ルナティック・ワンダーランド   作:crooze

6 / 10
トレース・オブ・ウィンド

 ──俺は転生者だ。

 死ぬ時のこと、死んだ理由なんて何一つ覚えていないのに。この世界を舞台にしたゲームのことはまだ、だいぶん朧げになってきたが覚えている。気になるところは沢山あるが、その中でも特に行ってみたい場所がひとつ、存在する。

 ──サファリパーク。ノモセシティにあるノモセだいしつげんのことで、簡単に言えば「ポケモンを捕まえる場所」なのだが、普通の草原といった場所とは違う。なんと、手持ちのポケモンと戦わせて弱らせ捕まえるといった通常の捕獲手段を取ることができないのだ。

 そのかわり使えるものと言ったら、ポケモンを捕まえるためのボールにポケモンを逃げにくくする為のエサ、捕まえやすくするためのどろ、これだけである。しかも、歩数制限がありゲームでは確か500歩だったか。この歩数を歩くと強制退出と、中々難しいのだが──そのかわり、ここにしか出現しないポケモンがいたりするので、図鑑のために通う事になる。曜日限定もあったっけ、スコルピとか有名だったな。

 

 ──そんなこんなで、ノモセシティにやってきました。シロナさんも興味があるとかでガブリアスに乗せてもらってひとっとび。

 ……やっぱり「そらをとぶ」は便利だ。でも俺の手持ちで「そらをとぶ」を覚えさせたい奴いないんだよな、ギーに覚えさせるのは嫌だし。

 ゲームで感じた通り、なんでシティってなってるのか不思議なくらいの田舎だ。カンナギタウンとかフタバタウンほどじゃないけど。

 取り敢えずグレッグの看板には顔を出しておこうかな。

 

「……ノモセだいしつげん、楽しみね」

「あれシロナさん、もしかして初めてですか?」

「えぇ。ここはジムのために寄っただけだったし、すぐ出ちゃったから……気になってはいたんだけど。だからすごく楽しみよ。ここにしかいないポケモンもいるって聞くし」

 楽しそうに俺の隣を歩くシロナさんと一緒にゲートを通って500円払い、ボールを受け取ってだいしつげんに入る。

 特に狙う、欲しいポケモンはいない。ただ単純に行ってみたかっただけだ。

 

 ──入って目にするのは、見たことのないほどの圧倒的な大自然だった。シンオウ地方は北海道が舞台ということもあって、他の地方より自然が多い印象だが、これほどの所は他にないだろう。

 

「……すごいですね、……取り敢えず奥まで行ってみます?」

「そうね。……ポケモンの楽園かしら。歩くだけでも楽しいわ」

 入口近くの駅に停まっている列車に乗って、取り敢えず一番奥まで行って試しにシロナさんが湿地に入ってみる。そうしてすぐ、野生のポケモンが飛び出してきた。……ウパーだ。

「……えっと、捕まえにくくなるけど逃げにくくするのがエサで、捕まえやすくなるけど逃げやすくもなるのがどろ、よね」

「そうですね。どろをかけるのはなんだか気が引けますが」

「できればエサで捕まえたいものね」

 そう言ったシロナさんがウパーにエサをやり、試しにボールを1個投げるが──ボールには入ったが、3回目で脱出され逃げられてしまう。

「結構難しいのね。何日かにわけて行ってみようかしら」

「そうですね。そう言えば、てんぼうだいからポケモンが見えるらしいですよ。後で見てみませんか?」

「本当にポケモンの楽園なのね。気になるし、見てみようかしら」

 二人で話しながらポケモンを捕まえる事に集中するが、結局俺もシロナさんもこの日はそれぞれウパー一匹しか捕まえられなかった。

 ゲームでも難しかった記憶があるが、現実になると更に難易度があがる。沼地と長い草ばかりなので泥まみれになるし歩きづらい。

 あっさり制限時間が来て、サファリパークから出てから近くにとった民宿で宿泊。

 サファリパークに対抗心を燃やし、次の日も意気揚々と出陣するかの如く出発するシロナさんに引きずられる俺。

 ──あぁ、長くなりそうだ。色々と。

 ため息をついた。

 

 

 

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