プロローグ
──ポケットモンスター、縮めてポケモン。
この世界には、人間とは違う不思議な生き物達が生息している─
──この世界のことは、前世の知識で識っていた。
ゲームの世界、映画の世界、マンガの世界。俺はゲームしかやった事は無かったが、どれも人気だった記憶がある。
ポケモンという生き物を育成して、戦わせて強くしてバトルで勝つ。
社会人になって社畜になっても、大好きなゲームの一つだった。
──全てが反転した、逆さまの世界。
ここに来るのは、俺が数年前にシンオウ地方に引っ越してきてから何回目だろう。オリジンフォルムのギラティナの背に乗りながら、ひっくり返った世界を楽しむ。
──そう。俺のこの世界、記念すべき一体目のポケモンはなんとギラティナなのであった。
ギラティナとの出会いは数年前に遡る。
実は前世の俺の一番大好きなポケモンはギラティナで、転生したことに気がついた時は「絶対にギラティナを仲間にしたい!」と意気込んだのだが……ギラティナは伝説のポケモンである。
そう簡単に会えるわけがないし仲間なんて有り得ない、その筈だった。
──俺が反転世界に迷い込むまでは。
因みになんで迷い込んだのかはわからない。わからないが、なぜかギラティナと会い、なぜか仲良くなって、いつのまにかギラティナを仲間にしていたのである。ボールは普通のモンスターボールだ。
仲間にしたものの、ギラティナはデカ過ぎるし伝説を捕まえた、なんて吹聴したくも無かったので、近所のナナカマド博士に全部ぶん投げた。
もう少し成長したら旅に出る予定だが、ギラティナ──ギーは強すぎるので取り敢えずは他のポケモンを育てる予定だ。
──だからそれまではこのかっこいいポケモンだけでいいか。
その時はそんなことを思っていた。
(……なのに何で私を仲間にしたんだ)
「うっさい、悪夢見せてくるからだろうが。ギーを見習え。あいつ俺のこと害してこないから」
一時期あまりにも悪夢ばかり見すぎるので父親に相談したら、みかづきのはねを貰い、そうしたらダークライに会ったってわけだ。
ダークライといえば映画のかっこいいダークライだ。なのだが、出会ったこいつはジメジメとした後ろ向き、ネガティブの塊のような奴だったのである。腹が立って言い合いになり、ノリで捕まえて頭を抱えた。
ギラティナは楽しそうだったのが救いだろうか。
……しかし後三体か。
この前父親にヒトモシをもらったので、フルメンバーには後三体必要だ。ギラティナにダークライ、ヒトモシ……進化したらシャンデラか。
見事にゴーストというか、悪というか。悪役のパーティである。
ゴーストも悪も好きだからいいんだけど。
(……私達だけでよくないか?)
「俺はジムチャレンジして殿堂入りを目指すんだよ。お前らがいくら強くても3vs6はきついだろうが……」
俺の肩に乗ったヒトモシと俺の隣でギーと並走して空を飛ぶダークライ。
こうしてみると結構いいパーティなのかもしれない。……まぁ弱点をカバーできるポケモンがいないから、狙うのは水タイプのポケモンだろうか。カントーだったらラプラスなんだけど。