尊様SS   作:筆狐

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あけましておめでとうございます。
本当は年末に上げたかったのですが、データが吹っ飛びました……。
2023年もよろしくお願いします。


尊様と大掃除

「全く、こんなに埃をためて……ちゃんと小まめに掃除しないといかんよー?」

 

 そうあなたに声を掛けながら、はたきをぱたぱたさせる少女……のように見える女性。

 彼女の名は竜胆尊。

 鬼の国を治める女王その人……なのだが。

 

「ふんふんふーん♪」

 

 と、鼻歌を歌いながら掃除をしている本日の彼女は、とても王族に見えない装いをしていた。

 いつものように髪を纏めず、柔らかいウェーブがかった髪をおろし、珍しく現代風の洋服に身を包んでいる……脚はいつも通りむき出しだが。

 普段の言動もあって、今の彼女は頭に角が生えた綺麗な少女にしか見えなかった。

 

「なぁー?なーにさっきからじろじろ見とるんじゃー。はやく窓拭きやりなー?」

 

 と、普段とは違う彼女に見惚れていたら怒られてしまったあなた。

 慌てて自分に割り当てられた仕事を再開する。

 しかし、あなたに注意をする際の鬼の女王の声は、言葉の通りあきれているようで、どことなく楽しそうにも聞こえるものだった。

 

 

 時期は年末。

 世間が年の瀬を迎えようとしている中、あなたは仕事の忙しさにかまけて年末の大掃除に手を付けないでいた。

 そのことが、ひょんなことから鬼の女王の耳に入り……気が付いたらあなたの部屋掃除を手伝おう、と言う話になっていた。

 最初は一国の女王に自分の部屋の掃除なんて、と遠慮していたあなただったが、「わらわに部屋掃除されたくない理由でもあるの……?」と言われてしまっては何も言うことができなかったのである。

 

 

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 「ふぅー、働いた働いたー。」

 

 そう言いながら部屋に置いてあるソファーに座り込む鬼の女王。

 あなたはそんな彼女の前に、先程入れてきたありもののお茶と茶菓子になりそうなお菓子を置き、その隣に座る。

 

 無事、その日の内に部屋の掃除を終えたあなたたち。

 朝から続けていたこともあって、ようやく落ち着くことができた、と二人でお茶に口を付ける。

 

「はぁ……うまい……。」

 

 そう言って息を吐く鬼の女王。

 あなたも口を湿らす程度にお茶を含み、その温かさに心を落ち着ける。

 

「……。」

 

 言葉どころか音も少なく静かな中で、お互いの暖かさだけを感じる……そんなゆったりとした時間。

 最近まで忙しかったあなたにとって、こんな風に過ごすのは本当に久しぶりで……それは、恐らく隣の彼女にとっても。

 

「なぁ、お主。」

 

 声を掛けられ、隣に目を向ける。

 彼女は手元のカップに目をやらながら。

 

「来年も……よろしくな?」

 

 言葉少なに年末の挨拶を口にしながらこちらを向き、あなたに微笑みかける。

 そんな、あなたを見つめ……期待しているような瞳を見て。

 

 まだ先の見えない未来でも、彼女と一緒なら素敵な時が迎えられる。

 そんな風に感じながら、来年も楽しくも忙しくなりそうだと思う、あなたなのだった。

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