艦隊これくしょん ~ハジマリノ物語~   作:ゆ~

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艦隊これくしょん ~ハジマリノ物語~ 第十五話

 ―8月17日 12:00―

 

 摩耶と吹雪の部屋。

吹雪は昼食の当番で、部屋にはおらず摩耶しか部屋にいなかった。

昼の太陽の光が差し込む部屋、摩耶は部屋で一人佇んでいた。

 

 その手には、一つの眼鏡を大切そうに握りしめていた。

 

 ??「―――は、あちらに!

    ここは、私が引き受けます!」

 

 摩耶の頭の中にぼんやりと回想が入る。

 

 ??「―――うぶです…

    私の計算ではッ!!」

 

 その血のりが付いた眼鏡を、ギュッと胸に寄せ握る。

 

 ??「―――てるんですか。

    早く、ここから―――姉さん」

 

 摩耶は顔を見上げ、窓をのぞき込む。

演習場では、駆逐艦と軽巡艦の空砲を用いた演習が行われていた。

その中で、吹雪が頑張っている姿を見つける。

相手はどうやら北上のようだ。

吹雪は持ち前の高機動で北上の砲撃を回避、徐々に詰め寄っていた。

 

 北上「―ちぃっ、やるじゃん吹雪―!」

 

 北上も肉薄されないように砲撃を行いながら後退、しかし速度は吹雪が上回っていた。

 

 吹雪「―雷撃さえさせなければっ!!」

 

 北上「肉薄戦に持ち込んで雷撃を封じる作戦かー…

    こいつ、いつの間に」

 

 その様子をボーッと見ていた摩耶。

数回ノックがするが摩耶は気付いていない様子だ。

 

 勇「?…おかしいな、吹雪が摩耶さんはここにいるって聞いたんだが…

   入りますよー」

 

 勇は部屋に入ると、摩耶と目があった。

摩耶は相変わらずボーッとしており、目が虚ろである。

勇はそんな摩耶の様子を心配そうに見つめるが、摩耶の持っている眼鏡に

ふと視線がいった。

 

 勇「…その眼鏡は…」

 

 摩耶「…ん、ああ…勇か。

    もう、一か月も経つのか」

 

 摩耶はようやく勇に気付いたようで、陰がある笑顔を見せる。

そっと眼鏡を机の上に置く摩耶。

 

 摩耶「どうした?何か用か」

 

 勇「あ、ああ。

   戦線がこちらに有利に進んでいて、南西諸島の防衛ラインを取り戻せと

   政府から指示があったんだ。

   その編成で摩耶さんに出撃してもらいたいんだけど…」

 

 摩耶「おっ…了解。

    編成の資料くれよ」

 

 勇から摩耶は艦隊編成の資料を受け取る。

その時、勇の目の下に隈があることに気付く。

 

 摩耶「…」

 

 勇に近づき、勇の顔をじっと見上げる摩耶。

摩耶の胸が勇のおなか辺りに柔らかく当たる。

 

 勇「ちょっ…摩耶さん?」

 

 摩耶「おい、勇…お前、昨日も徹夜しただろ。」

 

 勇の胸を人差し指でツンツンする摩耶。

その後、勇の顔を持って胸でガバッと抱きしめた。

驚きのあまり声が出ない勇。

 

 摩耶「ったく…いっつも陰で無理しやがって。 

    お前が倒れちまったら、あたしらが大変だってのに」

 

 勇は摩耶の顔を見上げる。

今まで見たことのない、とても柔らかな笑顔の摩耶だった。

 

 勇「…摩耶さん?何か、いつもと…違うね。

   何かあったのか?」

 

 摩耶「…別に。

    気にすんな、この出撃が終わったらまた寿司でも握ってやるよ」

 

 そう言って摩耶はしばらく勇を抱きしめていた…。

 

 摩耶(いつもありがとな…)

 

 ―午後、作戦会議室。

 

 摩耶を旗艦とした、吹雪・鳳翔・五十鈴・古鷹・朧が呼ばれていた。

勇が黒板を使って作戦の概要、防衛ラインの説明、現在の状況を説明している。

 

 勇「さて、以上で説明を終えるが…

   誰か、質問はあるか?

   …よし、全員解散!

   出撃は今日の深夜に決行する!」

 

 6人「了解!」

 

 勇の解散指示のあと、摩耶が吹雪を呼び止めた。

 

 吹雪「どうかしたんですか、摩耶さん?」 

 

 摩耶「…」

 

 摩耶は返事をせず、外に出歩く。

吹雪も後ろに続いて外に出て行った。

満月の光が差し込む夜中、摩耶に付いて行って付いた場所は演習場だった。

 

 吹雪「演習場…?」

 

 摩耶は振り向き、演習用の12.7cm連装砲を吹雪に渡す。

 

 吹雪「?」

 

 摩耶「昼間、北上の奴を押していたじゃねーか。

    お前も成長したなぁ、吹雪。

    …今度はアタシが試してやるよ、来な」

 

 摩耶も演習用の12.7cm連装砲を装着する。

吹雪は状況が呑み込めなかったが、真剣な摩耶の目を見て気持ちが変わった。

 

 吹雪「…はい!行きますよ!」

 

 

 …それから10分後。

勝負の軍配は、摩耶に上がった。

長期に渡る砲雷撃戦のあと、一瞬の撃ち合いで勝負は決まった。

 

 お互い演習の疲労で地面に座り込み、肩で息をしている。

吹雪はそのまま、地面に倒れこんでしまう。

 

 吹雪「はぁ、はぁ…つ、強いですね摩耶さん。

    流石です」

 

 摩耶「ふぅ、ふぅ…お、お前もな。

    ついこの前まで、初戦闘だったのが嘘のようだな」

 

 吹雪の横に座る摩耶。

摩耶は、沢山の星が見える夜空を見上げる。

 

 吹雪「…摩耶さん?」

 

 摩耶「…吹雪、お前…勇のことが好きだろ?」

 

 吹雪「えっ!!?」

 

 摩耶の急な質問に驚いた吹雪は起き上がる。

 

 吹雪「き、急に何を言い出すんですかぁ!?」

 

 摩耶「隠すなよ、あたしだってそうだ」

 

 吹雪「…!!」

 

 今度は摩耶が両手を後ろ首に回して、寝転がった。

 

 摩耶「最も、あたしはラブじゃなくて、ライクだけどな」

 

 吹雪「私、は…」

 

 吹雪はそれ以上口に出せなかった。

そんな様子を柔らかな笑顔で見る摩耶。

 

 摩耶「…お前は生きろよ、吹雪。

    いつか、その思い伝えるためにな」

 

 吹雪「な、だから違いますって~!

    …でも生きるのは、摩耶さんも他のみんなも一緒じゃなきゃ嫌です」

 

 ゆっくり起き上がり、吹雪の鼻を指でつつく摩耶。

 

 摩耶「ったりめぇだ。

    吹雪はまだ危なっかしいから、忠告してやってんだよ」

 

 笑顔で摩耶はそう言うと、立ち上がり宿舎の方へと歩いて行った。

吹雪もその後を追って、宿舎へと歩いていく。

 

 摩耶「…もうすぐで出撃だな。

    気合、入れていくぞっ!」

 

 吹雪「はい!」

 

 

―作戦決行まで、あと、20分―

 

 

 

   サブ島沖海域

 

 ??「ドウヤラ アノコタチ ナンセイショトウ 二 セメコンデクルミタイ デスネ」

 

 ??「サスガニ コノキ ヲ ノガシハ シナイダロウ

    チンジュフキンカイ ノ ブタイ ハ コウタイヲ ハジメテイルカラナ」

 

 ??「??サン、アノコタチ ノウチ ヒトリ ホシイデス」

 

 ??「ナゼ ダ?」

 

 ??「コチラモ ツヨイ オナカマ ヲ フヤサナイト」

 

 ??「…ヒツヨウナイト オモウガ テハイ シヨウ」

 

 ??「サスガ ハ ??サン

    …ビッグ7 ノ オテナミ ハイケン デスネ

    フ…ウフフ…」

 

 

                        第十五話 「妹の思い出」

 

     

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