―鎮守府より離れた墓石のある丘―
「摩耶」と掘られた墓石の前に立っている木曾。
帽子を取り、菊の花束を墓石に供える。
木曾「…まさか、あんたが逝くとはな。
…摩耶先輩」
木曾は、摩耶の天真爛漫な姿を思い出し、寂しそうな顔をする木曾。
演習では八勝八敗の戦績を、実戦では頼れる先輩だった摩耶。
その強さを知っている木曾は、未だに摩耶が死んだことが信じられないのだ。
木曾「鳥海先輩のことをずっと悔やんでいたのは知っている。
鳥海先輩の後を追ったのか…?」
両膝をゆっくり地面に付けて、墓石を掴む。
木曾「…俺との決着は、もう永遠に先送りかよっ…!」
眼帯のしていない目から、涙が一つ、零れ落ちる。
そして、ふと墓石の下を見ると、自分とは別に花が添えられているのに気付く。
木曾「これは…?誰だ…」
木曾は立ち上がると、不穏な空気が流れている方向へと視線を送る。
木曾の目には、黒く大きい塊が、空を浮いていた。
今度は海面の方に視線を戻すと、ル級型を含む深海棲艦の艦隊が鎮守府に接近していた。
木曾は通信機を取り出す。
木曾「…バルクホルン。
空は任せた。
…俺が、海のお客さんを引き受ける」
??????「了解した。
…と、ところでだ木曾。
そちらに宮藤という迷子が…」
木曾「そんなことくらい自分で確認しな」
通信を切ると、木曾は艤装を装着し、丘から海面へと飛び出す。
木曾(摩耶先輩…もう陰であいつらを支援するのは止めだ。
あんたの代わりに、俺がなってやる)
同時刻、勇たちは空を仰いでいた。
勿論、謎の黒い巨大な物体を見上げていたのだ。
加賀「あれは…?」
赤城「確か、政府の機密事項に記載されていた…」
勇「人類の敵、ネウロイ…!!」
鋭い金切り声を上げると同時に、ネウロイの赤い斑点から
無数のレーザーが発射される。
レーザーは鎮守府基地を薙ぎ払い、被弾箇所は爆発が起こった。
ホテルに向かって走っている吹雪たちにも、爆発の煙が見えた。
吹雪「な、何!?あのおっきいの!?」
大鳳「ええ、確かに大きいですね!」
瑞鳳(この子 天然さんか…?)
芳佳「ネウロイ…!」
芳佳は立ち止まり、浜辺に向かって走り出した。
吹雪「あ…芳佳さん!?どこに行くの?!」
吹雪も芳佳の後を追って、浜辺に向かう。
そこには、浜辺に置いてきたストライカーユニットがあった。
芳佳はストライカーユニットに向けて飛び、装着する。
青白い巨大な魔法陣が芳佳の下に広がり、芳佳に獣の耳と尻尾が生えた。
吹雪「!!!???!!?」
吹雪は目を疑った。
自分も大概だが、目の前の光景はおよそ現実では有り得ないものだったからだ。
芳佳「うん…大丈夫、跳べる!
…あ」
ここで芳佳は自分が武器がないことに気付く。
芳佳「ど、どうしよう!?吹雪ちゃん!!」
焦って吹雪に相談する芳佳。
吹雪はようやく我に戻り、考える。
そして、一つの決断をする。
吹雪「…ねぇ、芳佳さん。
私を抱えて飛ぶこと、出来るかな…?」
吹雪は艤装を装着し出した。
芳佳「!?吹雪ちゃん、それ…?」
吹雪の強い決意の眼差しが芳佳を見つめる。
その意思を感じたのか、芳佳は黙って頷いて吹雪の後ろに周り抱きしめた。
芳佳「…行こう、吹雪ちゃん」
吹雪「はいっ!!」
吹雪が返事すると、芳佳のストライカーユニットは急速浮上する。
ネウロイに向かって、高速で飛び出した。
激しい風圧に目を瞑って耐える吹雪。
風圧に慣れゆっくりと目を開けると、そこには鎮守府を見下ろすという
生まれて初めての光景があった。
感動の余り言葉を失う吹雪。
芳佳「吹雪ちゃん、下から回り込むよ!」
吹雪「え…り、了解!!」
すでにネウロイが目の前にいて、吹雪は一瞬焦りながらも冷静に狙いを定める。
12.7cm連装砲を握りしめる手に力が入る。
芳佳がネウロイの前で急降下し、ネウロイの下腹擦れ擦れを通る。
吹雪は12.7cm連装砲を上空に向けて3発速射し、ネウロイの腹部に直撃する。
光り輝く破片が飛び散るが、ネウロイは破損個所がすぐに自己修復しだした。
吹雪「な、なに…あれ、治ってる!?」
芳佳「ネウロイはコアを破壊しないと倒せないの!
…続けて行くよ、吹雪ちゃん!」
ネウロイの腹部下から飛び出した芳佳は、上空で宙返りをし再びネウロイに向かって跳んだ。
吹雪「深海棲艦と勝手がまるで違う…でも、やらないと!
摩耶さんが守ってくれたこの命で、みんなをっ!!」
第二十一話 「提督、空中戦始まります!」