「訳が分からない」
セーラー服女子が海軍の宿舎にいて、自分を提督と言ってくる。
そうして勇が状況に困惑している顔を見て、吹雪は焦りだす。
吹雪「…あ、あれ?て、提督?
どうしたんですか?!」
目がまん丸になり、あたふたする吹雪。
その様子を見て勇も慌てだした。
吹雪は両手を縦横に振りながら、左右に小刻みに動いており、
対する勇は両手で頭を抱えて膝をついている。
勇「おお、女の子?海軍基地にセーラー服の女子!?
ど、どうなっているんだ?!」
吹雪「ええっと、あの、それはですね、
あのその」
二人が仲良く変なダンスをしながら混乱しているのを見ていた鳳翔は、
ゆっくりと話を切り出した。
鳳翔「吹雪さん、まずは提督を居間にご案内しましょう。
立ち話もなんですから…」
鳳翔の言葉を聞き、多少我を取り戻す吹雪。
恥ずかしさの余り顔を赤らめ俯くが、ゆっくり提督を見上げた。
吹雪「…そうですね、すみませんでした…提督」
愛らしい笑顔に、勇はドキッとする。
そうすると、自然に勇も照れてしまった。
勇「いや…こちらこそ。
よく考えたらそんなに大した問題じゃないよな…
慌ててすまなかった」
お互いが軽く頭を下げ、それを優しく見守る鳳翔。
すると、急に奥からドタバタという人が駆けてくる音がした。
勇提督は何事かと奥を覗く。
すると、今度はスカート短め谷間丸見えの際どい制服を着た
女子高生くらいの子がやってきた。
??「おっ、とうとう来たか!よっ、信任提督!」
その活発な女の子は元気よく勇に対し敬礼をする。
目線が際どい方にいかないように、勇は一生懸命目を泳がせた。
鳳翔「『摩耶』さん、挨拶は後で…提督をお部屋に案内してあげて?」
落ち着いて、優しく的確に指示を出す鳳翔。
摩耶と呼ばれた少女は、快く頷いた。
摩耶「そうだな。
吹雪、上に上がってもらえ」
吹雪「はい!それでは提督、どうぞ靴を脱いで上がってください」
摩耶と吹雪に付いていく勇。
木材のいい香りを感じながら、そのまま3階へと上がっていく。
そうして、『ていとくのおへやなのです』
という標識がある扉の前まで案内された。
勇「なのです…?」
勇はとりあえず突っ込んだ。
吹雪「ああ、『電』ちゃんの作った標識ですね。
電ちゃんはまた後で呼んできますねっ」
吹雪はにこやかな笑顔で答えた。
謎のひらがな文字は、どうやらその少女の口癖なのかという推測した。
摩耶「さて、今日からここが提督の部屋だよ。
綺麗に使えよ?
あたしは別に構わないけど、ある先輩が煩くてさ…」
摩耶は勇にぴったりくっ付いて小声で話す。
柔らかな胸が右肩に当たり、ビックリする勇。
??「それは私のこと?」
勇・摩耶・吹雪「うわぁあああ!!?」
突如後ろから声をかけられ驚く三人。
すると後ろには、
目つきは鋭く凛をとした姿勢、弓胴着を着た女性がいた。
吹雪「か、『加賀』さん…!」
どうやらこの女性の名前は加賀というらしい。
摩耶「か、加賀先輩、驚かすなよ!
あんた気配まるでないんだから後ろから
声かけられたらビックリするだろ!」
摩耶は心臓が破裂しそうな顔で加賀を見る。
加賀「それはごめんなさい。
今後から気を付けるわ」
摩耶「ほんと頼むぜ…」
加賀はチラリと勇を見る。
その澄んだ瞳を見て、勇はまた緊張しだした。
加賀「貴方が私たちの提督?
…それなりには期待しているわ。
失礼します」
礼儀正しくお辞儀をして、そのまま振り返る加賀。
その後、背中を向けたまま
加賀「…摩耶
さっき見たけどまた部屋が散らかっていたわよ。
鳳翔さんに任せずたまには自分で掃除しなさい」
と、一言伝えて一階に降りて行った。
摩耶も、一つため息をついて、自分の名前が書かれた部屋に入って行った。
吹雪「加賀さん、物静かで時折厳しいですけど、とても優しい人なんですよ」
そう言いながら吹雪は勇を部屋へ招く。
新品の畳の香りに、心地よい潮風。
窓からは、鎮守府を見渡せる絶好の景色。
広い間取りに、立派な業務机。
そして畳の上には段ボールと謎のぬいぐるみと布団と「夜戦」と書かれた色紙と…
とにかく色々置かれていた。
勇「待て、何だよこの荷物の数々。俺のではないぞ…」
吹雪「す、すみません!皆、たぶんここに物を置いて行きっ放しで…
すぐに片付けますね!!」
吹雪は慌てて畳の上のものを片づけだした。
仕方なく勇も片付けを手伝おうとして動くと、机の上に封筒があるのを見つけた。
手に取って確認する。
勇「…『極秘任務 書類在中
読まれたし …大森元帥』」
勇は封筒を切り、任務の書類を読む。
そこには 、勇の想像もつかない内容が記されていた…
第二話 「提督、ここが宿舎ですよ」 完