艦隊これくしょん ~ハジマリノ物語~   作:ゆ~

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艦隊これくしょん ~ハジマリノ物語~ 第七話

 8月8日 07:00

 

 加賀と金剛、日向の三人がドックの前に立っていた。

それぞれ腕を組んで、鎮守府から見える地平線を眺めていた。 

 

 ある一つの艦隊から、鎮守府にもうすぐ帰還できるという電報が

ついさっき来たのだ。

 

 その知らせをいち早く見て、それぞれが出向かいにドックに集まっていた。

 

 加賀「――――何で貴方達がここにいるの」

 

 若干不愉快そうな顔をした加賀が、まず口を開いた。

 

 金剛「別にいても困らないデショ?」

 

 日向「…」

 

 金剛は意地悪そうな顔で答え、日向は両目を瞑ったまま何も答えない。

加賀は二人を順番に見た後、一つため息をする。

 

 加賀「まぁいても困りはしないけど…」

 

 その加賀の顔を下から覗き込む金剛。

突然の行動に加賀はビックリし、目を大きく開く。

 

 金剛「…加賀はホントーに赤城のことが心配なんですネー。

    うんうん、可愛いとこもあるんですネー」

 

 加賀「―――――!」

 

 意地悪い顔の金剛と、じっと睨む加賀。

そんな横で通常運転の日向は、地平線を眺める。

 

 加賀「…そういう貴方こそ、妹は大事なのね。

    正直、意外だったわ」

 

 金剛「――――――!」

 

 加賀は意地悪な顔の金剛にイラッと来たのか、

いつもの冷静な顔に戻って反撃に出る。

 

 金剛は視線を加賀から外し、なるべく地平線のほうを向かないようにした。

 

 金剛「フ…ファッツ!?

    加賀が何を言ってるのかわからないデース!

    金剛はライジング・サン(朝日)を見に来ただけヨー!?」

 

 加賀「いつもくっ付き回られて

    迷惑そうな顔をしていたけど、

    内心そうではなかったのかしら」

 

 焦っている金剛に更に追い打ちをかけようとする加賀。

ゆっくりと拗ねたような顔で加賀を見る金剛。

 

 金剛「…いつもよりお喋りじゃなイカ、加賀」

 

 そう言うと金剛は加賀の後ろに回り込み、下から胸を揉む。

 

 加賀「―――――――」

 

 金剛「フフフ、赤城も大きいが加賀も随分大きいネー」

 

 絶句する加賀に気にせず揉み続ける金剛。

次第にほんのり頬が染まってくる加賀。

ギロリと金剛を睨みつけて、揉んでいる手をぐっと掴む。

そのまま鮮やかに組み伏せ、腕十字をキメた。

 

 金剛「あだだだだだだだだ!!!

    NO!NO!ギブ、ギブネー!!」

 

 腕十字をキメている加賀の足をタップする金剛。

それでも加賀は全くやめる気がないようだ。

 

 日向「二人とも、見ろ!

    あれはもしかして…

    …

    …お前ら、何をしているんだ?」

 

 日向が艦隊を発見し、横を見ると

加賀が金剛をロメロ・スペシャルに固めていた。

 

 しばらくして、金剛が口から魂を吐きながら地面に倒れていた。

 

 艦隊がドックに近付いてくる。

 

 その中の一人の巨大な砲台六基十二門を装備した少女が、

背伸びしながらやって来て、日向の前で止まった。

 

 ??「はぁ~、つっかれ…お?日向じゃん。

    何してんの?お出迎え?」

 

 日向「阿呆が。帰還が遅かったからだ、

    さっさと報告書を上げてくるんだな、『伊勢』」

 

 伊勢「少しは休ませてほしいんだけどなー」

 

 少し笑顔になった日向は、そのまま演習場へ歩いて行った。

その様子に一息つくと、伊勢は宿舎のほうに戻っていく。 

 

 日向は一度立ち止まり、面倒くさそうに歩いていく伊勢の背中を見る。

その後、完全に安心したのか柔らかく笑みをする日向だった。

 

 日向(あんまり心配をかけさすな、お調子者)

 

 その後から、倒れている金剛に向かってバタバタという慌ただしい音を立てながら

別の少女が走ってきた。

 服装。頭の装飾は金剛と一緒のものである、ショートカットの子だ。

 

 ??「おねえさまぁああああああ!!!!」

 

 そのまま金剛のお腹目がけてダイブする。

その衝撃で金剛の両目が勢いよく飛びだした。

 

 金剛「ぶべらっ!!!」

 

 ??「うあぁ~~ん、辛かったですよぉ

    厳しかったですよぉ!!

    『比叡』を褒めてください~~~!!

    頭撫でてぇえ~~!!!」

 

 金剛「ああ゛~~!!

    比叡、ちょお前、どきなサーイ

    うざいデース!!」

 

 比叡という少女は、そのままキスでもするかの勢いで

金剛に圧し掛かり、じりじりと迫る。

 

 それを金剛は嫌そうな顔をしながら、

比叡の接近を両手で顔を抑えて防ぐのだった。

 

 加賀には日常茶飯事の光景のようで、その様子を

半ば呆れたように見ていた。

 

 ??「あら、加賀」

 

 加賀の後ろから声がかかる。

 

 加賀は驚き、急いで後ろを振り向く。

 

 その声こそ、加賀が聞きたくて溜まらない声だったからだ。 

 

 そこには、加賀と同じような弓胴着の服装、

そして艶やかな黒髪のロングストレートの少女がいた。

 

 加賀「…予定より随分かかったわね。

    提督の着任式に間に合わなかった。」

 

 加賀はその少女に目をなかなか合わせられない。

態度は怒っているよりも、拗ねている感じの加賀。

その様子を見て、少女は優しく微笑んだ。

 

 この少女こそ、現在艦隊の総管轄を任されている重役

正規空母『赤城』なのだ。

 

 赤城「ごめんなさいね。

    何とか間に合わせるよう努力したんだけど…」

 

 加賀「…」

 

 赤城「そんなに怒らないで、加賀。」

 

 加賀「…怒っていません」

 

 赤城「じゃあこっち向いて?」

 

 加賀「向きません!」

 

 そんなやり取りをしながら二人は、

とても仲良く会話しながら宿舎へと戻っていった。  

 

 残された金剛も、比叡の頭を少し撫でると

一緒に宿舎の方へ戻っていくのだった。

 

 

 

    -勇の宿舎の提督室-

 

 そのころ演習場では、午前の演習が始まっていた。

演習内容は主に駆逐艦隊の練度を上げるためのもので、

射的、移動、旋回などを中心に行っていた。

 

 ???「望月、コラ!

     姿勢を曲げるな!

     それじゃ緊急時に回避行動とかが間に合わなくなるでしょ!」

 

 望月「はいはい背筋張りますよー。」

 

 ??「どうした吹雪!

    貴様は一度実戦を経験したんだ、自動砲台の空砲なんかに怯むな!

    行けっ!!」

 

 吹雪「はっ、はい!!

    吹雪 行きます!!」

 

 演習はツインテール軽巡少女『五十鈴』、

    武人気質の重巡少女『那智』が担当していた。

 

 二人の指示は的確かつスパルタで、

駆逐艦の少女たちはすぐに疲労に陥っていた。

 

 勇はベンチに座って、その演習を眺めていた。

とても本格的で活気のある演習なので、勇は驚いており、

目を離すことが出来ずにいた。

 

 那智「司令官、次の作戦は駆逐艦のみで行うと聞いたが」

 

 勇「え?」

 

 急に那智に話しかけられ、ハッとなる勇。

 

 那智「それは何故だ?

    戦力的に厳しいのではないか?」

 

 五十鈴「あら、分かっていないわね那智」

 

 那智の問いかけに勇が答えようとする前に、五十鈴が語りだした。

 

 五十鈴「現在、鎮守府近海にいるのは

     イ級型やロ旧型の駆逐艦タイプ、またはホ旧型の軽巡洋艦タイプ。

     数は多いけど、駆逐艦の子達で十分対応は可能だわ。」

 

 五十鈴は続いて語りだした。

 

 五十鈴「でも、それだけで提督はわざわざ駆逐艦のみの艦隊を組んだんじゃない。

     あたし達軽巡なら大丈夫かもしれないけど、

     重巡、戦艦級が出撃するとすぐに敵の本体がこちらの動きに察知してくる。

 

     この作戦は鎮守府近海の外にいる、

     敵の本体に悟られないよう水面下で行う必要があるの。

     そういう作戦なら速度もある駆逐艦が最適だわ。

 

     未だに埋められない戦力差がある現実、

     こちらは地道にやっていくしかないのよ。

 

     一つ一つ要所を取り戻して、敵を徐々に追いつめていく。

     …というところかしら、司令官?」

 

 自分の考えを全て見通した五十鈴に、勇は驚きを隠せなかった。

本当に見た目は普通の少女なのに、洞察力は本物だったからだ。 

 

 とても頼りがいがあり、嬉しく感じる勇。

 

 勇「…あぁ、その通りだ。

   まずは鎮守府海域から奴らを追い出す。

   駆逐艦隊、『彩花 艦隊』がそれを成す!」

 

 

 

                        第七話 「提督、艦隊が帰投しました!」 完

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