カオ転三次 転生者がガイア連合山梨支部を作る話 作:カオス転生三次っていいよね
「山梨県H市・・・ここか」
怪しげな掲示板に乗せられていた、おそらく俺と同じような転生者のスレ主がオフ会で集まろうとしていた神社へ行こうとさっさと列車に飛び乗って飛び出した。
自由に動けるように普段から不良していてよかったと思う、二度目の家族に情が沸きすぎない様にと始めたことだが学校をさぼろうがどこに行こうが諦められているというのはこういう時便利でいい。
しかし・・・なんとも言えない場所だ、良くも悪くも悪魔どもと関わってきたおかげでそういう雰囲気は掴めるようになってきたが、そもそもの流れる力が大分少ない空気がある。
周りの土地は富士山始めとした山々に囲まれて大層にぎやかなことになっていたが・・・ここはぽっかりと穴のようになっている。
悪魔だの異界だのが発生するような場所というのは霊地として扱われ、根付いた霊能者がきっちり管理しているというのはこっそりと隠れて観察してきて理解した。重要な霊地には相応の歴史も持った家が充てられるだろうし弱い所ならばそれもまた相応の家を当てるだろう・・・つまるところ
「あまり期待しない方がよさそうだなこれは」
ハズレを引いたらしい、まぁ仲間の一人も見つかればそれでいいのだと思って諦めるしかないだろう。
少しばかり重くなった足取りを進めていると、掲示板の前で爺さんと子供が話している。見た所中学くらいか?一体なんでまたこんな時間に、学校あるだろうに。
「まぁ私としては持ってってくれるんならそれも良いけどねぇ、そんなもんどうしようっていうんだい?」
「神社までの地図にします、行ってみたかったんですよ、日埜神社に」
「物好きだねぇ・・・あんな寂れた神社に」
どうやら俺と目的地は一緒らしいが・・・一般人か?都合が悪いな、まぁ向こうで何か考えてくれてると良いんだが・・・
しかし一般人目線でも寂れていると来たか、本気で外れかこれは。
「寂れているから行ってみようかと、廃墟とか好きなんですよ」
「ハハハ、なるほどねぇ。あぁ、あそこの娘さんには気を付けてね、そのチラシ見てもらえたらわかるだろうが・・・
全く境内の掃除もせずにこんな怪しげな遊びを、まぁツアーだとかでお金稼ぎたいってのもわからなくはないんだけどねぇ、お参りに行く人もほとんどいなくなっちゃったし、けれどねぇ、だからこそ」
愚痴を垂れ流しだした爺さんの言葉を聞き流し、チラシとやらを盗み見る・・・女神が転生する、転生者よ集え、異能に覚醒しよう、世界を襲う大破壊に備えて。
見れば明らかに俺のような存在向けだ、しかも戦う思考を持っている。一応一人仲間ができそうだって事で喜ぶべきなのか、唯一のあてがこんなカルトもどきなことにがっくり来るべきなのか・・・
チラシを見ていたことに気づいたのか、子供がこっちを・・・・・・!?
(おい・・・あの目、いや、一般人相手だから抑えていたのか、やべぇな・・・俺よりは確実に強い)
アタリだ、コイツがいるだけで大当たりだ。神社なんぞに行かずにこいつだけ連れていきたいくらいだ。
口パクで駅の外で待つとだけ伝えてサッと外に出る、爺さんに見つかるとヤバそうだ。
温くて甘みが人工的でやたら口に残る・・・如何にも昔の自販機のココアだな・・・
ずるずると現代のモノを思い出すと悲しくなってくるココアを啜りつつ待っているとすぐにあの子供が出て来た。
どうやら向こうもこっちに話があるらしい、不良としてかなりアレな姿をしているというのにずんずんとこちらに近づいてくる。
「あなたも?」
チラシをこちらに見せてくる・・・指先は転生者の所に合わせて・・・やはりか
「あぁ、よろしく」
指先から魔力で転生者同士と字を書いて本意を伝える・・・伝わったらしい
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ざくざくと荒れ果てて石段にも欠けが多く、コケが生えた上に落ち葉が積もってぬるついて滑る寂れた神社道を歩きつつ転生者だというお兄さんと話す。
・・・それにしてもこの人はでだなぁ、金髪でピアスもしてて、これが渋谷系?
「はぁ!?掲示板ってさっきの駅の掲示板の方かよ!どんな巡り合わせだ」
「僕はむしろインターネットの掲示板なんて方法で探してたことに驚いたのだけれど・・・よくそれで信じたね?」
「怪しげな術の痕跡があったからな、マジモンっぽいのも居たから無駄にはならんだろうと思った。一から探す手立ても無いからなぁ、藁にも縋るってやつだ」
派手な割に内容はきっちりしているし、考えているのはあの時僕が襲われたような悪魔への対策・・・見た目と違って真面目だなぁこの人。
僕も家族を失ってからは片っ端から悪魔を狩りながらホームレス小学生してたが、その僕から見てもそれなりに強いし実践経験も多そう。
小技も豊富で頭も回すし組織力がいるってところまで頭を回してる、ほんと意外な人だ。
ちまちまと話しながら歩いているとすぐに神社が見えてくるが・・・これはひどい
「・・・こりゃ期待しない方が良さそうだな・・・」
「まぁ・・・うん」
蔦が絡みまくった廃墟一歩手前と言わんばかりの小さな本殿、水の枯れたコケだらけの手水場、欠けた狛犬・・・社務所は家を兼ねているんだろうが、表に傘を出しっぱなしで放置してるのはどうかと思う。
まぁとりあえず行ってみるが・・・人いるのかなこれ、宣伝で集めても逃げるんじゃないかなこれ。
お兄さんがぽちぽちとインターホンを押すが・・・鳴ってるのかなこれ、僕は人並み外れて耳が良くなったはずなのに何も聞こえない。
「・・・鳴ってねぇなこれ、上のランプも反応してねぇ・・・ボロボロだなこりゃ・・・」
・・・これほんとに人いるのかな、からかわれた?いやおじいさん曰く変人の娘さんがいるらしいし居るには居るんだろう。
お兄さんはとりあえず押しまくってみることにしたようだ、まぁもしかしたら鳴るかもしれないしね。
「おーい、来てやったぞー、オフ会とやらに。とっとと出てこー」「うるっさいわねキンコンキンコン!!」
ばしゃぁんと派手な音とともに引き戸が開く・・・あ、ガムテ張ってたガラス落ちた。
ぎちりと不機嫌そうな隈の浮いた目、手入れしてませんとばかりにぼっさぼさの髪・・・それでも肌艶が妙に良いし力を感じる、まさかこの人が。
「苦情なら受け付けないわよ!あのチラシは必要なの、あと父さんと母さんはしばらくいないからね!開店休業!わかったらとっとと・・・あんたたち、誰?」
「お前がチラシと掲示板で呼んだお仲間だよ・・・帰っていいか?」
その後の大喜びとみっともないくらいの勢いでの引き留めは名誉のために伏せておくことにする。
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初対面からやらかしてしまったが・・・ついに転生者が来た!掲示板もチラシも無駄じゃなかった・・・
前世から転生者の才能は分かっている、実際目の前にいるでかい不良っぽい金髪ピアスも、ちっこい美少年も、覚醒して現地勢からは若手のホープとして養子に誘われまくっている私が全く勝てる気も勝とうという気もしないバケモノだ。前世基準でいえばヒラだけど。
とりあえず来歴から何から全部ぶちまけて協力要請する腹見せ戦略で行こう、てか私それしかできない、ただの元事務職兼掲示板管理人その5だし。
全部話し終わるとぐりぐりと頭痛をこらえるような金髪ピアスと宇宙猫美少年がいた。
そりゃそうなるよね!!
「あー・・・つまりだ、まず女神転生ごちゃまぜだと、この世界は」
「えぇ、そうね、メシア教会くらいは見たでしょ、あいつら無駄に勢力大きいし。分かってたんじゃない?」
「信じたくはなかったがな・・・それで世界は数年だか数十年だか後に盛大に破滅すると・・・」
「前世の記憶はちょっと曖昧だけれども、海外は相当悲惨なことになってたし日本もミサイル撃退パーティーが連日連夜ってくらいの事にはなってたわ。
その始まりの全世界的霊地同時活性化は今世でも起こってるし地方は破綻しだしてる、起こるでしょうね、また」
「それでこれが一番わからないが・・・あー、アンタは同じような世界で一回目を経験して二回目だと・・・マジかよオイ」
「えぇ、マジよ、だからこそあんな手使って集めたの、前世では成功してたからね・・・まぁ関わった人がすごかったからでしょうけれど、私がやるとこれだし・・・」
ずぅんと頭を抱える私と金髪ピアス・・・なんか一番気持ち通じた気がする、いや多分気のせいだ。
二人仲良く沈んでいるとメガテンもあんまり知らなかったっぽい美少年が声を出す、ごめんたぶんめっちゃ気まずかったでしょ君。
「えぇっと、話はよく分からなかったけれども、なるべく多くの人を助けるために動くって事で・・・良いのかな?」
「えぇ、まぁね」
実際問題そっちの方が良い、自分だけ生き残るぜ―!とかやるよりは無私の心っぽく動いて周囲の協力集めまくった方が生き残りやすい。
・・・まぁそういう生臭いこと言うと嫌われそうだから言わないけど、純粋そうだし。
「それで当面は悪魔が本拠地にしている異界とかそのなりかけを徹底的に潰していく?」
「そうそう、うちは元々富士近辺の霊地からぽっかり空いた空白地帯に逃げ込んできた悪魔対応しつつ派遣やってた零細だからあんまり大きなのはないけどね。
けどそんなのでも大きい所の対応能力は割かれてるし、一般人が入ったら死ぬ。潰しておくに越したことは無いでしょ。
一般覚醒者であるアンタら二人を連れ回すのは良い顔されないかもしれないけれど・・・実力主義で天才に相応しい仕事与えてるだけって事で押し通すわ」
あとそうやって宣伝すればそれなりに集まってくるだろうし・・・転生者釣りだすのは失敗した以上、現地勢力取り込んでデカくしていくしかないだろう。
若手にヤバイ現状を憂いてこのままでいいのかって意識持ってるのがかなりいることは実地で関わって知ってる。
実力主義掲げて天才三人がとんでもない勢いで小さいとはいえ片っ端から大量に異界を潰してる、それも古いやり方捨てて明るい未来のビジョンも(実際知ってるから)あるとなればそれなりに惹かれるのはいるはず。
「なら、僕は参加する。普通の家族を守れるんなら・・・戦うよ」
「っっっシャア!!!!!ありがとう!」
思わずガッツポーズを取ってしまうが美少年くんに引かれてはいない様だ、良かったぁ!!
・・・まぁ金髪ピアスは引いてるんだけれど、その金髪ピアスもがりがりと頭を掻いてため息をつきつつ返事を寄越す。
「異界巡りができるんなら文句はない、アテにしていいんだな?」
「私の占術なめんじゃないわよ、異界発生外したことは無いわ」
まぁ感知できなかったことはあるけど・・・そこは秘密にしておこう。
「ならよろしく・・・とりあえずはな」
「まずはそれでいいわ。ありがとう!ありがとう!」
これで転生者の仲間ができた、しかも気配から戦闘向け!何歩前進できたか考えるのが怖いくらいだ、夢じゃないわよねこれ!!
「っと、今更だが言ってなかったな、俺は九条義孝、覚醒者だ。
感知と霊視はそれなりに自信がある、戦闘もそこそこにできる、武器はなんでも使うスタイルでスキルはアギとブフ持ちだ」
「僕は源葵・・・よくわからないけど変身して戦える、刀使って戦うなら結構自信はあるかな」
思った通り戦闘向け!しかもゴリゴリ前衛と中衛・・・回復持ちその他諸々後方支援りせちー枠の私にピッタリじゃない!
「私は日埜佳乃占いからナビに移動中の回復、呪術防御、戦闘以外ならなんでもござれよ、よろしく」
ぎゅっと手を重ねて仲間としてきっちり誓う・・・くぅぅ、やっと、組織ができる!
「それで、名前はなんかあるのか?前のそのデカい転生者の組織にだってあったんだろ?」
「ん?えぇ、名前はもう決まってるわ」
ヤバイ名前だし反発されるかもしれない、けれども私にはあれ以外もうしっくりこないのだ、だからここはごり押し手でも決める。
「「どんな名前」だ?」
重なった声で問いかけてくる二人に思いっきり胸を張って名乗ってやる、前世日本をほとんど制覇していたその組織の名前を。
「今日から私たちは、ガイア連合山梨支部よ!!!」
反対されたけど押し通してやった、はっはっは!!
ぶっちゃけ佳乃はやっぱり凡人では無理なのかってバリバリ絶望してたので願いが叶ってテンションが振り切れました
義孝はとりあえず何かをしなければ、が形になってくれてちょっと張り切ってます
葵は協力してみんなを守ることができる仲間ができたことに普通に喜んでます
つまり3人とも割とはしゃいでまふ