カオ転三次 転生者がガイア連合山梨支部を作る話   作:カオス転生三次っていいよね

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葬儀ルートはあれ以上がが思い付かないし


IFルート
俺が転生者の組織を作る話


 忙しく働いていたある日、ふっと思いついたことがあった。

(転生者を味方につけるの…私だとできなかったけど義孝だとできちゃうんじゃないかしら、もしかして。

 葵だと真面目過ぎるからあのノリは難しそうだし…忙しそうにしてるのは知ってるけれどこっちも急務だし、頼んでみようかしら)

 

 3轍目で一瞬くらりとぼやけた頭に霊薬を流し込んで気合を入れなおし、声を上げる。

 

「日高、義孝を呼んできて。

 二人だけで話すことがあるからその後は見張りもお願い」

「かしこまりました」

 

 しばらく待つと義孝が来た、煤や油が付いていたりするところを見ると今日も銃と硝煙の中で忙しくしてくれていたらしい、お疲れ様。

 

「ごめんね、急に呼び出して」

「気にするな、そんで何事だ?

 俺が忙しいの知ってるお前が呼ぶんだ、大事だろ。葵が居ない辺り荒事じゃなさそうだが」

「あぁ…その…ふぅぅ。

 私、最初転生者呼び集めようとして失敗したじゃない?

 いや葵と義孝来てくれたんだから大成功なんだけどさ、それはそれとして普通の転生者って今いないじゃない」

「あぁ、なるほど、才能とんでもないらしいからな、それで味方につけようって話か。

 …いや大丈夫か?お前正直トラウマになってるだろ」

 

 …やっぱり義孝には見抜かれていたようだ、はっきり言って私は普通の転生者を味方につけようとして荒らしのせいで大ゴケしたのがトラウマだ。

 私のやり方が拙かった、仕方ないと言い聞かせていてもどこかで信じきれないし、今もろくなもんじゃないのが来るだろうなぁ、忙しい義孝に任せるほどのことじゃないよ、後から才能あるの来ちゃうと先に居て必死で苦労してるのがぎくしゃくするよと辞めるための言い訳が頭の中でエンドレスに響いている。

 だが、それでも味方につけないといけないのだ、それを私は知っている。

 

「いえ、お願い。

 …確かに仲間にするって思い浮かべるとすごいきついけど、それでも才能格差を考えるとどうしてもいるの。

 お願い義孝、私には無理だったから」

「はぁ…分かった。

 お前がそうまでいうならどうにかしてみるさ、いろいろ手は借りるぞ」

「うん、いくらでも貸すからほんとお願いね。

 ガイア連合戦術研究長役はしばらく休んでいいから、私の密命で動いてるってことにしておく」

「…葵との異界周りだけはさせろよ」

 

 はぁぁっと疲れたようにため息をつく義孝に頭を下げ、頼み込む。

 いやほんとめんどくさいこと頼んでごめん。

 

 

 

――――――――――――――――――

 

 

 

 佳乃から転生者を味方につけろと言われた…正直、気が重い。

 いや、意義は理解している、佳乃いわく俺達は上澄みらしいが、それでも転生者の才能は現地の人間と比べ物にならないらしい。

 数と士気と鍛錬と装備と戦術で補えない絶対的な格の差、それはこれからさらに霊地の活性化が進み大物が出だせばどうしたって立ちふさがる問題である。

 それを防ぐために転生者がいる、なるほどわかりやすい。

 …だが一つ問題がある。

 

「どんだけ選りすぐっても令和の人間がガイア連合に馴染めるわけがない…無理やり中に入れても反発しあうだけだ。

 …まして危機感の薄いやつらもいずれ引き込むとなると軽い組織にしないと逃げられる。

 ガイア連合に仕事や装備を回して貰い、訓練も受けさせてもらう紐付きの別の組織としてまとめる必要がある。

 …………そしてそれを纏めるのは転生者でガイア連合とつながりが深く佳乃の意のままに動き信頼もできる実力者でないといけない。

 っくそ!!」

 

 詰まる所どう足掻いても俺しかいなかった、別組織として動くなら俺たち3人の私室で会う事も出来なくなるだろう、葵や佳乃がどう思おうと組織としてのけじめとしてそうせざる負えない。

 プライベートで会うというのも難しいだろう、葵にしろ佳乃にしろ人間として恐ろしく強靭な覚醒者の中でも突き抜けた天才が霊薬漬けになってやっと持つ程働いている、開けられる時間なんて碌にない。

 はっきり言って転生者を集める方策は腹案もあるし佳乃の力を大っぴらに借りていいというならどうとでもなるだろう。

 だがその先にあるのは確実な離別だ。

 そしてやらなかったとしたらその先にあるのは破滅。

 

 がりがりと頭を掻きむしる両手が止まらない、佳乃と葵と離れる、それは嫌だ。

 

 心底、嫌だ。

 

 だが離れなければ待っているのは転生者を取り込めず実力者不足で破綻する先のない未来。

 ガイア連合が発展していけば下からの突き上げにいつまでも抗い切れるものではない以上在野の天才の取り込みは始まるだろう、その時になれば待っているのは転生者との決裂だ、早めに決断する必要がある。

 そして佳乃は今やるといった…やってくれと俺に頼んだ。

 これ以上戦術を研究しているから、これで戦死者が減るからと仕事に没頭して目を逸らすことはできない。

 

 佳乃と葵を巻き込んでの破滅か、俺一人が別の組織に行くか…答えなど決まっている。

 理性もそれを支持している、感情もあいつらの不幸など認めないと言う。

 それでも必死で目を逸らし、決断を先延ばしにして、出来るならばなかったことにしたいくらい決断することは辛かった。

 

「ガイア連合に転生者を入れるのは…あぁクソ、俺は何を言っている。

 現状はあくまでも日埜神社の跡取りという地方の天才が発起人になって地方の霊能者を束ねたと言う分かりやすい形があるからあぁも躊躇いなく集まってくるし術と言う財産を捧げてくれているんだ。

 訳の分からん一般人の天才がわらわらいる謎の組織になってしまえば躊躇いが起こる、メシア教の事を考えれば日本を纏めるのに少しも足を緩めている暇はないだろう。

 俺と佳乃達が個人的に付き合いが持てるほどに組織同士を深く結ぶ…無いな、不協和音を起こさないために切り分けるという元の意味がなくなる。

 ………俺以外に見込みのあるやつに任せる………そんな奴がどこにいる!!」

 

 我ながらみっともなく感情的にダァンと机に拳を叩き落とす。

 分かっている、分かっている…だがどうにか済ませられないかと考えてしまう。

 

「………戦術構築については最低限の形は出来た、老人どもに任せて佳乃が方向性の調整をすればどうにかなる程度には、葵が指揮を執る中に後方組を随伴させれば良いだろう。

 ……必要なのはまず佳乃が使っていた転生者以外を弾くと言う術式、可能ならば精神が揺れ動いている人間だけを絞れれば尚良しか、女神転生の世界に転生した、不可解事件に不安感を持っている、そのあたりの動機があるやつから取り込んである程度固めなければコケるだけだ。

 …動機がないやつに向けての飴も今の内から用意しなければどうにもならんだろうな、佳乃が言っていたのは式…女に男に飼い犬か、情を注がせ続けるには良いだろうが、ノウハウがない。

 生身のを回せばどう足掻いても陰謀の生臭みが出る、多用はできない……となると娯楽か?

 修行用に第六感を経由して恐ろしいまでのリアリティで刺激を与える幻覚はあったな、あれを弄るか」

 

 拳を叩き下ろした机に顔をつけ、ぶつぶつと口先だけで考えを纏めていく。

 頭の中ではぐるぐると自分が葵と佳乃から離れなくていい理由を探しながら。

 

(日高の…いや、あいつは流されるだけだ、今は霊能者の家に生まれてそのままガイア連合にいるからでしかない。前世をある程度共有できる仲間と会えばそちらに惹かれて終いだろう。

 紫藤…腕はともかく性根が一兵卒でありたがりすぎる、変な運用はしない方が良い。

 武東は向いているかもしれんが野心が強すぎるしそれを表に出し過ぎる、引かれるだろうな。

 佳苗は…いや、あいつは諏訪鎮守の役目だ、外すわけにもいかない。

 山木、ただの技術者に期待する役割ではない)

「掲示板経由である程度種を蒔くとして複数のPCや回線を使った方が良いな、そっちに特化した転生者も居るだろう、自演がばれれば一気に引かれる。

 式を弄って遠隔で命令した内容を打ち込むようにさせるか、他の人間を介在するわけにもいかん。

 釣るとするなら材料に悪魔の写真でも確保しておくべきだな、ピクシー、コボルト、カハクに…ポルターガイストは映らん、アーシーズ辺りで緩めてからリャナンシー辺りの印象的な人外を叩き込むか。

 事後現場や犯行現場、ありえない獣の爪痕に妙な死体…痕跡でリアリティを出せるやつも確保しておくか。

 集めた後の集合場所は…寂れていても失望を買うしガイア連合の敷地や施設を使えば下部組織の印象が強まる。

 適当な霊地にでかい屋敷でも建てるとするかな」

 

 

 

――――――――――――――

 

 

 

 

 合同訓練も一段落付き、夜にお兄さんと休みを兼ねて異界潰し巡りをしていた時、ふっと軽く話しかけて来た。

 

「なぁ、葵。

 もし俺が、しばらく別の組織行って別れることになるかもしれないってなったらどう思う」

「急だね、何かのたとえ話?ん~、じゃあとりあえずそれはお兄さんがやるべきだって思ったから?」

「あぁ…まぁ、そうだな。

 もちろん別れてる間は会えないし、会っても話せないし、結構な間別れることになる」

 

 1年半の付き合いだけれども、こんなに歯切れ悪そうで気まずそうなお兄さんの顔は初めて見た。

 たとえ話なんて誤魔化してるが、多分これは本当にそうせざるを得ないことになったのだろう。

 なら僕がやることは

 

「お兄さんがやるべきだって思ったなら送り出すよ、寂しいし、つらいけれども。

 いつでも帰って来てくれていいし、迎え入れられるように準備して送り出して、別々の道行ってるお兄さんを信じている。

 だから、安心して良いんだよ?

 離れてるからって無くなっちゃうくらいの繋がりじゃないんだから」

 

「………はは、そんな真面目に答えるなよ、例え話だっての」

 

 くしゃっとした力の入ってない笑顔で笑い飛ばしたお兄さんが話を振り切るように先行して、ずんずんと進む。

 …ぼそりとこぼした感謝の言葉は、聞かなかったことにした方が良いんだろう。




前みたいに毎日投稿してるときついし質が落ちると分かったのでこんどは不定期になります、週2くらいは書けると思うので長い目で見てください

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