あの悪夢のアンノーン探し〜ズイのいせきで全種類捕まえるまで出られない〜から一週間が過ぎた。トバリシティに逃げた俺を追いかけたシロナさんにより捕獲され、やけくそでいせきにこもったら三体ともあっさり見つかった。俺のこれまでの苦労はなんだったんだ、ほんとに。
落ち込む俺をギーやメアが慰める様子を見て罪悪感を感じたのか、なんとシロナさんが頑張ったご褒美として、ホテルグランドレイクでの休暇を提案してくれた。ゲームではどんなにお金を持っていても泊まることはできないただのオブジェクトに過ぎなかったが、この世界ではちゃんと泊まることができるのだ。実家にあったホテルの特集が組まれたお泊まり雑誌に載っていて感動したっけ。懐かしい思い出である。
そうして今。シロナさんと二人でリッシこのほとりにまで来ている。
俺も当然ワクワクしているが、シロナさんも相当楽しみだったようだ。気分良く荷物をまとめたりショップに買い出しにいったり。多分俺よりエンジョイする気満々だ。
……シロナさんの初リーグ挑戦の日は着々と近づいている。実は俺もシロナさんから四天王にならないか、というお誘いをいただいていたりする。俺のジムバッジの集まり具合とバトルの様子を見たらしい。
バトルはゲームそのままとは言わないが、ゲーム中のデータ……個体値や努力値、せいかくやわざの効果についてはゲーム準拠のようで、俺の知識が結構役に立つのだ。シロナさんも個体値や努力値といったものに関しては聞いたこともないらしいが、タウリンやリゾチウムが売っている時点で努力値に関しては存在しているし、個体値も適当に捕まえたムクホーク二体で検証し、あることを立証した。アニメでよくある「かわせ!」は使えないことも次いでに確認済みだ。
四天王に関してはまだチャンピオンにもなっていないシロナさんの言葉に過ぎないし、結構シンオウの四天王は気に入っているので今の所はスルー。目的は殿堂入りだし、シンオウ地方を満足するまで遊び尽くしたら別の地方にも行ってみたいので、あんまり乗り気じゃないのだ。
ギー達を色々な場所に連れて行ってあげたい。勝手な俺の気持ちかもしれないけどね。
シロナさんはまだチャンピオンではないが、彼女のパーティには既にチャンピオン時のメンバーが揃っており、きちんと育成されている。レベルも高いし、このままならゲーム通りチャンピオンになるだろう。その後シロナさんがまた俺と旅をするのかはわからない。
だから今のうちに、シロナさんの弟子として彼女のバトルの技術を盗もう。なんて思っていたりするけれど──。
「ホテルグランドレイク。やっぱりいいわねぇこの建物。ちょうどリッシこの調査もしたかったことだし、早く荷物を置いて出かけましょう」
休暇で来たことをさっそく忘れてマップを取り出したシロナさんを、宥めるのが先決かもしれない。
ホテルのフロントで受付を済ませてからルームキーをもらって、指定された建物まで行く。高台にある家で、見晴らしもよく綺麗な場所だ。
「夕飯はレストランななつぼしでしたっけ。よく予約が取れましたね」
「昔何回か来たことがあったのよ。ホテルの予約が取れたのは初めてだけど。リッシこ、シンジこ、エイチこ。この三つの湖のこと、知ってる?」
シロナさんの言葉に、掠れかけている記憶を思い起こす。確かUMAだよな、どれがどの湖だったかは忘れたけど。
「……ユクシー、エムリット、アグノムでしたっけ。幻のポケモンがいるんですよね」
俺の言葉に目を見開くシロナさん。──あれ、もしかしてUMAがいることって知られてないのか?