笑えない少年のヒーローアカデミア   作:兵庫人

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第十二話

「デク君! 皆、雷田君のところに向かっているよ! ウチらも行かんでいいの!?」

 

「ちょっと待って! 何だか様子がおかしい!」

 

 一年A組の女生徒、麗日お茶子がチームを組んだ緑色の髪をしたそばかす顔の男子生徒、緑谷出久に話しかけると、何か違和感を感じた緑谷は光仙の方を注意深く観察する。

 

 見れば光仙のハチマキ目当てに向かう騎馬は全体の半分以下で、全てがA組の生徒で構成された騎馬であった。それに対してB組の生徒は光仙達に近づこうとせず、何かに警戒しているように見えた。

 

「よく分からないけど、ここは下手に近づかないで警戒を……!?」

 

Alaska(アラスカ) SHOT」

 

『『……………!?』』

 

 緑谷がそこまで言ったところで光仙の両手から電撃が放たれ、光仙に向かった騎馬の全てを感電させる。

 

「塩崎、頼む」

 

「分かりました」

 

 光仙が言うと塩崎はすぐに頭のツルを感電した騎馬に向けて伸ばし、騎手のハチマキを奪っていった。そしてその中にはA組でもトップクラスの実力者である爆豪の姿があった。

 

『おおっと! 雷田光仙! 向かって来る選手達を返り討ちにして逆にそのハチマキを奪い取ったぁ! これは見てる方には燃える展開だぜぇ!』

 

「かっちゃんが、あんなアッサリと……?」

 

「ま、待ちやがれ……!」

 

 プレゼントマイクの実況を聞きながら爆豪の実力を誰よりも知っている緑谷が信じられないという顔を浮かべ、爆豪は痺れながらもその場から立ち去ろうとする光仙達に話しかける。

 

「テメェ……今のは何だ? 入試の時も空を飛ぶだけじゃなくてビームを出しやがって……一体テメェは何の個性だ!?」

 

「俺の個性は荷電粒子砲。君が言ったように両手からビームを放つ個性で、空を飛んだのも今の放電もその応用だ」

 

「何それ……!? 完全に上鳴の上位互換じゃない?」

 

「荷電粒子砲ってS Fの兵器かっての。B組の才能マンかよ?」

 

 爆豪に聞かれて光仙が自分の個性を説明すると一年A組の女生徒、耳郎響香がうめくように言い、彼女に名前を呼ばれた一年A組の男子生徒、上鳴り電気が驚いた声を出す。

 

 そして光仙達がその場から離れるべく移動を開始すると、下で騎馬を組んでいる物間が走りながら光仙に話しかけてきた。

 

「良かったのかい、雷田? あっさり個性をバラして?」

 

「構わない。どうせすぐにバレることだからな。それに……」

 

「それに?」

 

「プロヒーローは自分の個性がヴィランにバレているのが前提条件だ。俺達は全員プロヒーローを目指しているんだから、これも経験だと思えばいい」

 

 光仙の言葉に物間も塩崎もそれもそうだと納得して頷く。しかし心操は「敵わねぇな……」と、苦笑をして呟くのであった。

 

「っ!? 皆、止まれ!」

 

『『………!?』』

 

 何者かが攻撃を仕掛けてくる気配を感じた光仙が下の物間達にそう言った次の瞬間、突然周囲に氷の壁が出てきて光仙を取り囲み、動きを止めた光仙達の前には一組の騎馬があった。

 

「君は?」

 

「一年A組、轟焦凍だ。ワリィが挑ませてもらうぞ、オールマイトの息子」

 

 目の前にいる騎馬の騎手、顔の左側に火傷の痕がある白と赤の髪をした少年、轟焦凍がどこか敵意が感じられる視線を向けてきた。だが光仙はその視線以上に彼の苗字の方が気になっていた。

 

「轟……? もしかして君、エンデヴァーさんの……?」

 

「っ! アイツは関係ねぇ!」

 

 光仙の言葉を遮るように轟が右手を振るうと、地面から大量の氷が発生して光仙達に襲いかかってくるが、光仙は右手から荷電粒子砲を放ち氷を砕き蒸発させた。

 

「どうやらこの氷の壁はアイツの個性のようだな? どうする雷田?」

 

「もちろん迎撃する。Alaska SHOT」

 

「それはもう見た。……上鳴!」

 

「お、おう! 任せ……ろぉぉぉっ!?」

 

 心操の言葉に返事をした光仙は両手から電撃を放ち、先程のように無力化させようとしたのだが、その電撃は全て騎馬の一人である上鳴に集中した。

 

「今のは一体?」

 

「恐らく彼は電気系の個性持ちなんだろう。それで雷田の電撃を自分だけに誘導して仲間を守ったんだ」

 

 塩崎が今起きた出来事に疑問の声を上げると、物間が自分の推測を口にする。上鳴の方を見れば他の電撃を喰らった生徒達よりも余裕がありそうで、光仙達は物間の推測が当たっていると考えた。

 

「やっぱりそう簡単にはいかないか」

 

 光仙は自分の攻撃を防ぎ、こちらへの攻撃の機会をうかがっている轟達を見て呟くのだった。

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