勇の知らない間で、「竹田 勇テートクのお料理感謝祭」の進行は進んでいた。
艦娘の間で知らない子はいなく、話題は尽きることはなかった。
-加古・古鷹の部屋-
五十鈴が部屋に遊びに来ており、加古・古鷹・五十鈴の三人が部屋にいた。
三人とも、さっき届いた間宮の出前ラーメンがを食べていた。
加古「…んで。
審査員は誰がすんだよー」
ズズズッとラーメンをすするのを止め、箸を古鷹に向ける加古。
古鷹は加古が胡坐をかいている行儀の悪さに加え、箸で人を指すことに
ムッとした顔をみせる。
古鷹「加古。行儀悪い」
対して古鷹は、ちゃんと正座をしており、
ラーメンを食べるのにも音を立てなかった。
「いいじゃん別に―」と言って加古はそのままラーメンを食べる。
五十鈴「…一応聞いておくわ。
加古、審査員って何のこと?」
五十鈴は箸を止め、加古に質問する。
その言葉に加古はニヤリと含み笑いをする。
その後、箸を五十鈴に向けて、満面の笑顔で叫んだ。
加古「質問を質問で返すなァーッ!
疑問文には疑問文で答えろと学校で教えてい」
すべての言葉を言う前に、五十鈴の箸が加古のこめかみを直撃した。
こめかみを抑えて転げ回る加古。
五十鈴「そういうのいいから」
ブツブツ文句を言いながら、加古は起き上がる。
その二人のやり取りに古鷹は苦笑いだ。
古鷹「審査員も何も、食べていいのは司令官だけよ。
加古は食べられないよ?」
古鷹の返答にちぇっと一言残念そうに加古は言った。
五十鈴「書いてあるでしょ、竹田 勇テートクのお料理感謝祭って。」
五十鈴はスープをゆっくりとレンゲで飲む。
加古「あー…どのチームが優勝するんかなー」
食事が終わった加古は、仰向けに寝転がって、天井を見ていた…。
-厨房-
ここ、厨房。
瑞鳳がチラシを鳳翔に見せる。
「まぁ…」と、可愛らしく驚いた鳳翔。
しばらくチラシの文章を眺め、やがて鳳翔は口を開く。
鳳翔「…瑞鳳、貴女…
出たいのね?」
鳳翔の質問に紅くなった顔を背けた後、小さく頷く瑞鳳。
そんな様子を見てやんわりと微笑む鳳翔。
鳳翔「分かったわ。
こんな私で良ければ、瑞鳳の助けになりましょう」
鳳翔がそういうと、俯いていた瑞鳳が顔を見上げた。
瑞鳳「鳳翔さん…」
鳳翔「ふふ、もしも優勝出来たら…
提督との口づけは瑞鳳に譲るわ」
悪戯っぽく笑顔を見せて瑞鳳を困らせようとする鳳翔。
その後、鳳翔は勇と口づけをするシーンを思い浮かべてみた。
自分より背が高い勇が、ゆっくりと顔を下して鳳翔にソフトにキスをする。
そんな場面を思うと、自然に鳳翔は自分の唇を指でなぞった。
瑞鳳「勝ちましょう、鳳翔さん。
私…負けたくない!」
鳳翔「…」
瑞鳳「鳳翔さん?」
鳳翔「…えっ、あ…
そうね。やるだけやりましょう!」
瑞鳳の言葉でハッと我に返る鳳翔。
やや焦っている様子に、瑞鳳はちょっと首を傾げたがすぐに気にならなくなった。
-鎮守府提督司令室-
勇は机の上で仕事を進めていた。
今後の作戦についての資料、資源・資材関係の資料、報告書…
とにかく多くの用紙が机の上に積み重なられていた。
その横で、金剛が机の上で座っており、ニコニコと勇を見ていた。
勇は金剛の意図が掴めず、仕事に集中できない様子だ。
勇「…あの、金剛さん?」
金剛「ヘーイ、テートクゥ!
金剛さんなんて他人行儀ネ!」
金剛は指をチッチッチと振りながら、足を組みなおす。
勇は艶やかな太ももや足を見ないよう、顔を背ける。
その様子を金剛は喜ばしく思い、挑発的な笑顔を見せた。
金剛(提督もなかなかウブなところがあるネ…
少しからかっちゃおうカ)
ゆっくりと前屈みになり、勇に近づく金剛。
勇は金剛のほうに振り返ると、目の前に金剛の顔があった。
勇「………!!?」
混乱する勇。
金剛の顔と、服から見える谷間を目線が行き来していた。
金剛「こ・ん・ご・う…でイイヨ」
そのまま勇の首筋にふゥ、と息をかける金剛。
ビクッとなった勇は、この危機から逃れるため金剛にやや全力気味でチョップした。
金剛「そげぶっ!!!」
目が飛び出す勢いのチョップに、金剛は机に突っ伏した。
5秒間の沈黙があったのち、頭を押さえながら金剛はゆっくり起き上がる。
勇「ば、馬鹿!いきなり何するんだ!」
金剛「フフフ…テートク、なかなかやってくれるじゃなイカ…」
そのまま金剛は机から降り、出口に向かって進む。
金剛「明日が楽しみネ、テートク。
テートクのそのリップ…
奪ってアゲルヨ」
そう出口前で一言言って、金剛は部屋から出て行った。
まだ何も知らない勇は、気を取り直して業務に戻った。
-その夜。
入浴から出てきた勇は、吹雪と会う。
吹雪はまだ入浴しておらず、いつものセーラー服だった。
勇「訓練か、吹雪?お疲れ様」
にっこりと挨拶をする勇。
対して吹雪は、勇の顔を見ては背けたり、両指をこまねいたりしていた。
吹雪「あ、あの」
勇「ん?」
意を決したかのように顔を上げる吹雪。
だが、勇と目が合ったとたん、顔が紅潮しだす。
それから吹雪は、また何も言えなくなってしまった。
?(あー、もう!見てられないったら!)
通路脇で様子を見ていた霞が出てくる。
そのまま吹雪の手を取り、ズカズカと二階に上がって行った。
勇「…?」
勇は首を傾げる。
そして、今度は後ろから加賀に話しかけられた。
加賀「勇提督」
勇は加賀に気付き、振り返る。
そこには今上がったのか、少し肌が赤い浴衣姿の加賀がいた。
勇「あ、加賀さん。
今日は助かったよ、加賀さんが手伝ってくれたお蔭で
仕事も早く済んだ。ありがとう」
笑顔でお礼を言う勇。
加賀は少し時間を置いてから、顔をプイッと避けて「いえ、別に」と返事した。
視線を勇に戻す加賀。
加賀「勇提督…貴方、好きな食べ物はある?」
勇「好きな食べ物?そうだな…
…って加賀さん?」
今度は勇の方に顔を向けて、じっと目を見る加賀。
その無言の迫力に、勇は気圧された。
勇「あ、え、と…
天ぷら、とか」
加賀「天ぷらね」
そう確認すると、加賀はスッと振り返り、階段を上がっていった。
勇はポカーンとして階段を見上げていた。
勇「…な、何なんだ?
明日には何が起こるんだ…?」
そして 夜が 明けた
第十二話 「提督、お料理祭です!その2」 完