カオ転三次 転生者がガイア連合山梨支部を作る話   作:カオス転生三次っていいよね

5 / 15
組織内での佳乃達

「六道修行を行いたく」

「・・・えぇ、かまわないわ。資格は満たしているようだし」

 

 転生者は多少は現地の伝手とかスカウトとかで集まりだしたがあまり集まっていないし、現地人でも強くなる方法、才能の差をどうにかする修行を編み出す必要があった・・・初めの方から本気で協力してくれた人たちを粗末にしたくないのもある。

 だからショタオジの編み出した修行法を元に才能がない人間を才能がある人間並みにできる無茶を作ってみたのだ、まぁレベル限界が20まで届くとか30まで届くとかそのレベルだけれども(私が自分でやってみて途中でダウンしたが、実験体志願した武田の跡取り君は普通に超えてそこそこ強くなってた)

 まぁ当然のように無理無茶無謀も良いとこなやっばい修行でありそれは大規模に広めている。

 それでも後を絶たない辺り現地勢のガンギマリっぷりは恐ろしい・・・

 

 修行法の中身は単純である、難易度は地獄だけれども。

 丸7日五感を断ってそのうち6日はそれぞれ仏教の六道に即した苦痛を与える・・・尚当然食事も何もなく水だけは無理やり流し込むが、七日絶食なのでそれができない人間はまず足切りである。

 一日目、地獄道の行。文字道理地獄の責め苦をイメージして作られた苦痛を3時間で切り替えながら与える。ここだけ切り取った簡易版は八大地獄修行、もしくは八寒地獄も足して十六大地獄修行としてまた別にやっている。

 二日目、餓鬼道の行。飢え、乾き、食べられる感覚などを延々と与える。

 三日目、畜生道の行。あらゆる獣として食われ、食う感覚を与え続ける。人間としての感覚を失ったり正気を失いやすいため此処で止まるのも多い・・・と言うか私が止まった。

 四日目、修羅道の行。剣、槍、弓、鞭、拳打、銃撃、砲撃、考えられる限りあらゆる人間の攻撃手段による苦痛を与えられる。武道家も兼ねてる霊能者面々がすごい数意見出してくれた、怖い。

 五日目、人間道の行。生苦、老苦、病苦、死苦、それぞれの四苦を精神に想起させる。・・・老人方の協力によって実現したけど感じたくないなぁ・・・うん。

 六日目、天道の行。天人五衰になぞらえて修行によって手に入れた力を失っていく幻覚を与える。

 七日目、無。丸一日異能者の持つ第六感すらも封じて何もしない。ある意味で最もきついかもしれない。

 

 我ながらよくこんなものを考えたものだ・・・

 しかし効果は確かだ、霊的な素質という本来変えようもないものを、疑似的な生まれ変わりを経て向上させることができる。

 連合の力不足を嘆く現地勢からはそれはもう狂喜乱舞を持って迎えられ、私の手が修行のために一時塞がることになってしまったほどである。

 

「安村、監視役をお願い」

「ははっ!」

 

 ぐるぐると術式を刻んだ部屋に修行を願い出た霊能者を縛り付け、血を小瓶に一本ほど取った後、術式を刻んだ針を霊的な力の通り道に差し込み封じる。

 最後に目に呪布を巻き額に呪符を張り付けて、小瓶の血を油に混ぜて灯火を点ける。

 この火が細くなるか揺らぐと魂に危険が及びだしているというわけだ、もし危険な状態になれば監視役が即座に呪符を剝がし修行を中断する。

 はっきり言って一時も気を緩めず延々見ている監視役の方もきつい仕事だし失敗したら洒落にならないから信頼のおける実力者にしか任せられないというコスト高い修行である・・・途中で交代するとそれもゆらぎになって修行のノイズになるし。

 

 とりあえず修行の類を終えたら後は片っ端から報告書に目を通す。

 それぞれの家の当主や次期当主みたいな大物も精査してくれているので精度は高いし、権限もかなり渡しているので少ないが、逆に言えばそれだけの重要事項が来ているというわけで気が抜けない。

 

「えーっと・・・日本住血吸虫症が悪魔化してそれを主にした異界発生・・・はぁ!?ミヤイリガイは絶滅させた筈でしょ!?

 ちょ、即病毒退散持ち・・・後炎術と氷術使えるのも用意して!後で占術も使ってから改めて指示出す!」

 

 ばっと持ち回りでやらせている秘書役に指示を出し、次の書類に目を通す。

 とりあえず退治した後で公衆衛生課に伝手持ってるのから改めて色々対策取らせておきましょう。

 

「それで次は・・・静岡の方からの救援要請かぁ。

 ガイア連合加入も含めてって事だけれどなんで私のとこまで・・・ってこれほんと?修善寺の大異界こっちに寄越すって。

 ・・・あぁ、うち義経居るものね、そりゃ回すか。

 源氏の神降ろしに敬意払ってって感じだしうちに来させる形の方が良いか、会談するからセッティングよろしく」

 

 公式武力チートとしてありがたがってたけれども・・・こういう余禄もあるのかぁ、人員の人格見極めもやってもらってるしほんとありがとう葵。

 

「次・・・長野の方からもかぁ・・・

 諏訪湖中心に無茶苦茶に活性化してきていい加減限界と・・・これもう完全にうち取り込む形になるのかしら?

 いえ、ミシャクジ様鎮める諏訪大社だけは切り離しておいた方が良いか・・・援助はするにしても下手に介入するより独立してもらってた方が安心ね、あれはまだ手に負えない」

 

 あぁもう・・・仕事が・・・仕事が多い・・・葵と義孝の二人つれて走り回りたい・・・

 あぁ、大異界突入付いて行きましょう、疎かになっている私自身の修行もできるし・・・そうだ、そうしましょう・・・

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

 ダン、ダンと音を立てて銃弾が悪魔を模した的の頭に突き刺さり、一拍置いて燃え、凍り、雷が走る。

 

「ふむ・・・これも良いが、銃撃を反射や無効化、吸収する相手もいるだろう。

 弾が当たる前に魔法効果を発動できるようにはならないか?」

「申し訳ありません義孝殿、現在のわれわれの技術では量産するとなるとそこまでしか・・・

 しかし、これでも随分と革新的な技術です、まずはこの属性銃の扱いを慣らすところから始めるべきでは?」

「それも確かか、すまんな、焦りすぎた」

「いえ、正しい危機感であるかと」

 

 話しつつも義孝がリボルバー型の銃を撃ち、弾を籠め、また撃つ。

 その度に数十あり本物のように動く式神の応用で動かされる的が風に刻まれ、核熱に焼かれ、毒に蝕まれ呪いで朽ちる、一度たりとも外さぬ精度は銃に触れて数か月とは思えない。

 

 銃、弾、どちらもガイア連合に合流した霊能者と地元工場の合力によって作り上げられた最新式の量産式霊装試作品である。

 はっきり言って技術班の目から見れば十二分に強力と思える仕上がりだが、義孝の目にはどこか不満があるのを感じ取っていた。

 

「恐れながらお聞きしたく、義孝殿は何をお求めでありましょう?

 盟主の側近でありガイア連合三巨頭の一角である貴男の考えを私に明かしてはくれませぬか?」

 

 その言葉に義孝も銃を撃つ手を止め、視線を合わせると苦笑する。

 

「それほど仰々しくなくても良いんだがな・・・

 まぁ単純な話だ、俺が考えているのはいずれ自衛隊と協力したらという時のことだ。

 今の銃は良いが、リボルバー式以外では出来るか?と考えるとどうしてもな」

「確かに現在は弾薬までを術式の構成に含めることで小型化している為自動式小銃などは難しいでしょう。

 それは私たちで改良するべき課題としても・・・自衛隊との協力ですと?

 彼らは・・・いえ、失礼をしました」

「良い、確かに今の自衛隊を見れば対霊組織へと変えるのは困難だろうからな」

 

 戦後、メシア教の介入により日本の霊的機構は盛大に弱体化した。

 中でも大きいのが国の霊的守護が解体されたことであろう、ヤタガラス、葛葉、葛葉四天王・・・国家を守り続けた霊的国防機関は解体され、名高き術師は軒並み自害を強要された。

 現在最終霊的国防機関と位置づけられる根願寺の実態はお粗末なものだ。

 術者の実力はメシア教が放置しても特に問題ないと判断した最低限でしかなく、メシア教の顔色を窺い大きな動きもできず、帝都守護のみに汲々としている。

 

 ガイア連合構成員からすれば根願寺を廃してガイア連合が最終霊的国防機関としての地位を襲うのは自然の事としても、政府の力を使い霊的国防を含む軍を新設するのではなく自衛隊と言うかの大国の意向により全く霊的な知識を排除して作られた軍と協力するというのは些か非効率に思えた。

 なにせ彼らからしてみれば霊的な防護など怪しげなものでしかなく、下手をすれば使命感を持ってガイア連合という国家に入り込んだカルト宗教の排除にすら動くであろう。

 

「だが、彼らが積み重ねた霊能の一切関わらない戦闘技能と、救助技能、なにより護国への使命感は侮っていいものではない。

 確かに恐ろしく困難だろうが、その困難を乗り越えてでも味方にするべきだ。少なくとも俺はそう考えている」

 

 義孝の言に技術班班長は頭を下げる。

「義孝殿がそのようにお考えであるというならば私共はそれに備えて改良を進めることとしましょう。

 お聞かせいただきありがとうございました」

「あぁ、こちらこそよろしく頼む」

 

 

―――――――――――――――――――

 

 

 

 ヨシツネの姿へ変わった葵がそこかしこで組み手をしている中をじっくりと見つつ、時折木刀で攻撃もして警戒の薄れた所や隙のできてしまっている部分を指摘する。

 二対一、三対一、三体二、はたまた五対五、様々な組み合わせで常人を超えた身体能力を持つ霊能者が、医療の常識を超えた治癒を前提に一切の禁忌を廃して本気で組み合う姿は恐ろしいまでの迫力があった。

 

「そこ、仲間の援護できる範囲から離れているときにあまり隙を晒すものではない、死ぬぞ」

「はっ!ご指導ありがとうございます!」

 

 パァンと一切の容赦のない殴打に蚯蚓腫れのような痛々しい跡が残るが、叩かれた側の構成員はかの義経公に指導してもらえたという喜びに満ち溢れている、見た目が多少悍ましい。

 そのようなことを何度か繰り返し、あるところで葵の目が細まる。

 

 すたすたと、組手に励み今にも正拳を相手に叩き込まんとするガイア連合構成員の足を勢いよく払い、木刀で霊的なツボを撃ち抜きしばらく動けぬ体にする。

 

「お主、力に酔った邪念が見えたぞ。

 そこの、担ぎ出して統括の武田の所に連れていけ」

「ははぁ!!」

 

 ざざっと跪き、目の前でいきなり組手相手が倒されたというのに反発の一つも見せずに担ぎ、道場から走り出る。

 それもそのはず、この鍛錬は実力向上とともに、急速に拡大し、強化されたガイア連合の精神性を引き締める目的で行われており、それは皆に伝えられている。

 源義経という高名な武将を宿す葵の目から見て怪しげな色を宿す者は、即座にあらゆる力を封じ、呪術によりあらゆる仕事にかかわることを封じられたうえで自らの地元に返され守るべきものを再確認した後、八大地獄修行を経て雑念を落とし戦列に戻ることとなっているのだ。

 

 その日、担ぎ出されることとなった人数はガイア連合数千の内二十八であった。

 

 

 

――――――――――――――――――

 

 

「んあぁぁぁぁぁぁ、つかれたぁぁぁぁぁ!!!」

「敬ってくれるのはいいが・・・さすがに気疲れがひどいな」

「・・・・・・・・」

 

 夜、佳乃、義孝、葵の三人の私室で気の抜けた声が響く。

 三人が三人とも思いっきりだらけた姿をしており、葵に至ってはよほど気疲れしたのか突っ伏したままうにうにとうごめいている。

 

 ガイア連合はもはや山梨をほぼ勢力圏に取り込み、静岡長野もかなりの家が参加、もしくは協力を表明している。

 つまるところ順調に拡大しているわけだが・・・そこで問題があった。

 明確な未来図を描く盟主であり、発起人でもある佳乃。

 民間からの覚醒者でありながら、すでにガイア連合の掲げる近代武器と霊能を融合した戦い方の明確な案を持ち、実践してもいる義孝。

 数多くの異界を先陣切って叩きつぶした最高戦力であり、名高き九朗判官義経をその身に宿す葵。

 当然の如く全員が恐ろしい勢いで敬われていた、彼ら自身がそれにふさわしい態度以外を取れぬほどに。

 

 三人ともが元々一般の出であり、そうした態度に慣れていない。

 しかしやらねばという事もわかっている生真面目さを持ってもいたため、それはもう恐ろしい勢いで消耗していた。

 

「あーもう、葵ぃ・・・だきしめさせてぇぇぇ・・・」

 がばりと抱きつぶしにかかった佳乃を袖にしてひらりと転がり義孝の背中を取る。

 じりじりと抱きつぶさんと迫る佳乃と義孝を盾に逃げる葵、二人に挟まれてどうすればいいのだと困惑する義孝の間にしばらく緊迫した空気が流れ・・・一拍置いて全員が笑い出す。

 

「ふふふ、おかしい」

「ふっはは、そうだな、これくらいが俺たちの相応ってものだ」

「あーバカみたい、これが地方の希望、ガイア連合三巨頭様よ?っぷふ」

 

 笑いあい、気も休まったところでそれぞれが寝る準備をする、誰も何も言わずとも連携して葵が布団を敷き、義孝が枕を取り出し、佳乃が香を焚き、寝具が整い自分以外が布団に入ったと見るや明かりを落とす。

 

「おやすみなさい、二人とも」

「うん、おやすみ」

「くあ・・・それじゃ寝るか」




佳乃アナライズ→準備はいるが才能限界とかまでガッツリ見える精密検査
義孝アナライズ→普通の戦闘用アナライズ、弱点とスキル
葵アナライズ→大雑把な実力と物理耐性、あとアライアンス、ダーク、もしくはダーク寄りニュートラルかを見抜く
あと何人か修行組に転生者混じってたりします

ちなみに佳乃は93、義孝は89葵は99が才能限界ですね、限界がそのままレベルアップ速度にも関わってくる(才能あればあるほど早い)ので下を見れば5とかな現地人との差はヤバいです

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。