時刻 8月 8日 06:00
勇はぐっすり寝ていた。
それはもうぐっすりと寝ていた。
何故かと言うと、昨日の晩は勇の着任祝いのお祝い会があったからだ。
時は少々
時刻 8月 7日 20:00
宴会場にて、浴衣姿の少女たちと豪勢な料理、酒、飲み物が勇を囲っていた。
少女たちの中には、勇の知っている顔の子もいれば、まだ知らない子が沢山いた。
勇(な、なんてこった…こんなに、いるのか…
う、みんな見てる、見てる…!)
どの少女達からも目線が勇に集中し、勇はとても落ち着かない様子だ。
しかし、勇が落ち着かないのはそれだけが原因ではない。
約数名の少女、つまり先刻「入浴で裸を見られた」数名の女子もいるからだ。
睨んでいる子(摩耶)
恥ずかしくて顔を合わせられない子(朧・吹雪)
全然気にしてない子(若葉)
そして
??「ヘーイ、加賀?」
加賀「何かしら、金剛」
金剛「…加賀、お前 その陶器…ダシじゃなくてお茶ダヨ。
ミートにオチャズケは合わないんじゃなイカ?」
加賀「…」
加賀「あ」
…と、微妙に心揺らいでいる子がいた。
彼女たちには申し訳なくて、勇も顔を合わせ辛いのだ。
?「しーれーえーかーんっ♪」
後ろからトコトコと可愛い足音をさせながら一人の少女が歩いてきた。
そのまま、勇の足を組んでいるスペースへちょこんっと座り、勇を見上げてくる。
勇「お、おいちょっと?」
?「緊張してる、大丈夫?
みんな司令官と初めて会うから
司令官のことが気になってしょうがないのよ」
ニコッと独特な犬歯を見せながら少女は笑った。
?「自己紹介がまだだったわね、あたし雷よ。
よろしくねっ、司令官っ」
勇は、組み足に伝わる柔らかい少女のお尻の感覚にただただ焦っているだけだった。
??「あー、マイク音量…
チェック…1、2。オッケーだね!
みんなーっ!盛り上がってるー!?
艦隊のアイドル、那珂ちゃんだよーっ!!」
突然ステージから元気のいい声が、マイク音量と重なって大きく宴会場に響いた。
一同注目するも、それぞれは冷ややかな反応だった。
(また こいつ やってるよ)
(出た 自称 アイドル)
(相変わらずテンションたけーな)
(それ私の登場セリフ…)
しかし艦隊のアイドル那珂は気にしない、怯まない。
那珂「えー、今日は私たちの新任提督の着任を祝ってぇえ…
那珂ちゃん、歌いまーす!!」
マイクをスタンドから取り上げ、歌おうとする那珂。
が、いつの間にか一人の女性がステージに上がっており、気付いた那珂に
キッチンシンクをお見舞いする (鳩尾に膝を突き刺す技 悶絶するから人にやっちゃ駄目だよ)
那珂「おえええええええ!!!!」
両膝を付いて、鳩尾を抑える那珂。
そのまま首根っこを摑まえて、ステージから降りてくる。
那珂「ちょ…日向さん、なに、すんの…」
日向「自重しろ、ここはお前のオンステージの場所じゃないぞ」
ドサッと、那珂を無造作に席に放り投げる日向。
そのあと、勇の元まで歩いてくる。
勇「あ、あの…?」
日向「すまない、提督。
さ、ステージに上がってみんなに挨拶してやってくれ」
日向はそう告げると勇に頭を下げ、ステージまで誘導する。
沢山の女性の視線が突き刺さる中、勇はステージに上がる。
浴室の出来事があって
勇を見れなかった吹雪は、ステージのほうに目を向ける。
そして、マイクスタンドにマイクがないことに気付き、那珂からマイクを借り、
勇を追いかける。
緊張で何を話したらいいのか言葉が出てこない勇。
そこに、後ろから勇の浴衣を誰かがひっぱり、勇は我に戻る。
視線を後ろにやると、マイクを持った吹雪がそこにいた。
一瞬視線を避けるが、ゆっくりと勇を見て、マイクを差し出した。
勇「吹雪…ちゃん」
吹雪「て、提督…どうぞ。
み、皆さんに 提督の言葉を聞かせてあげてください」
呆気に取られてた勇の顔が、笑顔になる。
吹雪からマイクを受け取り、
勇「ありがとう…吹雪ちゃん!」
吹雪「はっ、はい!!」
とお礼を言ってステージに上がっていった。
全ての少女たちが勇を注目する。
勇は、一呼吸吸って、少女達を見渡した。
そして、自分の言葉一言一言を静かに、全員に伝えるよう語りだした。
勇「…えー、今日はこんな盛大な歓迎会を開いていただきありがとう。
今日から新任提督として着任した竹田 勇だ。
これから君たちの命を預かることとなる。
正直、まだ俺は君たちの実力も、敵の勢力も把握していない。
現状については今朝、大森元帥から資料を頂いて見ただけなので、
何とも言えないが…
とにかく、敵はこの鎮守府まで押しかけてきている。
最後の防衛線である鎮守府まで進行されているということは、
我々は追いつめられているということだ。」
一人一人が勇の言葉に耳を傾け、清聴する。
柱に隠れて様子を見ていた眼帯の少女も、勇の言葉に耳を傾けた。
勇「明日より、俺はこの状況を打破するために諸君らの演習を行った上で
艦隊を編成を整えて、作戦を立てる。
まずは、敵をこの鎮守府近海海域から排除する。
そのためには、君たちの力と知恵、勇気、あと頑張りが必要だ。
共に深海凄艦たちと戦い、乗り越え…また今日のように宴会を開こう。
これからよろしく頼む。
-では、乾杯ッ!!」
全員「かんぱーーーーいッ!!!!」
勇の着任の挨拶が終わり、盛大に宴会が始まった。
??(少しは出来そうなのが入ってきたな…精々頑張るがいい)
眼帯の少女は、フッと一つ笑みを漏らすと、宴会場より出て行った。
また、こうして宴会を開き、全員で楽しく宴会するのか
はたまた 最後の宴会になるのか
今、運命の歯車は動き始めた…
第六話 「提督、着任式です!」 完