雷・吹雪・白露「彩花 艦隊??」
ここ、鎮守府で知らない人はいないとされている名所
「間宮の食堂」。
軽食から夕食もの、おつまみや酒、
スイーツまで用意されている艦隊たちの憩いの場なのだ。
そこに、演習が終わった駆逐艦たちが集まり、
全員でおやつタイムを楽しんでいる最中だった。
そんな中、水雷戦隊現時点エース『霞』が口を開いた。
霞「そうよ、彩花艦隊。
あの冴えない提督がアタシ達につけた名前ですって。」
雷「ちょっと、冴えないってのは一言余計でしょ!」
吹雪「そ、そうよ!
霞が思っているより提督はしっかりしてるもの!」
言葉に噛みついてきた二人を見て、面倒くさそうな顔をする霞。
霞「あーうるさいわ、ちょっと引っ込んでなさい。
…で、彩花 艦隊の旗艦は誰が担当するのかだけど」
ずいっと机の前に乗り出す霞。
全員の視線が集まる。
霞「当然、霞が旗艦で意義はないわよね?」
不敵な笑みで周りを見渡す。
意義は全く許さないようだ、しかし他の少女達も黙ってはいなかった。
??「おいおい、ランドセルしょってんのが旗艦だと
あたしらが恥ずかしいぜ」
まず異論を挟んだのは、吹雪と同じセーラー服を着た勝気な少女、『深雪』だった。
深雪の「ランドセル」という言葉にギロッという目で威嚇する霞。
深雪「この作戦には思いっきりのある奴が旗艦で丁度いいんだ、
ここはこの深雪さまで決まりだろ!」
自信満々のドヤ顔である。
これには同型艦の吹雪も苦笑いだった。
白露「あ、そういう意味ならあたしもいいよね!?
何たって一番なんだから!旗艦にふさわしくない!?」
白露もここぞとばかりに乗ってきた。
若葉「お前、一番って言いたいだけだろう」
白露「あちゃ、バレたかー」
若葉の突っ込みに、「てへへ」と舌を出しながら席に座る白露。
横では『陽炎』という少女が、少しうんざりした顔をして周りをみていた。
陽炎(この作戦は隠密作戦みたいなものなんだから、
ノーテンキが旗艦になれる訳ないでしょ…)
朧「?陽炎、どうかした?」
陽炎「いや、どの子も作戦内容分かってるのかな、と…」
陽炎が心配しているのを他所に、深雪と霞だけが一向に引かなかった。
机の上でだらけていた望月なんかは、興味がないのか寝てしまっている。
摩耶「おいお前らー。
今から提督が重大発表すっから聞けよー」
パンパンと二回手を叩きながら中に入ってくる摩耶。
続いて、勇と五十鈴、那智も中に入ってきた。
重大発表と聞き、一同に緊張が走る。
勇は今作戦の資料を持って、前に出る。
勇「お楽しみのところすまない、
みんな…彩花艦隊の選抜をこれから発表する」
吹雪は黙って勇の言葉を聞いていた。
他の少女も勇をじっと見つめている。
勇「吹雪」
吹雪「は、はい!」
勇「白露」
白露「よし来た!」
勇「雷」
雷「司令官のために頑張るわ!」
勇「陽炎」
陽炎「え…は、はい!」
勇「望月」
望月「えぇ”?!」
勇「旗艦は…『時雨』だ、やってくれるね?」
駆逐艦の少女たちは、一斉に時雨と呼ばれた少女を見る。
肩三つ編みの黒くスラッとした髪の大人しそうな時雨は驚く。
時雨「し、司令官?
…ぼ、僕が…旗艦だって?」
五十鈴「そうよ、時雨。
これは司令官だけじゃなく私や那智の推薦もあってのことよ」
周囲から戸惑いの声が上がる中、霞が勇たちの前に立ちふさがった。
霞「ちょっと待ちなさいよ!
何でこのあたしが旗艦じゃないのよ!
霞のほうが実力は上でしょ!」
霞に続き、深雪も前に出る。
深雪「おうおう、こいつが旗艦かどうかはどうでもいいが、
何で時雨が旗艦なんだよ!?」
勇に二人が詰め寄り抗議するが、間に摩耶が入り込んだ。
摩耶「それが分からないから、お前らは旗艦になれないんだよ」
霞・深雪「…!」
摩耶の一言で黙り込んでしまう二人。
吹雪と陽炎が二人をやんわりと悟し、後ろまで連れ出す。
勇がこっそりと摩耶に話しかける。
勇(…ちょっと厳しいんじゃないかな)
摩耶(こいつらはこれくらい言わないと引き下がらねーよ)
勇(…分かった、ありがとう)
那智「よし…選抜されたものは明日の明朝に出撃する。
各自準備しておくように」
駆逐艦全員「はい!!!」
霞・深雪(…)
勇たちが立ち去った後、霞は間宮から飛び出す。
深雪も、悔しそうな表情で後を追うように間宮から出て行った。
吹雪「深雪…、霞…」
その後姿を、吹雪たちは心配そうに見送った…
…そして、翌日になる…
第八話 「提督、旗艦は誰ですか?」 完