うーん…
どこここ?
きょろきょろ見回してみる。だが、俺の目に映ったのはただの白い壁だった。
「おや、起きたようだね。」
誰???
「君の疑問は分かる。ただ、その質問にはまだ答えないでおこう。面白いしね。」
エスパーかな?俺声発してないよね?
っていうか秘密にする理由「面白い」ってなんだよ!
抗議しようと俺は声を出す。
「グルルルル…」
あれ、なんか狼っぽい声しか出ない!?
そう思いながら自分の身体を見てみる。
ふさふさの尻尾、もさもさの全身の毛、顔を触ってみると鼻は前に突き出ていて、耳は顔の上の方にぴょこんと立っている。
うーん、なにこれ。
「すまないね、勝手ながら人間と狼の合成獣《キメラ》にさせてもらったよ。」
何勝手にやってるんですかねぇ…。
っていうかこれほぼ狼では?人間要素どこいった?
「とりあえずはその身体を好きなように動かしてくれたまえ。これからは私は実験データをとるだけであまり君に干渉しないようにするから。」
なんか気に食わないけど干渉してこないならいいや。
とりあえず状況を整理してみよう。
俺は元人間…だったハズ。
ハズというのはあまり自分の事が思い出せないからだ。合成獣にされた影響なのか知らないが、全然記憶がない。
でも、ほぼ実験動物になってるからそんなことはどうでもいい気がする。
とりあえず、自分の体を動かしてみる。
尻尾は自由に動かせた。触ってみるともふもふする。
もふもふもふもふ…。
これは大事にしないと!
そういえば今まで普通に二本足で立ってたけど四本足じゃないんだね。まぁ関係ないけど。
次!手足!手足には…鋭い爪があった。これ、どのくらい鋭いんだろう?見た目はすごいけどこの部屋に切れ味を試せるようなものがないからわからないなぁ…。
次!鼻とか!鼻はもう狼だね。嗅覚もすごいことになってる。ついでに聴覚もすげーな。どのくらいすごいかって言うと、2つで空間のことがほぼ把握できるぐらいすごい。でもこんなに感覚すごいと他の感覚犠牲になってそうで恐いなぁ…。
次!歯!口をあけて触ってみると爪同様鋭そうな歯がある。牙って言ったほうがいいかもしれない。っていうか、鏡用意してくれ。触って確かめるしかできないから…。
次!…次?これ以上人間から特別変わったような場所はないかな?
じゃあ身体能力を確認してみよう。
って言ってもこの部屋狭いからなぁ…。やれることは少なそうだなぁ…。
とりあえずジャ~ンプしてみる。
ゴツッ!
痛!…くない?
天井にぶつかっちゃったけどなんか全然いたくなかったな。
っていうかジャンプ力おかしくない?今の身長が大体170cmぐらいだとして、3mぐらいの天井に余裕で届いたのだが?狼ってこんなジャンプ力あったっけ?もはやこれ人間でも狼でもないよ?
はぁ…。もうなんか疲れた…。寝よう…。
夢かもしれないしなぁ…。あ、でも記憶ないから夢だったら困るかもしれない…。
なんて事を考えながら俺は意識を手放した。
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研究観察
本日、人間と狼の合成獣が目を覚ました。
とりあえず合成獣にしたことを教えると言葉を理解したようだった。
とりあえずは成功のようだ。
合成獣にするときに決して高くはないが自我が消滅することもある。そうなるとただの化物になってしまうため失敗だ。
あの合成獣は大丈夫そうだね。
だが、人の言葉は喋れないようだ。
合成獣は大抵の場合、合成したどちらかの動物の特徴がよく出る。
但し、人間の特徴が体に出ることは少ないため、このように獣の声しか出せないこともよくある。
今回は、体の特徴は狼がよく出て、二本足で立っていることから自我は人間のもののようだ。
だが、自我は体に引っ張られて変わることもあるので注意が必要だ。
私が体を動かして試してくれと言うと素直にその通りにし始めた。
やはり、筋肉がよく発達しているようだ。
合成した2つの種族の相性が良いと、このように身体が強くなることがある。人間と狼は相性が良いと言われているのでこれは想定内だ。
その後は、眠くなったのか寝てしまったようだ。うつ伏せで寝ているが舌を出しているのは無自覚なのだろうか。
次に目覚めた時が楽しみだ。