私の名前は四宮かぐや
総資産200兆円、鉄道、銀行、自動車ゆうに千を超える子会社を抱え4大財閥の1つに数えられる「四宮グループ」その本家本流総帥・四宮雁庵の長女として生を受けた正真正銘の令嬢である
幼等部から通っていた学校を辞め私は新しい学校へ通うため新しい制服を身にまとい学校行きのバス停の少し離れた所に車を止めさせた
「ここまででいいです」
「しかしかぐや様、このバスは一般の方も利用する為とても車内は混雑すると思います。やはりこのまま車で」
「ここでいいと言っているの。2度も言わせないで」
「す、すみません」
幼少期の頃から私に仕えていた近侍に冷めた目を向けてから車を出る
これから三年間私は家とは無縁な環境で過ごす。知り合いも誰もいない外部からの連絡を一切禁止した学校に微かな期待を胸に歩き出そうとすると背後からかぐや様!と呼び止められた
「どうかお気をつけて」
目に涙を浮かばせ胸の前で強く両手を握り締めている近侍から目を背け背を向けたままの状態で別れの挨拶を言う
「貴女もね。今までご苦労さま」
信頼を裏切った人とはもう会いたくないわねという言葉を飲み込み今度こそ歩き出す
前の学校では辛いことばかりだった。友人もいない、クラスメイトも信用できず、近侍も私を裏切っていた
すっかり人間嫌いになった私を変えてくれる人間は果たしているだろうか?憧れていた普通の生活が送れるだろうか?…わからない。でも諦めたくない
だって私は自分を変える為にこの学園に来たのだから
バスに乗ってから20分、初めて路線バスというものに乗ったがなるほど確かにかなり混雑するようだ。自分と同じ制服を着ている者や違う制服を着ている学生、スーツ姿のサラリーマンなど沢山の人達が乗っている
座席は私を含め全て埋まっており立っている人達も10人ぐらいいる。なんだか痴漢という下劣な行為が行われてもおかしくない状況だと思いながら外の景色を眺めていると次の停留所に着いたのかバスが停車する
「よいしょと…」
ドアが開き車内に入ってきたのは額に汗をかき、かなり疲れた様子の老婆だった。あの様子を見るに此処に着くまでに長い距離を歩いたのだろう、足元もフラフラだ
学校に到着するまで後10分。ならずっと席に座っている必要もないだろう
「お婆さん、立っているのも辛いでしょう?どうぞ座ってください」
「おや、いいのかい?」
「ええ、目の前で疲れた様子の方がいるのに席を譲らないというほど心は狭くありませんし、どうせ後10分程で降りますから」
「そう…ありがとね」
老婆のお礼の言葉に首を振りながら先程まで老婆が立っていた場所に移動し、そのまま車内を見回すと同じ制服をきた生徒達の何名かが気まずそうに顔を逸らしていた。どうやら先程の言葉に思うことがあるのだろう
「下らない…」
ボソッと小さな声で吐き捨てると時間潰しのために読書でもしようと鞄を開けようとした時
「やぁかぐやガールじゃないか。久しぶりだね」
聞き覚えのある声に話しかけられた。前を見るといかにも偉そうな雰囲気で足を組み優先席を独占する金髪のオールバックの青年が私に向けて笑みを向けていた
「高円寺さん…」
高円寺六助
彼は日本有数の資産家である「高円寺コンツェルン」の御曹司であり頭脳、運動能力、共にかなりの成績を誇り、かぐやもその実力を認める程の実力者である。だが彼には性格に問題があり簡単に言えばナルシストで、唯我独尊という言葉を体現したような人間である
まさか高円寺さんもこの学校に通うとは…この人苦手なのに
「よかったら隣でもどうだい?」
隣に置いてある鞄を持ち上げ空いたスペースを指差す彼に首を振る
「結構です」
「相変わらずクールだねぇ。そういえば君専属の使用人が見当たらないがどうしたんだい?」
「…彼女とは学校は別々です」
「おや、喧嘩かい?」
「いえ、絶交です」
「…穏やかじゃないね。君は彼女の事を誰よりも信頼していたように見えたが?」
うるさい…これ以上あの子の話をしないで
「あなたには関係ないことです。これ以上口を挟まないで」
いつも以上に鋭い視線を送ると彼はわかったと肩をすくめる
「すまないね。つい気になってしまってこれからは気をつけるよ」
「…これからどうなるのかは知りませんがお互い目的のために頑張りましょうね」
その言葉に僅かに目を見開いた高円寺はそのまま目を伏せながら笑いああと頷いた
学校に到着すると同じ制服を着た生徒達が続々とバスを降りていく。その流れに沿って私もバスを降りるとこれから私達が通う学校の門で立ち止まる
東京都高度育成高等学校__日本政府が作り上げた未来を支えていく若者を育成する、それを目標とし学校である。この高等学校は他の高等学校とは異なる特殊な部分があり、学校に通う全校生徒は敷地内にある寮での学校生活が義務付けられており、在学中は特例を除き外部との連絡を一切禁じている超がつくほど閉鎖的な学校なのだ
ただし、その反面生徒達が苦労しないように敷地内にはカラオケ、シルタールーム、カフェ、ブティックなど、数多くの施設が存在する。その広大な敷地は60万平米を超える
「前の学校も大きかったですが此処とは比べ物になりませんね」
少しの間校門から見える学校の景色を眺めてから門を潜る
「あの、ちょっといいかな?」
だが、歩き始めたところで可愛らしい声をした人に呼び止められた
「なんですか?」
「私あなたと同じバスに乗ってたんだけどあなたさっきお婆さんに席を譲ってあげてたよね?」
「そうですがそれが何か?」
「お礼を言いたくてね!お婆さん凄くフラフラだったから心配してたんだ」
何かと思えばそんな事で態々話しかけてきたの?
それはなんとも…
「お可愛いこと」
「へ?」
「あなた私があのお婆さんに席を譲っただけのことで態々お礼を言いにきたの?」
「そう、だけど…」
「ならあなたは同じバスに乗っている人が席を誰かが譲ったら毎回その人にお礼を言うの?道に迷ってる人を助けた人にもゴミ拾いをするボランティアの人にも全く関わりのない赤の他人のあなたがその誰かにお礼を言うの?」
「それは…」
私が言ったことに言葉を詰まらせる少女。どうやら校門の近くでやり取りしたせいか何人かが立ち止まり私達の様子を見ている
「まぁ、あなたにしたらただ一緒に学校に行こうと誘おうとしたあなたなりのコミュニケーションのつもりなのかも知れないけど残念ね。人選ミスよ。私にはいかにも私は善人ですっていい子ちゃんアピールしているようにしか見えないわ」
話は済んだでしょう?それじゃといい彼女から離れる。無駄な時間を過ごしたわ
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四宮かぐや(氷かぐやバージョン)
四宮かぐやといっても彼女に限りなく似た誰かである為本物よりもいくらか優しめ
この世界には白銀も藤原も早坂もいないので心から信頼出来る友人と呼べる人が誰もおらず幼い頃からかぐやに仕えていた近侍(女の子)が毎日自分の行動を父達に報告していたことを知り彼女を信じる事ができなくなり拒絶した
このまま父達の操り人形として生きるのかと絶望していたが全寮制の外部からの連絡を一切禁止する高度育成高等学校からの推薦が来てもしかしたら変われるかも知らないと希望を見つけ家族達をなんとか説得させ入学した