萌えもん~wandering Journey~ 作:未来琴音
最初の目的地として向かうトキワシティに繋がる道、一番道路。
マサラタウンの住人が隣町へ移動する際によく使われている場所。
人工的な整備は地面の煉瓦の道しかなく、自然がそのままで手を付けられてないので、野生の萌えもん達を肉眼で見れるというものだ。
そんな周りを見ながら、煉瓦の上をなぞる様に歩き、空を見上げる。
太陽がまだ昇りきってはないので、このペースならお昼前には到着できそうだ。
ちなみに、自宅から出た後にナズナを見かけなかったので、隣人宅の彼の姉に聞いてみた所。
真っ先に準備して向かっていったらしいとのこと。
行動力だけはすごいあるんだよなぁ、あいつ。
「ん?」
腰に巻かれている帯から下げたボールが少しだけ揺れているのを感じた。
外にでも出たいのだろうか?
とりあえず、そのボールを持って突起の部分を押し中身を開ける。
白い光が形を作りながら少しずつ失っていくと、昨日の仲間になったユノが現れた。
「おはようございます」
「おはよう」
まだ少し眠そうに欠伸をしながらユノは辺りを警戒しつつ、私の隣に並んでくる。
そんなに警戒しなくてもいいのに。
そう伝えるとユノは小さく首を振り、野生に出る子達について教えてくれた。
「野生の中には、人間にも容赦なく襲い掛かってくる種族も存在しているということを博士から聞いたことがあります」
「凶暴な萌えもんもいるってことなんだね」
萌えもんの中には、人間による乱獲によって敵意を持った種族も存在していて、接触する事に困難な場合があるというのをナズナの独りでに語った中で聞いたことがある。
気に留めて無かったものの、今後の旅に支障は出るかもしれないという心配を、ユノはしてくれている。
思わず、真面目考えでしっかり者な旅仲間の頭を撫でる。
「遭遇した時は一気に逃げよう」
「はい。その時は全力でトレーナーの事守りながら逃げますね」
ユノの頼もしい言葉を胸に秘め、他愛のない話をしつつ街の入り口手前までいつの間にか到着していたようだ。
近くの案内掲示板の上部に大きくトキワシティと記入されている。
最初の目的地に着いた安心さで一息つき、まずトレーナーになる為に街中にある萌えもんセンターへ目指すのだけど、目の前直ぐにそれが見えていたので真っ先に入店した。
内部直ぐの前に萌えもんセンターを管理しているジョーイさん……だったかな? 萌えもん達を休める機械を管理してる人達が見えた。
カウンター前まで歩き、トレーナーについての事を聞いてみると。
「新人トレーナーさんの手続きですね! ただいまお作り致します」
にこやかに答えて貰い、出身地や年齢などを聞かれつつトレーナーカードという自分の身分証のような物を作ってくれた。
天井に吊るされた光で翳したりしてると、その右隣で両脇に跳ねた桃色のくせ毛で、床ギリギリまでの長さの髪に白いエプロン姿の萌えもんがユノを調べていた。
「メディカルチェック、メディカルチェック。さぁさぁこちらに」
子供のような声でユノの手を掴み、奥側へ引っ張られていった。
あれは大丈夫なんだろうかとジョーイさんに聞くと、少しだけ強引な性格はあるものの、しっかりと診断してくれるので心配無用らしい。
ちなみに、昨日と同じようなあの萌えもんはラッキーという種族だとか。
図鑑で仕事中のその萌えもんを液晶内に映すとそのように記録されていく。
ユノが戻る間、ジョーイさんからトレーナーについて簡単な説明をして貰い、近くの待合場所の椅子に座って終わるのを待つ。
暫くすると、奥からユノとラッキーが戻ってきた。
「異常なしー。元気一番」
親指を立て、自分の仕事が終わったと言わんばかりにそそくさに持ち場へ向かっていく。
なんか、不思議な子だなぁ。
背中を見届けつつ、萌えもんセンターを後にした。
*
「ユノ! たいあたり!」
開口一番に、野生で遭遇した萌えもんに身体全体でぶつかって倒すユノ。
目を回して気絶しているのを確認すると、図鑑に草の上で伸びている萌えもんを記録する。
ちなみに、丸い耳のような紫の癖毛が特徴の短髪で両手両足に包帯を巻いており、紫と白の袖の短いパーカーと黒いスパッツで大の字でいるこの子はコラッタらしい。
私達は次に向かう場所の準備へしつつ、ユノを強化しようと二十二番道路すぐの草むらに入って戦闘を何回かしていた。
トレーナーの基本として、萌えもんを戦わせたり、捕獲して仲間にさて一緒に旅をすることが出来るという。
萌えもんセンターで説明受けた言葉を脳内で繰り返し覚えながら、ユノに次の戦闘の準備をさせた。
空の日差しが一番真上に差し掛かった頃、ユノがその場でへたり込んだ。
どうやら、戦闘を繰り返して残った疲労が最大になってしまったのか、肩で息をして動けなくなっている。
「つ、疲れました……」
「お疲れ様、ボールの中でゆっくり休んでね」
そう言ってユノをボールの中に戻し、一度トキワシティへ引き返した。
その足で萌えもんセンターへ向かっていくと、その前で何年もよく知った背後で誰かを探しているように視線を左右へ交互に見ていた奴を視界に捉える。
行動力と好奇心がかなり強いナズナだった。
「お、ミナもう来てたのか?」
「さっき来たばっかりなんだけど」
「遅いぞミナ、こういう時は早起きして動いておくというものなんだぞ」
行動力お化けに言われたくない、てか一緒にしないで欲しい。
呆れた馬鹿を見て、ため息をつく。
「そういや、あの子は?」
「ボールの中だよ。戦闘で疲れたからゆっくり休ませてる」
ユノ入りボールを彼に見せると、隣でそれを見てつまらなそうにヒトカゲが口尖らせたのでナズナは頭を撫でて諭していた。
「ところで、私が来た時にあんた達いなかったけどどこにいたの?」
「二十二番道路の奥だよ。そこで萌えもんリーグっていうのを見て来たんだ」
萌えもんリーグとは、萌えもん達を使役する頂点がいる四天王とチャンピオンと戦える上を目指すトレーナー達の終着点。
彼はその話を聞いて早速向かって行ったのだか、それぞれのシティにいるジムリーダーを倒すと手に入るバッジが無くて門前払いを食らい、一度センターに戻っていたとのこと。
その後に私がいないことに気づいて、さっきまで探していたらしい。
「それでな、ミナ。僕は萌えもんリーグを目指そうと思うんだ」
彼が普段より真面目で声調を少し下げて両手を丸めて目標を掲げた。
門前払い食らったのが悔しいので、カントー地方にあるジムから八つバッジを取り、もう一度挑戦してリーグを目指すというナズナの目にはやる気に溢れかえっていた。
「いいんじゃない? 私は応援するよ。」
「ありがとう! じゃあ早速行ってくる!」
彼の姿に心を少しだけ動かされたので応援すると、彼は行動力を生かしこのトキワシティの北奥にあるジムへ挑戦しに行った。
が、その数分後に彼は肩を落として脱力して帰ってきた。
「トキワジム、開いてなかった……」
「えー……」
*
トキワシティから北側に離れ、次の道へと進む。
一番道路とは違って、少しだけ森が深い入り組んだ道の場所二番道路。
看板に表記されたその名前を見て進む。
道も整備はしており、歩道など進みやすい部分がしっかりとされている分、それ以外の場所はやはり手付かずで自然を大事にしている。
ここら辺は一番道路となんら変わりはないんだけど、右側の森の切れ目から見える道があるのが特徴だ。
しかしその場所に行くのには生身ではちょっと厳しく、木の枝や草の茎が複雑に生えているので行くことは出来ない。
ナズナがヒートに燃やして貰おうという案が出され、早速実行しようとしていたので速攻止めた。
道路全体を火の海にでもするつもりか。
ちなみに、ヒートというのは彼の隣でユノと元気そうに歩きながら話しているヒトカゲの名前だとか。
「ニビシティはトキワの森を超えた先にあって、そこにあるジムでまず最初のバッジを取る」
「そこから順に集めてく感じなんだね」
「そういうこと」
鼻を鳴らしながら自信ありげに言う彼に少しだけうんざりしながら道に沿って進んでいくと、周りの景色が森に遮られていく。
そこから少しずつ森が深くなっていき、陽射しも徐々に弱くなっていた。
整備された道は途中から切れるようになくなり、そこからは地面むき出しの獣道へと変わっていく。
その中間には一本の看板が立てられていて、表の文字にはこう書かれていた。
【トキワの森へようこそ。】
注意!!
森の中でのバトルには気を付けて下さい。
途中で野生に襲われる危険性があります!!
『…………』
その場にいる全員が顔を見合わせ、再び陽射しがほとんど届かない暗く先が見えない獣道を見る。
……ここ、通るの? マジ?
トキワの森は恐怖の場所じゃないです(威圧
次回、新たな仲間が来る?
ちなみに、トキワの森に本来いない子が出てくるかもしれませんが、気にせず見守ってください。