艦隊これくしょん ~ハジマリノ物語~   作:ゆ~

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艦隊これくしょん ~ハジマリノ物語~ 第十二話

 勇の知らない間で、「竹田 勇テートクのお料理感謝祭」の進行は進んでいた。

艦娘の間で知らない子はいなく、話題は尽きることはなかった。

 

 -加古・古鷹の部屋-

 

 五十鈴が部屋に遊びに来ており、加古・古鷹・五十鈴の三人が部屋にいた。

三人とも、さっき届いた間宮の出前ラーメンがを食べていた。

 

 加古「…んで。

    審査員は誰がすんだよー」

 

 ズズズッとラーメンをすするのを止め、箸を古鷹に向ける加古。

古鷹は加古が胡坐をかいている行儀の悪さに加え、箸で人を指すことに

ムッとした顔をみせる。

 

 古鷹「加古。行儀悪い」

 

 対して古鷹は、ちゃんと正座をしており、

ラーメンを食べるのにも音を立てなかった。

「いいじゃん別に―」と言って加古はそのままラーメンを食べる。

 

 五十鈴「…一応聞いておくわ。

     加古、審査員って何のこと?」

 

 五十鈴は箸を止め、加古に質問する。

その言葉に加古はニヤリと含み笑いをする。

その後、箸を五十鈴に向けて、満面の笑顔で叫んだ。

 

 加古「質問を質問で返すなァーッ!

    疑問文には疑問文で答えろと学校で教えてい」

 

 すべての言葉を言う前に、五十鈴の箸が加古のこめかみを直撃した。

こめかみを抑えて転げ回る加古。

 

 五十鈴「そういうのいいから」

 

 ブツブツ文句を言いながら、加古は起き上がる。

その二人のやり取りに古鷹は苦笑いだ。

 

 古鷹「審査員も何も、食べていいのは司令官だけよ。

    加古は食べられないよ?」

 

 古鷹の返答にちぇっと一言残念そうに加古は言った。

 

 五十鈴「書いてあるでしょ、竹田 勇テートクのお料理感謝祭って。」

 

 五十鈴はスープをゆっくりとレンゲで飲む。

 

 加古「あー…どのチームが優勝するんかなー」

 

 食事が終わった加古は、仰向けに寝転がって、天井を見ていた…。

 

 -厨房-

 

 ここ、厨房。

瑞鳳がチラシを鳳翔に見せる。

「まぁ…」と、可愛らしく驚いた鳳翔。

しばらくチラシの文章を眺め、やがて鳳翔は口を開く。

 

 鳳翔「…瑞鳳、貴女…

    出たいのね?」

 

 鳳翔の質問に紅くなった顔を背けた後、小さく頷く瑞鳳。

そんな様子を見てやんわりと微笑む鳳翔。

 

 鳳翔「分かったわ。

    こんな私で良ければ、瑞鳳の助けになりましょう」

 

 鳳翔がそういうと、俯いていた瑞鳳が顔を見上げた。

 

 瑞鳳「鳳翔さん…」

 

 鳳翔「ふふ、もしも優勝出来たら…

    提督との口づけは瑞鳳に譲るわ」

 

 悪戯っぽく笑顔を見せて瑞鳳を困らせようとする鳳翔。

その後、鳳翔は勇と口づけをするシーンを思い浮かべてみた。

自分より背が高い勇が、ゆっくりと顔を下して鳳翔にソフトにキスをする。

そんな場面を思うと、自然に鳳翔は自分の唇を指でなぞった。

 

 瑞鳳「勝ちましょう、鳳翔さん。

    私…負けたくない!」

 

 鳳翔「…」

 

 瑞鳳「鳳翔さん?」

 

 鳳翔「…えっ、あ…

    そうね。やるだけやりましょう!」

 

 瑞鳳の言葉でハッと我に返る鳳翔。

やや焦っている様子に、瑞鳳はちょっと首を傾げたがすぐに気にならなくなった。

 

 -鎮守府提督司令室-

 

 勇は机の上で仕事を進めていた。

今後の作戦についての資料、資源・資材関係の資料、報告書…

とにかく多くの用紙が机の上に積み重なられていた。

 

 その横で、金剛が机の上で座っており、ニコニコと勇を見ていた。

勇は金剛の意図が掴めず、仕事に集中できない様子だ。

 

 勇「…あの、金剛さん?」

 

 金剛「ヘーイ、テートクゥ!

    金剛さんなんて他人行儀ネ!」

 

 金剛は指をチッチッチと振りながら、足を組みなおす。

勇は艶やかな太ももや足を見ないよう、顔を背ける。

その様子を金剛は喜ばしく思い、挑発的な笑顔を見せた。

 

 金剛(提督もなかなかウブなところがあるネ…

    少しからかっちゃおうカ)

 

 ゆっくりと前屈みになり、勇に近づく金剛。

勇は金剛のほうに振り返ると、目の前に金剛の顔があった。

 

 勇「………!!?」

 

 混乱する勇。

金剛の顔と、服から見える谷間を目線が行き来していた。

 

 金剛「こ・ん・ご・う…でイイヨ」

 

 そのまま勇の首筋にふゥ、と息をかける金剛。

ビクッとなった勇は、この危機から逃れるため金剛にやや全力気味でチョップした。

 

 金剛「そげぶっ!!!」

 

 目が飛び出す勢いのチョップに、金剛は机に突っ伏した。

5秒間の沈黙があったのち、頭を押さえながら金剛はゆっくり起き上がる。

 

 勇「ば、馬鹿!いきなり何するんだ!」

 

 金剛「フフフ…テートク、なかなかやってくれるじゃなイカ…」

 

 そのまま金剛は机から降り、出口に向かって進む。

 

 金剛「明日が楽しみネ、テートク。

    テートクのそのリップ…

    奪ってアゲルヨ」

 

 そう出口前で一言言って、金剛は部屋から出て行った。

まだ何も知らない勇は、気を取り直して業務に戻った。

 

 

 -その夜。

入浴から出てきた勇は、吹雪と会う。

吹雪はまだ入浴しておらず、いつものセーラー服だった。

 

 勇「訓練か、吹雪?お疲れ様」

 

 にっこりと挨拶をする勇。

対して吹雪は、勇の顔を見ては背けたり、両指をこまねいたりしていた。

 

 吹雪「あ、あの」

 

 勇「ん?」

 

 意を決したかのように顔を上げる吹雪。

だが、勇と目が合ったとたん、顔が紅潮しだす。

それから吹雪は、また何も言えなくなってしまった。

 

 ?(あー、もう!見てられないったら!)

 

 通路脇で様子を見ていた霞が出てくる。

そのまま吹雪の手を取り、ズカズカと二階に上がって行った。

 

 勇「…?」

 

 勇は首を傾げる。

そして、今度は後ろから加賀に話しかけられた。

 

 加賀「勇提督」

 

 勇は加賀に気付き、振り返る。

そこには今上がったのか、少し肌が赤い浴衣姿の加賀がいた。

 

 勇「あ、加賀さん。

   今日は助かったよ、加賀さんが手伝ってくれたお蔭で

   仕事も早く済んだ。ありがとう」

 

 笑顔でお礼を言う勇。

加賀は少し時間を置いてから、顔をプイッと避けて「いえ、別に」と返事した。

視線を勇に戻す加賀。

 

 加賀「勇提督…貴方、好きな食べ物はある?」

 

 勇「好きな食べ物?そうだな…

   …って加賀さん?」

 

 今度は勇の方に顔を向けて、じっと目を見る加賀。

その無言の迫力に、勇は気圧された。

 

 勇「あ、え、と…

   天ぷら、とか」

 

 加賀「天ぷらね」

 

 そう確認すると、加賀はスッと振り返り、階段を上がっていった。

勇はポカーンとして階段を見上げていた。

 

 勇「…な、何なんだ?

   明日には何が起こるんだ…?」

 

 

 そして 夜が 明けた

 

   

 

                        第十二話 「提督、お料理祭です!その2」 完

 

 

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