笑えない少年のヒーローアカデミア   作:兵庫人

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第九話

 雄英体育祭はかつてのオリンピックに変わる二本のビックイベントの一つ。そのため、日本国内だけでなく海外でも多くの人が雄英体育祭に注目している。

 

 そしてそんな中でオールマイトのうっかりミスで知られてしまった「雷田光仙がオールマイトの『息子』である」という情報は世界中を仰天させた。

 

 

 

「彼が……オ、オールマイトの、息子……!?」

 

「あのスーツ野郎が……?」

 

「マジかよ……? そんな話、聞いた事がねぇぞ……」

 

 緑色の髪をしたそばかす顔の少年に、先程まで空中で光仙を追っていた金髪の少年、そして顔の左側に火傷の痕がある白と赤の髪をした少年は、あまりの驚きで凍りついたかのように動きを止めた。

 

 

「は、はは……。す、凄いじゃないか雷田? こ、これで話題性はB組が一番だ……」

 

「馬鹿なことを言っているんじゃないよ、物間。……だけど、雷田がオールマイトの子供だったなんて……」

 

 光仙と同じ一年B組に所属している生徒は、前から彼の並外れた実力を見ていたためある意味納得したが、それでも驚きを禁じ得ず表情を引きつらせ、それ以外の生徒達は完全に思考を停止させていた。

 

 

「オールマイトの息子、だと……!? しかも焦凍と同じ歳……! これは……これは……!」

 

 全身から炎を放ち纏っているNo.2ヒーローは、気づかぬ内に全身の炎の勢いを強めながら光仙を凝視する。

 

 

「オールマイト……! これは、流石に笑えないぞ……!」

 

「俊典の野郎……! 光仙の人生を無茶苦茶にするつもりか……!?」

 

 オールマイトの元サイドキックと先生であり、光仙の先生と師匠でもある二人のプロヒーローは、それぞれの事務所でオールマイトの迂闊な発言に対して自らの感情を口にする。

 

 

「オイオイ……。トシ、お前は何をやっているんだ?」

 

「マイトおじ様ったら……。光仙君、これからどうなるのかしら……」

 

 とある人工移動都市で雄英体育祭を観戦していた世界的に有名な科学者とその娘は、旧友の発言に呆れながらも光仙の状況を心配した。

 

 

「オールマイトに息子さん……! そんな子がいたとは知らなかったな。それに飛べるみたいだし……ちょっと興味が出てきたかな」

 

 高層ビルの屋上でスマートフォンでオールマイトの発言を聞いていた速すぎる男は、「No.1ヒーローの息子」という肩書き以上に光仙の空を飛ぶ姿に興味を示す。

 

 

(マスター)に子供!? 一体どういうことだ!? 母親は誰だ!?」

 

「ス、スターさん!? 一体何処に行こうとしているんですか!?」

 

 合衆国のNo.1ヒーローは、いても立ってもいられなくなって日本に飛び立とうとし、同僚である軍人に止められた。

 

 

「オールマイトの……息子……!? ハァ……! 確かめなければ、ならない……! 彼が……オールマイトと同じ……正しい正義なのか否か……」

 

「……? 一体、何が……?」

 

 今まで四十人のヒーローを殺してきた連続殺人鬼は、とある路地裏でオールマイトに子供がいたという大ニュースを聞き驚き震え、今まさに殺そうとしてヒーローのことなど忘れて何処かへ行ってしまう。そして連続殺人鬼の個性で動きを封じられていたヒーローは、突然この場を去って行った連続殺人鬼の行動に戸惑うのだった。

 

 

「はぁっ!? あの野郎、ガキがいたのかよ? ……まさかそのガキも親父と同じチート野郎なんじゃないだろうな?」

 

 薄暗い部屋の中で、顔と腕に無数の手を着けた奇妙な格好をした男は首を掻きむしりながら苛立たしげに呟く。

 

 そして……。

 

 

「オールマイトに、子供……。ハハ……! こんなに笑ったのは久しぶりだよ。水臭いじゃないか、オールマイト? 子供がいたなら言ってくれてもいいじゃないか。……さて、彼はどうしようかな?」

 

 そして、何処とも分からない闇の中で、魔王の如き闇の支配者である男は楽しそうに笑った。

 

 

 世界中の多くの人々がオールマイトと、その義息子である光仙に注目していた。そんな中で当の二人はというと……。

 

「光仙、本当にゴメン! 私、ちょっと興奮しちゃっただけで、光仙を困らせるつもりはなかったんだ! だから本当にゴメーーーン!」

 

「分かりました。分かりましたから止めてください、お義父さん……」

 

 オールマイトは観客席で両手を合わせて必死に自分の義息子に謝り、光仙は右手を顔に当てて無表情だがどこか恥ずかしそうに義父に返事をしていた。

 

 そのオールマイトと光仙の姿を見て、世界の人々は二人が親子であると改めて実感するのであった。

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