伊勢もノリノリだった。

 

 金剛「そうと決まれば行動デース!

    比叡、このチラシを皆の部屋にばら撒いてくるのデース!」

 

 比叡「はいっ、お姉さま!行ってきます!」

 

 金剛の後ろに控えていた黒いエージェントスーツを着た比叡は、

チラシを受け取ると厨房を出ていく。

 

 日向「…」 

 

 どうやら日向は匙を投げたようだ。

そして、チラシは全室内を回り、各艦娘たちの目に留まるのだった。

 

 -鳳翔と瑞鳳の部屋-

 

 鳳翔は大浴場の清掃に行っており、部屋には書道をしていた瑞鳳がいた。

集中していた瑞鳳は、チラシが足元にあることに気付く。

 

 瑞鳳「…竹田 勇テートクのお料理感謝祭…?

    二人で一組、参加自由…何これ」

 

 チラシを拾い、内容を読む。

そして、優勝景品の項目を見て、真顔で吹き出す瑞鳳。

 

 瑞鳳「ほ…鳳翔さーーーん!鳳翔さーーん!」

 

 バタバタと音を立てて、チラシを持って部屋から出ていく瑞鳳。

 

 -摩耶と吹雪の部屋-

 

 吹雪と摩耶は、それぞれ昼の休憩を満喫していた。

 

 吹雪「あれ?」

 

 ふと吹雪が畳の上に置いてあるチラシに気付く。

読み上げる吹雪。

摩耶は布団に寝転がっていたが、後ろの吹雪が立ち上がり振り返る。

 

 摩耶「ん…?吹雪、どうした?」

 

 摩耶は吹雪の顔を見る。

顔は真っ赤、チラシを見続けながら一つの言葉を繰り返していた。

 

 摩耶「…?」

 

 起き上がり、吹雪の肩をたたく。

 

 摩耶「おい、どうした?

    何か書いてあんのか?」

 

 吹雪は相変わらず顔を真っ赤にしながら、カクカクの動きで顔を摩耶に向ける。

そして、無言でチラシを摩耶に渡した―。

 

 -赤城と加賀の部屋-

 

 部屋では、赤城がマフラーの編み物を、加賀が事務仕事をしていた。

ふと、赤城が編み物の手を止める。

 

 赤城「…ねぇ加賀?

    今日は非番の日なんだから、そんなに仕事しなくても…」

 

 赤城の言葉に対し手を止めず、着々と事務仕事をこなしていく加賀。

 

 加賀「いえ…勇提督に休みなしで仕事に勤しんでいるのに、

    私が休むわけにはいきません」

 

 そう、加賀の言う通り勇に休みはなく、今も司令室で仕事を進めていたのだ。

ふぅっ、と優しいため息をつき、マフラーをもって立ち上がる赤城。

そして、加賀の後ろに回ると首にマフラーをスッと巻き始めた。

加賀は筆を止め、赤城を見上げる。

 

 赤城「そういう勤勉なところが加賀の良いところだけど、

    根の詰め過ぎは良くないわ。

    交代しましょう?」

 

 少し呆気にとられた顔の加賀。

 

 赤城「…でも、加賀がそんなに殿方に気にするなんてね。

    何だか妬けちゃうわ」

 

 加賀「…、そんなことありません」

 

 赤城の冗談に、少し照れた顔を見られないよう背ける加賀。

そして、赤城は後ろに隠していたチラシを加賀に渡す。

 

 加賀「…?赤城さん、これは…」

 

 加賀の質問に何も答えず、パチっとウィンクする赤城。

加賀は首を傾げながら、場を赤城に譲り、チラシを読むのだった…。 

 

 

 

                        第十一話 「提督、お料理祭です!その1」 完

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