入学式が終わり教室に戻ると生徒達は新しく出来た友人と放課後どうするか話し合っていた
さて、寮に行く前にこの敷地内を観察しておきますか。ついでに必要な物も買い揃えて
「ねぇ、四宮さん」
そんなことを考えていると茶髪の少女に話しかけられた。確か櫛田さんと言ったかしら
「今朝はごめんね!1日でも早く沢山の友達作りたくてつい、焦っちゃったみたいで変な声の掛け方しちゃった…」
両手を合わせながら困ったように眉を下げる櫛田さんに首を傾げる
「私あなたと会ったことありましたか?」
「え…」
かぐやの言葉に固まる櫛田。そして2人の会話をこっそり後ろで聞いていた綾小路もかぐやの言葉に驚いていた
「(え、今日起きたことだぞ?あんなに強烈な言葉攻めをしていたのに覚えてないのか?)」
「あはは…覚えてない?バスを降りてすぐ声をかけたんだけど」
「バス…ああ。そう言えば誰かと話した覚えがあります。すみません、私興味がないことはすぐに忘れてしまうんです」
「そう、なんだ…これからは四宮さんに覚えてもらえるように頑張るね」
かぐやのストレートな言葉に櫛田は顔を引き攣らせるがなんとか笑顔を保つ。入学初日からいきなり完璧な笑顔を崩す訳にはいかない。彼女のプライドが許さなかった
一方、綾小路はというと
「(興味ないことはすぐ忘れる…)」
かぐやの言葉にショックを受けていた
「(四宮が俺の事を覚えてないのはもしかして四宮にとってあの日はなんともない一日だったからじゃないのか?)」
俺だけがあの日を特別だと思っていただけで四宮には些細な事だった。それなら忘れているとしても納得がいく
だが、その可能性は綾小路が思っている以上に彼の心にダメージを与えた
「(あれ、なんだろう。心にぽっかり穴が空いたような虚しさを感じる。俺にもまだショックを受けるほど感情が残っていたなんてな)」
ハハッと乾いた笑いを浮かべる綾小路
「それで私に何か用ですか?」
「あ、うん。その、もしよかったらなんだけど、これから一緒に敷地内にあるお店を見て回らないかなって」
「ねぇ!お店見て回るなら私も一緒にいい?」
やや遠慮気味に誘ってきた櫛田さんにどうするか悩んでいると金髪のギャルっぽい見た目をした少女が話に入ってきた
「さっき自己紹介したから知ってると思うけど私は軽井沢恵。この学校、いろんなお店があるって話聞いて私も見て回りたいと思ってたんだ。いいかな?」
「勿論だよ!入学初日だし、いろんな子と仲良くなろうと元々他の子も誘うつもりだったの」
「よかった〜ありがとね!」
「あの、櫛田さん。私も行ってもいい?」
「私も行きたい!」
私達の会話を聞いていたのか櫛田さんが軽井沢さんに了承すると他の女子生徒達が私もと続々と話しかけてくる
さっきから私に視線を送ってた子達ね。どうせ私の家柄が目的なんだろうけど
みんなに笑顔で勿論だよと答えた櫛田さんが私を見る
「それで四宮さん。どうかな?」
…まぁ私も敷地内を見て回るつもりだったし別にいいでしょう
「ええ。いいですよ」
「よかった!じゃあさっそく行こうか!」
さっきよりも明るい満面な笑みで笑う彼女に疲れないのかと思いながら席を立ち鞄を手に取る
「それじゃ綾小路さん。さようなら」
「あ、ああ。また明日な」
なにやら呆けている綾小路さんに挨拶してから私は櫛田さん達の後について行った