ルナティック・ワンダーランド   作:crooze

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プライベート・サービス

「……よし、シロナさんには見つかってないな」

 念のためメアに頼んであくむを見せてきたためか、シロナさんが追いかけてきている様子はないことを確認して、俺はぐぐっと背伸びをした。

 ビバ! 自由の身! 

 

 ……こうなった経緯は非常にシンプルだ。アンノーン探しに飽きた俺がシロナさんが寝ている隙を見計らって逃げ出してきた。ただそれだけである。

 今俺がいるのはトバリシティ。ギンガだんの本拠地があったり、スロットがあったりする、ちょっとしたオトナの街だ。といっても目的はそれらじゃない。まだほんのガキでしかない俺がスロットをやる訳にはいかないし、ギンガだんの奴らは悪者だが一人で根城に特攻するつもりもない。遠回しな自殺行為だ。……ギーとメアと一緒に建物をぶっ壊して突っ込んだらどうなるか、はちょっと気になるけど。

 じゃあなんでここに来たのか。答えは簡単だ。今俺が立っている場所、その目の前に立つ巨大なデパート。

 ──トバリデパートである。

 

 トバリデパートを見た俺の第一印象は、デカい。ゴージャス。であった。確かシンオウ地方1のデパートなんだっけ。まだフレンドリィショップがポケモンセンターと別にあった頃だから、ゲームで最初に行った時はその陳列の量に驚いた記憶がある。能力アップアイテムとか、ここでしか買えないんだよな。

 今回俺がトバリデパートに来た目的の一つがこの能力アップアイテムなので、忘れずに買っていかないと。この日のためにおまもりこばんを持たせて、リッシこのほとりにあるレストランななつぼしでバトルしまくったのだ。

 バトルはゲームのようにいかないのであまり好きじゃないが、お金の為ならしょうがない。因みにおまもりこばんはシロナさんから貰った。ふれあいひろばに入れるポケモンを捕まえていないので仕方が無い。

 トバリシティにはムクホークで来た。ひでんマシン要員で、便利なポケモンだ。ひでんマシン要員ではあるが、一応戦えるようにある程度は育ててある。

 ……まぁいいや。取り敢えずさっさと目的のアイテムを買ってしまおう。これを逃したら、次いつここに来られるかわからないからね。

 

 シロナさんへのお土産とご機嫌取りのために、地下一階でフエンせんべいといかりまんじゅうを買っておく。いかりまんじゅうはゲーム中では買えなかった覚えがあるが、なんかあっさり買えた。

 それから1階で回復アイテムを買いだめして(主にまんたんのくすりとなんでもなおしとげんきのかけら)、2階でスピーダーなどを買っておく。

 ボールやスプレーはここでなくとも買えるので今回はスルー。

 目的の能力アップアイテムの売り場で使う予定のものを全て買ってしまえば、財布の中身も寂しい事に。やっぱり高い。わかってたけど。

 3階のわざマシン売り場も気になるが、もうお金がないのでわざマシン17……「まもる」だけ買って終了。最上階の5階のじどうはんばいきで一本ずつドリンクを買って、今回の買い物をつつがなく終えた。

 ……今度来る時は、もっとお金貯めてから来よう。そう決意してデパートの外に出れば──鬼がいた。

「……クロ? これはどういうことかしら? 説明してもらえるわよね?」

 笑顔を浮かべたシロナさん。なお青筋。

 あくむを見せてきた筈なのに、この人の精神どうなってるんだ。

 この後なんとかお土産を出してシロナさんを持ち上げて謝って。結局ズイのいせきに連れていかれ、俺の短い癒しの時間はあっさりと終わってしまうのであった。あぁ、まだデパート以外行けてなかったのに。

 ……次にトバリシティに行けるのはいつだろう、遠い目をしながらシロナさんに腕を引っ張られながら連行される、無力な俺であった。

 

 

 

 

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